【#佐藤優のシン世界地図探索175】「フー・マンチュー症候群」と中国帝国・イラン帝国の運命(週プレNEWS)

ウクライナ戦争勃発から世界の構図は激変し、真新しい『シン世界地図』が日々、作り変えられている。この連載ではその世界地図を、作家で元外務省主任分析官、同志社大学客員教授の佐藤優氏が、オシント(OSINT Open Source INTelligence:オープンソースインテリジェンス、公開されている情報)を駆使して探索していく! *  *  * ――米国の調査機関が驚きの世論調査を発表しました。世界36ヵ国の成人を対象に調査したところ、25ヵ国の地域で米国より中国に好意的だ、という結果となったそうです。米機関の調査で初めて中国のほうが多数派になったということで、これはいよいよ中国世界帝国が米国を抜き、「G1」になったということですか? 佐藤 ポイントは、中国は世界制覇を考えていないということです。米国は海洋国家としての世界制覇を考えているので、これはアメリカの誤解です。現在の世界は「棲み分け」で成立していますから。 ただし、中国は中華帝国の周辺地域を自らの勢力圏に糾合していくつもりです。そして、日本はそこに含まれています。「日本は言うことを聞いて、こちら側に入ればいいんだよ!」ってことです。 ――そこが日本としては嫌で、高市幕府の"戦艦発言"に繋がっているんですよね。 佐藤 そうですが、とにかく中国は北米大陸やヨーロッパに関心はないんですよ。 ――ということは、中国が世界的な人気を得たわけではない? 佐藤 はい。米英は自分たちの価値観で世界中に首を突っ込んでいます。しかし、中国やロシアは突っ込んでいきません。いい悪いということではなく、「自分の縄張りに入ってこない」、この一点において、米国より中国はマシだということです。 アフリカも中東もラテンアメリカも、中国みたいになりたいとか中国の軍門に下りたいとも思っていません。あくまで米国やヨーロッパに対して「うるさい!」と感じているだけです。 ――これは、ロシア国内の選挙の構造に似ていますね。極悪と悪でどちらがいいかを選択し、極悪を除外した結果、中国がたまたま残ったと。 佐藤 そういうことです。なので、この中国をロシアに変えて調査しても結果は同じで、米国よりロシアのほうが評判はいいと思いますよ。 ――そりゃ当たり前ですよ。米国はいきなりラテンアメリカに奇襲をかけて大統領を捕縛するし、突然イランに空爆して指導者を皆殺しにしてますからね。

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