月額無料のAI通訳イヤフォン「W4 Plus」を試す 翻訳精度をオンラインとオフラインで比較した(1/3 ページ)

 Timekettle(タイムケトル)が10月8日に応援購入サービス「Makuake」で先行販売を開始した「W4 Plus」は、AI通訳イヤフォンの新モデルだ。Makuakeでは4万8999円からのリターンを用意しており、一般販売予定価格は6万7999円となっている。リターンは2027年1月末までに配送され、一般販売は2月初旬に始まる予定だ。カラーはSpace Blackのみとなる。

Timekettle W4 Plus。カラーはSpace Black

 W4 Plus最大の特徴は、イヤフォンを片耳ずつ相手と分け合って会話する「1対1通訳」だ。ただ、今回は外国語を話す相手役を用意できなかったため、この機能は試していない。

 そこでこの記事では、英語動画の翻訳、自分の日本語を英語に訳して伝える機能、オフライン翻訳など、1人で使える機能を中心に検証する。1対1通訳を含まない評価である点はご了承いただきたい。

 Timekettleによると、W4 Plusは同社が国内でも販売している「W4」とハードウェアを共通としながら、翻訳システムを「Babel OS 2.0」から「Babel OS 3.0」に更新したモデルだという。

 専門分野に合わせた翻訳、自然な言い回しへの調整(ネイティブ表現)、会話中の同時要約といった機能が新たに加わった。W4は、W4 Plusの一般販売開始に合わせて販売を終了する予定だという。なお、耳掛け型の「W4 Pro」は別系統の製品であり、W4 Plusの上位モデルではない。

 通訳モードは「1対1通訳」「切替通訳」「通話通訳」「音声・動画翻訳」の4つだ。対応言語はオンラインでは52言語/106アクセント、オフラインでは13組の言語ペアとなる。いずれのモードもスマートフォンかタブレットの専用アプリ(Android 10以降/iOS 15.0以降)を介して使う仕組みで、PCには対応していない。

4つの通訳モードに対応している

 海外版には、379ドルの買い切り版と、299ドルの本体に月額14.99ドルのプランを組み合わせるサブスクリプション版がある。一方、Makuakeで販売する国内版は、全機能を月額料金なしで利用できる。ただし、「サービスが継続する限り」という条件付きだ。

 イヤフォンは耳穴に深く差し込まないセミインイヤー型で、重さは実測で片耳5.7gだった。耳の内側に引っ掛けて装着を安定させるアクセサリーも付属する。

イヤフォンとしては、セミインイヤー型だ
付属品一式

 充電ケースはマグネットで左右2つに分割でき、相手にイヤフォンを渡すときは片側をケースごと手渡せる。実測値はケースの右側が60g、左側が44.2gで、イヤフォンを収めた状態の合計は115.7g。公称値の約116.5gとほぼ同じだった。

ケースを左右に分割し、相手にケースごと渡せるのが特徴だ

 通訳用途が中心の製品だが、音楽再生にも対応する。音質は低音と高音を強調した、いわゆるドンシャリ寄りの味付けだ。6万円台という価格を考えると、普段使いのイヤフォンを兼ねられる点はプラス材料といえる。

普通のイヤフォンとしても利用可能。低音がやや強めに感じるが、意外と悪くはない

 バッテリー駆動時間は公称値で連続通訳3時間以上、充電ケース併用で最大12時間だ。

充電ポート(USB Type-C)は右側ケースにのみあるので、充電時には左右をマグネットで合体しておく必要がある
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 W4 Plusは、言語パックをダウンロードしておけば通信なしでも翻訳できる。アプリの設定からオフラインモードに切り替えられるため、ローミングを使いたくない場面でも重宝する。ただし、日本語と組み合わせられるのは英語と中国語に限られる。

言語パックをダウンロードしておけば、オフラインでの翻訳も行える

 表の12文をオフラインモードで2回読み上げたところ、意味が崩れた文は2回とも4つあり、このうち金額、「結構です」、丁寧な断りの3文は2回とも崩れた。「4万7599円」は1回目が「4万759円」、2回目が「47,59円」と認識され、「50台以上なら15%引き」はどちらも「50代以上」と認識されて、「50歳以上の人は15%引き」という意味の英語になった。チェックアウトの延長を頼む文では、時刻が2回とも“12 AM”(深夜0時)と訳された。

オフラインでは認識精度が下がり、結果として翻訳も意味が変わってしまっている

 比較のため、機内モードにしたGalaxy Z Fold8で、Galaxy AIの通訳機能でも同じ12文を試した。意味が崩れた文はGalaxy AIも4つで、金額は「4759円」と認識され、「50台」もW4 Plusと同じく「50代」と認識された。

 なお、認識の誤りには筆者の滑舌や発音が影響している可能性もある。ただ、同じ筆者が読み上げたオンラインでは12文全てで意味が通っており、オフラインの方が発音のばらつきに弱いと考えられる。今回試した範囲では、W4 Plusのオフライン翻訳がGalaxy AIより劣るわけではなく、むしろオンラインとオフラインの差の方が大きい。実際に通訳として使う場合は、金額や時刻、依頼の内容を相手の反応を見ながら確かめた方が良さそうだ。

 1対1通訳は試していないものの、1人で使う機能に限っていえば、オンライン時の翻訳精度は高く、英語の動画を字幕で見る用途や、自分の日本語を英語にして伝える用途には十分実用的だと感じた。普段使いのイヤフォンを兼ねられる点も評価できる。

 注意したいのは、PCに対応していない点だ。PCの音声をスマートフォンで拾う方法は聞く用途に限られ、PCで仕事を完結させたい人には向かないだろう。また、ネイティブ表現は訳の内容を大きく削るため、正確さが求められる場面ではオフにしておいた方が良さそうだ。

 W4 Plusが向いているのは、スマートフォンやタブレットで英語の動画や配信をよく見る人、海外出張や旅行で相手と話す機会がある人、会話の要約を残したい人だろう。一方、旅先で道を尋ねる程度なら、スマートフォンの無料の翻訳機能で事足りる可能性もある。

 一般販売予定価格は6万7999円で、ハードウェアが共通のW4(4万1600円)より約2万6000円高い。この差額でAI機能を月額料金なしで使えると考えれば、長く使うほど割安感は増す。

 なお、Makuakeでの購入は先行販売のため、手元に届くのは2027年1月末までの予定で、原則としてキャンセルもできない。1対1通訳を主な用途と考えている人は、本記事の評価が1対1通訳を含まない点を踏まえた上で、予算と用途に合わせて判断してほしい。

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