トランプ氏「買う」グリーンランドの今は?iPhoneやスマホ決済などIT化が漸進…氷と雪“厳しい生活環境”も「この自然を残さなきゃいけない」 |FNNプライムオンライン

FNNは1月中旬に北極圏にある世界最大の島・グリーンランドを訪れ現地取材を行った。面積は日本の6倍ほどで、人口は約5万6000人と少なく、町同士を結ぶ道路はなく船や飛行機で移動する。厳しい気候である一方、町ではiPhoneや電子決済などIT化が漸進し、ショッピングセンターもあるなど近代化が急速に進行している。

氷に覆われる島…人を引き寄せるため「グリーンランド」と名付ける

FNNが北極圏にある世界最大の島グリーンランドを訪れたのは、トランプ氏就任直前の1月中旬。

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面積は日本の6倍と広大だが、島の約8割は氷に覆われ、暮らしているのはわずか5万6000人だ。住民が少ない理由の一つは、厳しい自然環境だ。取材班はフィヨルドに向かった。

点在する島や氷河の浸食によって出来た入江が神秘的な風景を作り出し、まるで時間が止まったような空間が広がっていた。

記者: この辺りのフィヨルドはヌークフィヨルドと言って、世界で2番目に大きいものとなります。

氷に覆われた内陸部は住める土地がほとんど無く、グリーンランドの住民は沿岸部の一部のみに住んでいる。複雑な地形もあって、移動手段も特殊だ。

記者: グリーンランドでは町と町を結ぶ道路がないため、移動するには船か、または飛行機やヘリコプターなどを使わなければいけません。

氷と雪に覆われるこの島が「グリーンランド」と呼ばれる理由は、バイキング時代まで遡る。先に発見された「アイスランド」では、名前がネックとなって入植が進まなかった経験を踏まえ、人々を引き寄せるために「グリーンランド」と名付けられたという。

そんなグリーンランドの中心都市は、南西部に位置するヌークだ。人口は約1万9000人で、全人口の3割以上が暮らす。先住民族イヌイットやデンマーク人、その子孫などが住んでいる。

午前10時過ぎの町の様子

まず気付くのは、その厳しい生活環境。

記者: 現在午前10時過ぎです。グリーンランドでは比較的緯度の低いヌークですが、辺りはまだ暗く、日の出は午前10時40分となっています。

1月中旬の陽が出ている時間は、1日わずか5時間半程度だ。特に冬は日照時間が極端に短くなる。そして気候も厳しい。

記者: 現在、ヌークでは風速20mの風が吹いていて、気温は-1℃ですが、体感気温は-21℃ということです。

記者: 寒くない? 

子供:

寒くない。

住民:

寒くはない。ちょっと風が強いけどね。

住民は、厳しい環境に慣れているようだ。

グリーンランドの中心都市ヌーク

一方で、ヌークの町は急速に発展して近代化が進んでいる。大きな建物やショッピングセンターもあった。その中には、グリーンランドらしい商品もある。アザラシやトナカイなどを狩るためのライフルも売られていた。電子決済も普及している。

記者: 私はグリーンランドに4日ほどいますが、全ての支払いはスマホ決済で済んでいます。

小さな子供たちでさえも最近のiPhoneを持っていたりと、IT化も進んでいるようだ。

現地のグルメ事情はどうなっているのか。取材をすると、町にはレストランが30軒ほどあった。

記者: グリーンランドでもお寿司が食べられるという情報を聞いたので、探しに行ってみたいと思います。

店の名前は「NEKO」。多くの地元の人たちが買いに来る人気店だ。

記者: どれくらいの頻度で寿司を食べますか?

客:


週3回食べてるわ。

店内で食べている人もいる。

客: (ここの寿司は)新鮮な味がして好きです。

オーナーのアヴィアクさんによると、この店は2024年8月にオープンしたばかりだという。

寿司店オーナー・アヴィアクさん: みんなSushiは知っていて、グリーンランドには新鮮で良い魚介類がある。それがマッチするのはとても良いでしょ。

もともと飲食関連の仕事をしていたというアヴィアクさんは、デンマークにある寿司店などを視察して、参考にしたそうだ。

「将来的には独立したい」地元住民の思い

地元の人たちは、普段どんな暮らしをしているのか。現地に住む大工のアイナさんが自宅に招いてくれた。

記者: こちらがグリーンランドの一般的な家ということです。3LDKのマンションです。そしてリビングも結構広くて、綺麗なグリーンランドの絵が飾ってあります。窓からは海、そしてフィヨルドが見えます。これを毎日見られるなんて羨ましいです。そして部屋が暖かいです。ものすごいご馳走が並んでいます。

私たちのために伝統的なイヌイット料理を振る舞ってくれた。アザラシやクジラ、トナカイなどの皮や肉を使った料理で、ナイフと手を使って食べる。

記者: アザラシの脂身なんですが、生で柔らかくて、クノールの粉が良く合います。

これらの食材は地方に住む家族が猟で仕留め、送ってくれるそうだ。食卓を囲みながら、アイナさんにグリーンランドの将来について話を聞いた。

アイナさん: グリーンランドがもっと責任を持つことが、非常に重要だと思っています。そして、将来的には独立したいと考えています。

独立の夢を語ってくれたアイナさんは、もちろんアメリカの一部になることには反対だ。

グリーンランドは、18世紀からずっとデンマークの統治下にある。しかし、人々はグリーンランド人としての、アイデンティティと誇りを守り続けている。

最後に、グリーンランドについて改めて住民たちに聞いた。

住民: このグリーンランドの自然の中で育った。この自然が大好き。

住民:


人、文化、自然、静かなところ、全てが好き。この自然を残さなきゃいけない。

氷に覆われた「緑の島」グリーンランド。トランプ新大統領の買収発言や急速な現代化が進む中でも、住民たちは自然や伝統への誇りを胸に、日々の暮らしを大切にしていた。 (「イット!」1月30日放送より)

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