RBCブルーベイ、円買いに動く-日銀利上げ観測と自民総裁選に注目
RBCブルーベイ・アセット・マネジメントは円のロングポジションを取っている。日本の首相交代や日本銀行による10月利上げの可能性が円高を一段と後押しすると見込んでいる。
最高投資責任者(CIO)のマーク・ダウディング氏はインタビューで「ドル・円が150円をわずかに下回る水準」でドルのショート(売り持ち)ポジションを構築したと明らかにした。「10月の利上げは起こり得る、あるいは起こる可能性が高いとみている。そのため、自民党総裁選で小泉氏が勝利するとすれば、今が円ロング(買い持ち)の魅力の高い時期だと考えている」と話した。
投資家は、自民党総裁選への立候補を正式に表明した小泉進次郎農相について、金融引き締めに前向きな姿勢を持つと見なしている。これに対し、有力な対抗馬とされる高市早苗氏は金融緩和や財政拡張を支持するとみられている。自民党は7月の選挙で大敗し、石破茂首相の退陣表明を受けて10月4日に総裁選が実施されることになっている。
ブルーベイはドル・円が短期的に140円に向かうとみている。また、中期的な適正水準は135円に近いと予想している。過去3カ月間で円はG10通貨の中で対ドルで最も弱く、0.8%下落した。17日午前10時19分時点では146円51銭と小幅に上昇していた。
ブルーベイとは対照的に、ヘッジファンドは9月2日まで4週連続で円の売り持ちを積み増した。バンク・オブ・アメリカ(BofA)やHSBCホールディングスのストラテジストも円の対ドル下落が続くと予想している。
ロンドンに拠点を置くブルーベイはこの1カ月にポジションを積み増した。日銀の植田和男総裁や他の当局者の発言から、政治リスクが障害とならなければ政策正常化は継続するとの見方が示されたことから円買いに動いた。
政治的混乱にかかわらず日銀が年内に追加利上げする可能性があるとブルームバーグ・ニュースが報じた後、トレーダーは追加引き締めへの期待を強めた。オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)は年内利上げ確率を約60%織り込んでいる。日銀は今週の金融政策決定会合で、政策金利(0.5%)を据え置く見通しだ。
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日本の政治的不透明感や財政リスクを背景に超長期国債の利回りは上昇し、30年債利回りは9月初めに過去最高の3.285%に達した。ダウディング氏はこの水準を「絶対水準として」魅力的と評価している。
同社は現在、30年物日本国債を10年債に対してロングにしている。長く維持していたショートポジションは今年これまでに手じまった。ダウディング氏は、自民党総裁選で小泉氏が勝利し日銀が利上げを実施すれば、「デュレーション(債券の金利感応度)を長くする」ことを検討すると述べた。そのような展開となればインフレ抑制に向けて「政策当局が正しい対応をしていると信頼できる」と説明した。
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原題:RBC BlueBay Goes Long Yen, Eyeing BOJ Rate Hike, Leadership Vote(抜粋)