トランプ氏、FRB議長近く解任の可能性「非常に低い」-報道を否定
トランプ米大統領は16日、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長を解任する可能性について「何かをするつもりはない」と述べた。この発言の直前には、ホワイトハウス高官の話として、トランプ氏が近くパウエル氏を解任する可能性が高いとの報道があった。
トランプ氏は記者団からの「解任の可能性を完全に排除するのか」との質問に、「不正行為のような理由で辞任しなければならない場合を除き、可能性は非常に低い」と述べ、完全には否定しなかった。
同氏は、15日夜に議会共和党議員との会合でパウエル氏解任の可能性について話し合い、「ほぼ全員が」解任に賛成したとも述べた。自らが解任文書を作成し、会合で提示したとの報道については否定した。
米連邦準備制度はコメントを控えた。
匿名を条件に語ったホワイトハウス高官は「トランプ氏は近くFRB議長に対して何らかの動きを見せる見通しだ」と語っていた。
動揺
トランプ氏がパウエル氏を解任すれば、金融市場を動揺させ、重大な法的対立に発展する可能性がある。
近く解任の可能性との報道を受け、S&P500種株価指数は、それまでの小幅上昇から下落に転じ、前日比一時0.7%安となった。ブルームバーグ・ドル指数は、取引時間中としては6月下旬以来の下げ幅を記録した。主要10カ国(G10)の通貨は全て対ドルで上昇し、特に日本円は一時1%超上昇する場面があったが、その後上げ幅を縮小した。
トランプ氏による否定の発言が報じられると、株式、為替、米短期金利はいずれも下げ幅を縮小した。
トランプ氏は、FRBが金利を据え置いていることに繰り返し不満を表明しており、ベッセント財務長官も15日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、パウエル氏の後任選定プロセスが進行中と認めた。パウエル氏の正式な議長任期は、2026年5月まで。
パウエル氏は、FRB幹部の職を大統領が解任・降格する法的権限はないとの立場だ。今年4月には「われわれは正当な理由がない限り解任されない」と発言した。FRBを規定する「連邦準備制度法」第10条では、議長を含む理事会メンバーは「正当な理由がある場合に限り解任される」と定められている。
原題:Trump Likely to Fire Powell Soon, White House Official Says (1)、Trump Now Says Firing Powell ‘Unlikely,’ Whipsawing Markets (抜粋)