アルトコイン急騰か?──トランプ大統領、アメリカ国民に2000ドルの関税還付を検討(CoinDesk JAPAN)
待望の「アルトコインの季節」、つまり、アルトコインがビットコイン(BTC)を上回る強気相場がまもなく到来するかもしれない。ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領がアメリカ国民に「関税配当」を与えることを検討しており、その動きがよりリスクの高い金融行動を引き起こす可能性があるからだ。 トランプ大統領は、ニューヨーク・ポスト(New York Post)が引用したワン・アメリカ・ニュース・ネットワーク(One America News Network )のインタビューで、関税について「まだ始まったばかりだ」と述べたが、「最終的には、関税は年間1兆ドル(約145兆円、1ドル=145円換算)以上に達するだろう」と付け加えた。 トランプ大統領は、その収入を連邦債務の削減に充てることが最優先だと述べた。また、その資金の一部を「アメリカ国民への配当」として、最大2000ドル(約29万円)の還付金としてアメリカ国民に分配する可能性があるとも述べた。 この配当の構想は、予想されるアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の利下げと相まって、家計の予算的制約を緩和し、金融リスクを取る傾向を強め、今年、最大の暗号資産(仮想通貨)であるビットコインに遅れをとっているアルトコインへの投資を後押しする可能性がある。 主要な20の暗号資産の価格を追跡するCoinDesk 20 指数(CD20)は2025年に48%上昇し、ついで大きなトークンを追跡するCoinDesk 80 指数の約7倍の伸びを示した。 リスク選好の高まりはハーバード・ケネディ・スクールのマルコ・ディ・マッジョ(Marco Di Maggio)氏が2023年に発表した研究論文で指摘されている。同論文は、刺激策による還付金で家計の予算制約が緩和されると暗号資産投資が増加することを明らかにした。さらに、予想インフレ率上昇による将来の予算制約強化も、ヘッジ動機と一致して暗号資産投資を後押ししたと付記している。 これには前例もある。 2020年から21年にかけて、アメリカ政府が新型コロナウイルス感染症のパンデミック下で家計支援のために給付金を支給した際、アルトコインは劇的な急騰を見せた。こうした予期せぬ給付金は主に暗号資産市場に流入し、特にアルトコイン市場で熱狂的な取引を引き起こした。ビットコインのドミナンス(暗号資産市場全体の時価総額に占める割合)は、2021年5月までの6カ月間で73%から39%に急落した。 「2020年当時、暗号資産の機関投資家向けインフラはほとんど整備されていなかった。現物ETF(上場投資信託)は存在せず、カストディは分断され、規制も曖昧だった」と、主要マーケットメイカーのウィンターミュート(Wintermute)のOTCデスク・ストラテジスト、ジャスパー・デ・マーレ(Jasper De Maere)氏はリンクトイン(LinkedIn)への投稿で記している。「景気刺激策の支給と(超富裕層の)現金、つまり80~90%が個人投資家による資金流入に支えられた上昇により、主要コインからアルトコインへの急速な資金流入が促進された」。 アメリカ国民への潜在的な関税配当が同様に、暗号資産市場の強気相場を拡大させるかどうかは、まだ見通せない。 今年の暗号資産市場の上昇(時価総額は約4兆ドルに拡大した)は主にビットコインやイーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、バイナンスコイン(BNB)、エックス・アール・ピー(XRP)などの主要トークンが牽引している。 アルトコインが追随できなかった要因の一つは、アメリカの金利が4%超に上昇していることだ。2020年はゼロ金利に固定され、金融市場の隅々で利回り追求が活発化していた状況とは対照的だ。 もう一つの理由は、暗号資産市場全体の時価総額が大幅に拡大したことで、市場全体での無差別な上昇を抑制している点だ。 「金利上昇と市場規模の拡大により、アルトコインの無差別な上昇はほぼ不可能になった」とデ・マーレ氏は述べた。今後のアルトコイン相場はより選択的で規律あるものとなり、投機的な熱狂ではなく真の有用性によって駆動されるはずだ。現実世界の需要と空虚な宣伝を区別するには厳密な分析が求められるだろう。 |翻訳:CoinDesk JAPAN|編集:井上俊彦|画像:Midjourney/Modified by CoinDesk|原文:Altcoins Set to Surge? Trump Weighs $2K Personal Tariff Windfall for Americans
CoinDesk Japan 編集部