ネタニヤフ首相、国連演説でイスラエル軍の行動擁護 複数の代表団が抗議の退席

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画像説明, 国連総会で演説するイスラエルのネタニヤフ首相(左)と、演説が始まる前に退席する複数の国の代表団(24日、米ニューヨーク・国連本部)

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ヤロスラフ・ルキフ、トム・ベイトマン米国務省担当特派員

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は24日、国連総会で演説し、イランやパレスチナ・ガザ地区など中東各地での自国の軍事作戦を強く擁護し、「我々は勝つ。他に選択肢はない」と戦いの継続を約束した。首相が壇上に上がると、複数の国の代表団が次々と抗議のために退席した。

複数の代表団が目の前で退席するなか、首相は「道徳的に弱腰の臆病者がまだ会議場に残っているなら、今すぐ出て行ってください」とも述べた。

首相はその上で、イスラエルがガザ地区でジェノサイド(集団虐殺)を行っているという非難を否定した。

ネタニヤフ首相が国連本部で演説する数時間前、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長は国連への録音メッセージの中で、イスラエルの政策、特に占領下のヨルダン川西岸におけるイスラエル人入植地の違法な拡大は、「パレスチナ人の故郷において、その生命と存在そのものを脅かしている」と述べた。

アッバス議長はまた、イスラエルの入植地拡大はイスラエルとパレスチナ間の和平に向けて、国際的に支持されている2国家解決案を危うくするものだと批判した。

ガザ地区については、パレスチナ人はイスラエル軍によって「殺害、破壊、飢餓、強制移住の動き、そしてジェノサイド戦争」にさらされていると議長は強調した。

アメリカ政府がアッバス議長の入国ビザ発給を拒否したため、議長はビデオ映像で総会演説を行った。

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画像説明, 停戦発効から約1年がたつものの、ガザ地区の復興はまだ始まっていない(21日、ガザ市内)

首相は自分への批判に反論

対するネタニヤフ首相は演説で、自分を批判した国々や指導者たちを激しく非難した。首相に対しては、戦争犯罪の容疑で国際刑事裁判所(ICC)が逮捕状を出している。

「(自分を批判する者たちは)イスラエルを、ごくごく小さいイスラエルを、植民地主義だと非難している。我々を非難するのは、いったい誰か? その中にはイギリスやフランスの人々も含まれる。なんていうことだ。そもそも植民地主義という表現を作り出したのは、彼らなのに」

首相はさらに、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領を「暴君」と呼び、パレスチナの武装組織ハマスを支援していると述べた。

エルドアン大統領は22日の国連総会演説で、ガザ地区とヨルダン川西岸地区の人々が直面している不正義は「人類の良心を深く傷つけるものだ」と批判していた。

ネタニヤフ氏は、国連本部のあるニューヨーク市の左派市長ゾーラン・マムダニ氏も批判した。マムダニ市長は今年7月、ネタニヤフ首相を拘束すると公言していたが、後に自分にはそのような権限がないと撤回している。

「あなたがこの市の市長に選出されて以来、多くのユダヤ人がニューヨークで身の安全を感じられなくなっている」とネタニヤフ首相は述べた。

マムダニ市長の事務所は声明で、ネタニヤフ首相が「パレスチナ人虐殺を正当化するために、根拠のないうそを繰り返した」と述べた。

「イスラエルとアメリカは、自分たちを守るためだけでなく、文明を救うために協力した」のだと、首相は述べた。

迫る総選挙

イスラエルに対する各国の支持にひびが入り、イスラエル人が孤立を深めるなか、ネタニヤフ首相の国連演説の大部分は、首相が最も説得する必要のある二つのグループに向けてのものだった。10月末に総選挙を控えるイスラエル国民と、アメリカ人だ。

ハマス主導の2023年10月7日の攻撃以降、イスラエルでは初の総選挙となる。ネタニヤフ氏はかつて「ミスター安全保障」のイメージで定評があったが、国民の目はますます厳しくなっている。

イスラエルの現地紙ハアレツは今月8日、首相が10月7日の攻撃直前にアラブ首長国連邦(UAE)の大統領から計画について警告を受けていたと報じた。ネタニヤフ氏はこれを否定し、名誉毀損(きそん)の訴訟を起こすよう弁護士に指示した。しかし、この報道を受けて、首相の政敵の間では、ネタニヤフ氏が首相として不適格だという批判が相次いでいる。

ネタニヤフ氏が率いる宗教右派の連立政権は、世論調査の支持率で低迷している。それだけに、首相が国連総会で見せた強硬姿勢は、今後の選挙戦でも繰り返されると予想される。

自分に国連演説に抗議して複数の代表団が退席するのを前に、首相が口にした「道徳的に弱腰の臆病者」という発言は、あらかじめ用意していた様子だった。首相はこの表現を今後も繰り返し、イスラエルへの国際的な批判が高まる中で、それに本当の意味で対抗できるのは自分だけだと、首相は国内に向けて強調していくと思われる。

明らかにアメリカ国民を意識したと思われる発言では、イランに対する米・イスラエルの共同作戦をたたえ、トランプ氏をたたえるなどした。

ネタニヤフ氏は イスラエルで生まれた後、幼少期を米ペンシルヴェニア州で過ごした。それだけに首相は常に、自分はアメリカに対してイスラエルの立場を説得できる、そのための独自の能力があると、アピールしてきた。

アメリカはイスラエルへの武器供給を続けている。しかし、アメリカ国民の間では、イスラエルに対する姿勢に揺らぎが見える。

世論調査によると、民主党支持者の間でイスラエルへの支持が急落しているほか、共和党支持者の間で歴史的に高水準だった支持が崩れている。この現象は、トランプ氏を支えてきた「MAGA(アメリカを再び偉大に)」運動支持者にも広がっている様子がうかがえる。

国連前でイスラエル批判デモ

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画像説明, ネタニヤフ首相の国連演説に先立ち、国連本部前では「ジェノサイドを終わらせろ」、「パレスチナを解放しろ」、「イスラエルに武器を与えるなとユダヤ人が言っている」、「爆弾ではなく人に資金を」などと訴えるグループが抗議デモを行った(24日、ニューヨーク)

ネタニヤフ首相の国連演説を前に、イスラエルへの武器提供などに抗議するグループが国連本部前でデモを行い、数人が警察に拘束された。

拘束された中には、アカデミー賞受賞経験のある俳優スーザン・サランドン氏や、米人気コメディドラマ「Hacks」に出演し米エミー賞を受賞している俳優ハナ・アインバインダー氏も含まれる。

また、民主党から米連邦議会下院選に出馬しているダリアリザ・アヴィラ・シュヴァリエ氏と、ニューヨーク市議会議員のチ・オッセ氏も拘束された。

ニューヨーク市警の報道官によると、抗議者たちが「予定外のデモ」を行い交差点を封鎖していると通報を受けたため、警官隊が出動したという。

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画像説明, 抗議デモには米俳優スーザン・サランドンさん(中央)も参加し、後に拘束された

ハマス主導による2023年10月7日のイスラエル南部攻撃では、約1200人が殺害され、251人が人質とされた。それを受け、イスラエル軍はガザ地区で地上攻撃を開始した。

ハマスが運営する保健省の統計によると、イスラエル軍の作戦により、ガザ地区では7万3920人以上が殺されている。

対するイスラエルは、ガザ地区における自らの行動がジェノサイドに相当することを繰り返し否定し、自衛手段として正当化されるものだと主張している。

イスラエルとアメリカは今年2月28日、イランが秘密裏に核兵器を開発している疑いがあるとして、イランに対する大規模な空爆を開始した。イラン側はこの主張を否定している。

イランは報復として、イスラエルおよび米軍が駐留する近隣の湾岸アラブ諸国を、ミサイルとドローンで攻撃した。

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