米テスラ、2社が投資判断引き下げ-トランプ氏との対立で懸念強まる
米電気自動車(EV)メーカーのテスラは9日、アナリスト2人から投資判断を引き下げられた。先週のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)とトランプ大統領の衝突を受け、ウォール街では同社の先行きに対する懸念が強まっている。
ア-ガス・リサーチとベアードはテスラの投資判断を「ホールド」相当に引き下げた。これにより、テスラがアナリストの間で屈指の不人気な大型株であることが改めて浮き彫りとなった。テスラ株は一時、4.5%下落した。
年初来では約27%下落しており、いわゆる「マグニフィセント・セブン」のうち、パフォーマンスが最も悪い。マスク氏が積極的に支援したトランプ氏の大統領選勝利を受け、株価は上昇したが、昨年12月のピークからは40%近く下げている。
最近の株価下落は、マスク氏とトランプ大統領の対立に起因している面が大きい。マスク氏はその後、和解に前向きな姿勢を示したが、特にマスク氏と政権とのつながりを考えると、この緊張関係は株価にとって強い逆風だと受け止められている。
アーガス・リサーチのアナリストは「今後については、トランプ大統領とマスク氏の舌戦に加え、EV購入時の税控除の終了により、テスラの新車需要がさらに低迷する可能性がある」と指摘。投資判断を「買い」から「ホールド」に引き下げた。
両者の確執は、テスラ株が「現在、ファンダメンタルズ以外の要因で取引されているように見える」象徴的な事象だと指摘した。ベアードも同様の見解を示し、投資判断を「アウトパフォーム」から「ニュートラル」に引き下げた。
ベアードのアナリスト、ベン・カロ氏は「マスク氏とトランプ大統領の最近の応酬は、マスク氏の政治活動に伴うキーパーソンリスクを如実に示している」と指摘。「両者の関係や今後の行動はまったく不透明だが、こうした状況はテスラ株の行方に一段と不確実性をもたらす。さらに、ブランドイメージの損傷に関する疑問が高まる可能性があり、これは販売台数の持続的な増加が確認されるまで続くだろう」と続けた。
テスラのロボタクシー(自動運転タクシー)プログラムに関するマスク氏のコメントについて、ベアードは「やや楽観的過ぎ、この熱狂は既に株価に織り込まれている」と指摘した。自動運転と人工知能(AI)に焦点を当てたこのサービスは今週、テキサス州オースティンで開始を予定している。
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今回の2社による投資判断引き下げは、テスラがウォール街で最も懐疑的に見られている大型企業であることを浮き彫りにしている。ブルームバーグが追跡するアナリストのうち、「買い」を推奨しているのは半数未満にとどまっており、大型株の中でも最も低い比率となっている。
現在の投資判断は「買い」が30社、「ホールド」が18社、「売り」が13社。テスラ株は目標価格の平均に近い水準で推移しており、アナリストが株価回復を見込んでいないことを示している。
原題:Tesla Hit With a Pair of Downgrades Amid Fallout From Trump Feud(抜粋)