金価格、ジャクソンホールやウクライナ情勢見据え小幅上昇

Yihui Xie

  • ウクライナ停戦の兆し見えれば、安全資産の金手放す動き広がる

金相場が小幅に上昇している。米連邦準備制度理事会(FRB)が、22日に行うジャクソンホール会合で利下げを示唆するかや、米政府によるウクライナ戦争終結に向けた重要な外交交渉に、市場参加者が注目しているためだ。

  金は1オンス=3350ドル近辺で取引され、狭い範囲での推移にとどまっている。ロンドン時間午後0時42分現在、金は0.3%高の1オンス=3347.51ドルで取引されている。銀は上昇し、プラチナはほぼ変わらず、パラジウムは下落した。

  世界各国の中央銀行関係者は、22日から米・ワイオミング州ジャクソンホールに集まる予定だ。市場は、来月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが行われるとの見方を強めている。

  アトランタ連銀のボスティック総裁は先週、関税の重荷が現実のものとなり、高い借り入れコストが企業収益を圧迫しているとし、近く利下げを検討する用意があると発言した。金利を生まない金は、通常、利下げ局面で有利となる。

  シンガポールのフィリップ・ノヴァのアナリスト、プリヤンカ・サチデワ氏は「市場は次回のジャクソンホール会合でFRBがよりハト派的な姿勢を示すとの期待を強めており、先週発表されたやや強めの米インフレ指標はほぼ無視されている」と述べ、市場全体としては、インフレ圧力は弱まっているとの見方が大勢だとしている。

  一方、ウクライナのゼレンスキー大統領と欧州の同盟国は18日、ワシントンを訪問し、先週の米ロ首脳会談でトランプ米大統領が何を約束したのか確認する予定だ。トランプ氏がウクライナに対し、受け入れ難い譲歩を強いるのではないかという懸念もある。停戦の兆しが見えれば、安全資産としての金需要は和らぐ可能性がある。

  金価格は今年に入り25%以上上昇し、4月には過去最高値を記録した。その後は、米国主導の貿易戦争の影響、世界経済の強さに対する懸念、地政学的緊張を背景に横ばいで推移している。各国中央銀行による金購入も相場の支えとなっている。

原題:Gold Edges Up as Traders Look to Jackson Hole and Ukraine Talks(抜粋)

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