外国人受け入れ「突如停止は行政ミスと政治的ポーズ」 是川夕氏

移民と社会

毎日新聞 2026/8/21 05:00(最終更新 8/21 05:00) 有料記事 2484文字
国立社会保障・人口問題研究所国際関係部長の是川夕氏=東京都千代田区で2026年5月29日、横田愛撮影

 外国人労働者の在留資格「特定技能1号」の外食業の新規受け入れ停止は、何が問題なのか。従来、日本の行政が重視してきたはずの政策の安定性や予見可能性に照らしてどう評価できるのか。移民政策の第一人者で、特定技能と育成就労制度に関する政府有識者会議で構成員を務める、国立社会保障・人口問題研究所国際関係部長の是川夕氏に聞いた。【聞き手・横田愛】

 <主な内容> ・突如停止は行政のミス ・排外的空気も影響

 ・実態踏まえぬ厳格化は失敗への入り口

「受け入れ拡大」避けたい思惑も

 ――4月に外食分野で外国人の特定技能1号の新規受け入れが停止されました。

 ◆1月23日に(受け入れ見込み数を)閣議決定してわずか3カ月足らずで受け入れ停止となりました。通常、直近に制度の見直しが行われながら、突如停止というのは客観的に見て行政のミスと言えます。

 「停止」は国民生活に影響を与える重要な政策判断です。本来なら政府有識者会議を開き、事実認定や社会への影響を検討した上で、停止の是非を議論するプロセスを踏むべきでした。

 ――地方の飲食店や病院・介護の給食への影響が特に懸念されます。

 ◆地方の施設給食はもともと(都市部の飲食店などから)引き抜きの対象になっていました。新規採用が止まれば、引き抜かれるだけになってしまう。外食産業自体、人手不足が深刻で、地域に密着している分野です。停止により我々の生活にどのようなインパクトをもたらすのか。マイナス面はこれから出てくるでしょう。

 ――なぜこのような事態になったと考えますか。

 ◆ここ1年ほど排外的な空気が強くなり、政治の世界でもそうした態度が得票につながる状況がある。政治家としては「外国人受け入れ拡大」と見られるのは避けたいのでしょう。ただ、今回はそれだけではない。政治に判断をあおぐ手前、行政の段階でも、先を見越して上限を(引き上げる方向で)調整するなどの対応は検討されなかった。やはり行政の瑕疵(かし)ではないでしょうか。

 日本の外国人政策は戦後ずっと、「政策」ではなく行政手続きの積み重ねでした。政策運営には、社会とのコミュニケーション能力が必須ですが、それを欠いたままです。

「あえて止めた」政治的ポーズ

 ――どう対応すべきだったのでしょうか。

 ◆過去にも似たようなケ…

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