恐竜以前に頂点に君臨、全長6mの巨大なワニの仲間の新種を発見 2億3700万年前
アルゼンチンの古生物学チームが、約2億3700万年前のワニの仲間の化石を発見した。刃のように平たく、ノコギリのように縁がギザギザになった歯を持つこの動物は、大型恐竜が現れて王座につく前の三畳紀の陸上を支配していた。論文は6月8日付けで学術誌「Papers in Palaeontology」に掲載された。 【動画】7000万年前の「超肉食」ワニの新種、陸の恐竜を捕食か 「私たちは、この動物は三畳紀の頂点捕食者だったと考えています」と、論文の筆頭著者で、アルゼンチン国立科学技術研究評議会(CONICET)の脊椎動物古生物学専攻の博士課程奨学生のアリエル・カルディージョ氏は言う。「当時の生態系に生息していた他の生物と比較すると、彼らは非常に大きな動物でした」 鼻先から尾の先まで、新種シャカルラ・リオハネンシス(Shakajlura riojanensis)の体長は約6メートルに達していたと考えられる。「たいした大きさではないように思われるかもしれませんが、三畳紀の動物相は、かなり小さなものが大半を占めていたのです」とカルディージョ氏は言う。氏は、シャカルラの噛む力は現代のワニ並みだった可能性が高く、どの歯も「口から突き出たナイフのよう」と付け加えた。 約2億5200万年前にペルム紀を終わらせた史上最大級の大量絶滅「グレート・ダイイング」の後に生物たちが回復してきた時代についてはまだほとんど解明されていない。今回の発見は、この時代に関して新たな知見をもたらすものだ。 「今、陸上の生態系は、まさにあの大量絶滅以前の状態へと戻り始めています」と、今回の研究に関与していない米セントラル・オクラホマ大学の古生物学者キーガン・メルストロム氏は言う。「この大量絶滅を生き延びる生物が、実質的に地球を受け継ぐことになるのです」
2017年、アルゼンチンのラ・リオハ州にあるチャニャレス層で三畳紀中期から後期にかけての化石堆積層を発掘していたカルディージョ氏の同僚たちは、岩から突き出している上顎骨の一部に気がついた。彼らは他の数点の化石とともにそれを掘り出し、ラ・プラタ博物館に送った。 研究チームが発見した化石は、頭蓋骨、上顎と下顎の一部、背骨、四肢の断片、骨盤の一部だった。彼らはこれらを総合的に検討し、自分たちが発見したのは、古代のワニの仲間であるパラクロコディロモルフ類だと考えた。 彼らは学名を、化石が発見されたラ・リオハ州(La Rioja)と、この地域の先住民のディアギータ族がかつて話していたカカン語で「祝福されたトカゲ」を意味する言葉にちなみ、シャカルラ・リオハネンシスとした。この名前は、今回の発見がどれほど珍しいかも表している。アルゼンチンで同じグループの新種が最後に記載されたのは30年近く前の1997年だからだ。 シャカルラは、短剣のような歯がずらりと並んだ顎を使って、ディキノドン類(哺乳類の遠い親戚にあたる単弓類で、大型の植物食種もいた)などを捕食していたと考えられる。ワニ類が半水棲の生活様式に適応したのはずっと後のことなので、シャカルラは現生のワニのように水辺で腹這いになって獲物を待ち伏せするのではなく、胴体の下に脚がまっすぐ伸びた姿勢で、陸上で獲物を追いかけ回していた可能性があるとカルディージョ氏は言う。 動きがにぶく群れをなしていたディキノドン類は、彼らの格好の獲物だっただろうと氏は付け加える。ただし、研究チームはこの動物がどれほどの速さで走れたかについて、生体力学的分析は行っていないという。 メルストロム氏は、シャカルラの大きさに感銘を受けたと言うが、狩りの方法について結論を出すことには慎重だ。ライオンが草むらに潜んで獲物を待ち受けるように、シャカルラも待ち伏せを利用していた可能性はあると氏は指摘する。 「彼らがチーターのように獲物を追い詰めて捕食するような動物でなかったことは確かです」とメルストロム氏は言う。とはいえ、シャカルラが現生のワニのように待ち伏せのみによって狩りをしていたわけでもないと氏は見ており、短距離の追跡は可能だったのではないかと推測している。