メタ、AIスマートグラスに初めてスクリーン搭載-価格は約12万円
米メタ・プラットフォームズは17日、スクリーンを搭載した初のスマートグラスを発表した。主力製品に据えることを目指している。
最新モデル「メタ・レイバン・ディスプレー」は、右側のレンズにスクリーンを搭載している。スクリーンではテキストメッセージやビデオ通話画面、地図でのナビゲーション、メタの人工知能(AI)サービスへの質問に対するビジュアルの回答なども表示できる。
ユーザーのスマートフォンのカメラ用ビューファインダーとしても機能し、音楽再生を表示することもできる。価格は799ドル(約11万7000円)。
マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、メタの年次イベント「Meta Connect」で、同社のグラス製品がいずれ「スーパーインテリジェンス」の手段になると述べた。この用語は、先進的なAI開発を表すために同CEO採用したもので、社内チームの名称にもなっている。
ザッカーバーグ氏は、カリフォルニア州にあるメタ本社のステージ上で「AIは人々に奉仕すべきものであり、社会の大部分を自動化するためにデータセンターに置かれるだけの存在であってはならない」と語った。
メタのアンドリュー・ボズワース最高技術責任者(CTO)は発表前のインタビューで同スマートグラスをこの分野で「初めてとなる本格的な製品」と位置づけた。
メタがAIグラスと呼ぶスマートグラスではスクリーンの搭載がカギを握る。将来的にはスマートフォンの機能の一部をスマートグラスで利用できるようになる可能性がある。
アップルやグーグルといったライバルに対抗するメタは2016年に初めて仮想現実(VR)ヘッドセットを発売して以来、既存のプラットフォームからユーザーを引き離すことを目指している。
同スマートグラスには新しい操作システムが導入された。従来通りフレームをスワイプする操作に加え、利き手に装着するリストバンドが手のジェスチャーを検知するという仕組みだ。
ユーザーは親指と人さし指をつまむことで項目を選択し、手の上を親指でなぞるとスワイプできる。また、親指を2回タップするとAIの音声アシスタントが起動し、空中で手を回すことで音量などの調整ができる。
さらにテレビのようにリアルタイムで会話を字幕表示する機能も搭載され翻訳にも対応する。ビデオ通話では、相手を映しながら自分の視点を共有することもできる。
年内には空中で手を動かすことで文字を入力できる機能も盛り込まれる予定。将来的には、会話している相手と関係のない雑音をカットする機能も追加される見込みだ。
新型グラスは30日発売の予定で、リストバンドも同梱(どうこん)される。サイズは2種類あり、色はブラックとブラウン系の2色。
フェイスブックのメッセンジャーやWhatsApp(ワッツアップ)、スポティファイの音楽アプリなどに対応し、インスタグラムはダイレクトメッセージのみの対応となる。年内にリールの閲覧ができるようになる見通し。
ボズワース氏は、スクリーン搭載のスマートグラスについて来年末までに10万台以上を販売する見通しで、生産した分はすべて売れると予想している。
今後は、左右両方のレンズにスクリーンを搭載する新モデルなどの開発に取り組むとしている。また、専用のアプリストアを開設する可能性にも言及したが、初代モデルに搭載されたクアルコム製品のアップグレードが必要なため、時間を要すると語った。
スクリーン非搭載の新モデル
また、メタはスクリーンを搭載しないスマートグラスについても新たな製品を発表した。
レイバンの新製品にはネービーブルーなどの新色が加わり、ビデオ解像度は1080pから3Kへ向上した。バッテリーの寿命は40%長くなった。価格は299ドルから379ドルへと値上げとなったが、関税ではなく部品や利益率を理由に挙げている。旧モデルも引き続き販売される。
また、スポーツ用途に特化した「オークリー・バンガード」は防水性を強化し、顔にフィットする形状が特徴。カメラは中央に配置され、60fps動画やスローモーション、タイムラプスなどの撮影モードも搭載している。
原題:Meta Launches $799 Glasses With Screen and AI Integration(抜粋)