「火災保険に入ってない」林家ペー・パー子さん、マンション火災で悲痛…自宅から火の手 負担はどうなる
タレントの林家ペーさん、パー子さん夫妻が住む東京都北区の赤羽エリアにあるマンションの一室で火災が発生したと報じられた。煙を吸って病院に搬送されたパー子さんは指にやけどを負った。自宅を離れていたペーさんも無事だったが、自宅にいた猫が亡くなった。
報道によれば、9月19日の火災によって、約30平方メートルが焼けたという。詳しい状況は不明だが、パー子さんが仏壇でロウソクに火をつけようとしたところ、燃え広がったという。
警察と消防によって出火原因がわかっていくだろうが、21日になって、出演した寄席でペーさんが「古いソケットの間のコードが漏電というかショートしたみたい」と明かしたという。
メディアの取材に「火災保険も入っていなかった」などと語ったペーさん。保険に入っていない場合、夫妻はどんな負担をしなければいけないのか。濵門俊也弁護士に聞いた。
●「重大な過失」があれば賠償責任を負うことも
——自宅から出火し、火災保険に入っていなければ、夫妻が損害賠償の責任を負うのでしょうか。
火災が発生した場合に、火元となった住人が損害賠償責任を負うかどうかについては、「失火責任法」(失火ノ責任ニ関スル法律)によって特別な扱いがされています。
通常、不法行為によって他人に損害を与えた場合は、民法709条に基づいて損害賠償責任を負います。しかし、火災に関しては、火元の住人が「重大な過失」を犯していない限り、延焼などによって他人に損害を与えても、損害賠償責任を負わないとされています。
ですので、夫妻に重大な過失がないと判断されれば、損害賠償の責任は負わないと考えられます。
——どのような場合に、失火責任法における「重大な過失」が認められるのでしょうか
単なる不注意ではなく、通常人であれば容易に予見できた危険を無視したような、極めて注意義務を怠った行為であれば、重大な過失とされます。
たとえば、以下のようなケースは重大な過失と判断される可能性があります。
• 寝たばこによる火災 • ストーブ近くに可燃物を置いて外出 • ガソリンなど危険物の不適切な取り扱い
• 電気配線の不具合を認識しながら放置
このように、火災の原因が明らかに危険であり、注意を払っていれば防げたと認められる場合には、火元の住人は損害賠償責任を負うことになります。
——火災保険未加入であれば、どんな影響が及ぶことがありますか。隣室など他の部屋にも燃え広がる、消火活動により階下が水浸しになるなどの影響があれば、その修繕などの費用は夫妻が負担すべきでしょうか。
火災保険に加入していない場合、火元の住人は自宅の損害については自己負担となります。火災保険は、建物や家財の損害を補償しますが、未加入であれば修繕費などすべて自分で負担しなければなりません。
一方で、隣室や階下など他人の住居に損害が及んだ場合でも、火元に重大な過失がなければ、損害賠償責任は免除されます。消火活動で階下の部屋が水浸しになるようなこともありますが、そのような二次的な損害についても、火元に重大な過失がなければ、損害賠償責任は免除されると考えられます。
火災保険に加入していない場合、法律上は他人への損害賠償責任を免れる可能性が高いとはいえ、実際には近隣住民との関係や社会的信用に影響を及ぼすことがあります。
また、火災原因の調査によって重大な過失が認定されれば、損害賠償請求を受ける可能性もあります。
火災保険への加入は、こうしたリスクに備える意味でも重要です。
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