空爆で子どもら殺されたとガザ当局 イスラエル軍は「誤り」認める

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画像説明, パレスチナ人の子どもサラジ・イブラヒムさんを悼む親族たち。灰色のシャツを着た男性が、給水拠点が攻撃された後にサラジさんの遺体を抱えて運ぶ様子が、他の写真や動画に捉えられている(パレスチナ・ガザ地区)

ラシュディ・アブアルーフ(ガザ特派員)、マイア・デイヴィース(BBCニュース)

パレスチナ・ガザ地区中部ヌセイラトで13日、水を手に入れようと容器を手に順番を待っていた10人がイスラエル軍の空爆で殺害された。うち6人は子どもだった。救急当局が発表した。

遺体が運ばれたヌセイラトのアル・アウダ同病院の医師によると、この空爆ではさらに子ども7人を含む16人が負傷し、同病院で治療を受けた。

目撃者の話では、アル・ヌセイラト難民キャンプで、給水タンカーの横で空の容器を持って並んでいた群衆に向かい、ドローン1機がミサイル1発を発射したという。

イスラエル軍は、パレスチナの武装組織「イスラム聖戦」の「テロリスト」を狙った攻撃で「技術的な誤り」があり、標的から数十メートル離れた場所にミサイルが落下したと説明。検証を進めているとした。

同軍はさらに、「その結果として、この地域で死傷者が出たという訴え」が出ていることを認識していると表明。民間人の被害の軽減に「可能な限り」努めているとし、「無関係の民間人の被害を遺憾に思う」と付け加えた。

BBCヴェリファイ(検証チーム)が検証した空爆後の映像では、地面に散らばった黄色い容器の近くで子どもを含む負傷者らが横たわり、数十人が駆け寄っている。建物や木々、電柱などから、場所はヌセイラト中学校の南西約80メートルの道路で、撮影時間は、太陽の影から早朝とみられる。

3週間前の衛星写真では、この道路の向かい側にタンク車が駐車していた。

動画説明, ガザの給水拠点をイスラエル攻撃、子ども含め多数殺害 ラファで巨大収容施設の建設計画も

イスラエルによるガザ地区全域への空爆は、激しさを増している。

イスラム組織ハマスがガザで運営する民間防衛隊の広報によると、13日にはほかにも、ガザの中部と北部ガザ市で住宅ビルへの空爆が3回あり、パレスチナ人が計19人殺害されたという。

赤十字国際委員会(ICRC)は、ガザ南部ラファ野戦病院の状況について、過去6週間で治療した人数がそれ以前の1年間の人数より多かったとしている。12日には、「武器に関連したけが」を負った132人を受け入れ、うち31人が死亡したという。患者の「圧倒的多数」は銃撃で負傷していたほか、質問に答えたすべての人が食料配給所の近くにいたと述べたという。

この野戦病院では、新しい食料配給所が開設された5月27日以降、武器で負傷した患者を3400人以上治療したほか、死者は250人を超えているという。

ICRCは、「こうした集団殺傷事案が、きわめて懸念される頻度と規模で起きている。これは、ガザ住民らが耐えている恐ろしい状況を浮き彫りにするものだ」とした。

一方、ガザ南部のナセル病院は12日、支援物資の配給所付近で24人が殺害されたと発表した。目撃した人たちによると、食料を手に入れようとしていた人々にイスラエル軍が発砲したという。

イスラエル国防軍(IDF)は、現場付近でIDFの発砲による「負傷者は確認されていない」と述べた。この発表とは別にイスラエル軍関係者は、IDFが脅威だと考えた集団への威嚇射撃を行ったと話した。

国連の人権当局は11日、支援物資配給に絡んだ死亡事案は789件に上っていると発表した。うち615件は、アメリカとイスラエルが支援する「ガザ人道財団(GHF)」の施設の周辺で起きたという。これらの施設は、ガザ南部と中部の軍事区域内で5月27日に開設され、アメリカの民間警備業者が運営している。他の約180件は、国連やその他の支援団体による物資輸送の車列の近くで起きたという。

GHFは国連を、ハマスが運営するガザ保健当局の「虚偽で誤解を招く」統計を使っていると非難している。GHFのジョニー・ムーア代表は以前、配給所付近での死亡事案を否定はしないものの、「これらの死者の100%が、GHF(の施設)と距離が近いせいだとされている」ものの、それは「真実ではない」とBBCに述べていた

イスラエルは、BBCを含む外国の報道機関がガザに入ることを認めていない。

ハマスは2023年10月7日、境界を越えてイスラエルを攻撃し、約1200人を殺害、251人を人質に取った。イスラエルはこれを受け、ガザで軍事作戦を開始した。

ハマス運営のガザ保健当局によると、それ以来、ガザで少なくとも5万7882人が殺害されている。

ガザでは、住民の大半が繰り返し、避難を余儀なくされている。地区内の家屋の9割以上が一部損壊または全壊したと推定される。医療、水、下水設備、衛生システムは崩壊し、食料、燃料、医薬品、避難所が不足している。

ガザには先週、130日ぶりに燃料が7万5000リットル運び込まれた。国連は、「住民の日常的な必要と、重要な民間支援活動の必要を満たすには、ほど遠い量」だとした。

国連の9機関は12日、ガザにおける燃料不足は「危機的レベル」に達していると警告。燃料が切れれば、病院、給水システム、下水施設、パン屋などに影響が及ぶとした。

国連は、「病院はすでに電源を失い、産科、新生児科、集中治療室は機能せず、救急車もすでに動けなくなっている」とした。

追加取材:リチャード・アーヴァイン=ブラウン、ベネディクト・ガーマン(BBCヴェリファイ)

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