なぜSwitch 2で『スト6』は快適なのに『ドンキー』が重い? 映像進化を左右するDLSSとは #エキスパートトピ
Nintendo Switch 2専用タイトルが増えるにつれ、この新型ゲーム機の実力が明らかになりつつあります。
高性能ハードとマルチ展開されている『ストリートファイター6』が意外にも快適に動作する一方で、任天堂開発の『ドンキーコング バナンザ』ではカク付きが見られるなど、ややチグハグな印象を受ける場面もあります。
しかし、ゲーム映像専門家による分析が進むにつれ、その理由や今後の進化の方向性が少しずつ見えてきました。ここでは、今後Switch 2ゲームにおいて主軸となる技術「DLSS」につき掘り下げてみます。
ココがポイント
Nintendo Switch 2 DLSS Image Quality Analysis:
Bananza doesn't use Switch 2's frame rate-boosting DLSS tech出典:GamesRadar+ 2025/7/17(木)
Rumour: Silent Hill 2 May Be Coming To Switch 2出典:Nintendo Life 2025/10/6(月)
VGC@VGC_News
エキスパートの補足・見解
Switch 2の核となる超解像技術「DLSS」は、「低解像度でレンダリングした映像をAIで高解像度にアップスケールする」つまりGPUの負担を減らし、見かけをキレイにする仕組みです。
まず携帯モードでは消費電力を減らし、バッテリー持ちしやすくなります。またTVモードでも、Switch 2搭載チップは競合ハードより数年遅れているため、AAAタイトルのグラフィックを最大限に引き出す上で欠かせません。
これまでの任天堂タイトルは、このDLSSを全く使用せず、同じく超解像ながら古い汎用技術FSR 1.0を採用しています。おそらく初代Switch時代から開発が進められていたため、Switch 2のDLSS対応チップを前提にした設計が難しかったと考えられます。
一方でサードパーティはDLSSを使い慣れており、Switch 2の性能をより引き出しやすいという“逆転現象”が起きているわけです。
今後は『サイレントヒル2』など大型タイトルの移植も噂されていますが、Switch 2向けの最適化が進み、携帯・TVモード共に高品質を実現できるはず。さらに任天堂タイトルも独自エンジンにDLSSを組み込むことで、さらなる進化が期待されます。
京都大学法学部大学院修士課程卒。著書に『宇宙政治の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。現在はGadget GateやGet Navi Web、マグミクスで記事を執筆中。