「イギリスの所さん」エルトン・ジョンが作った「スズキ車」とは? 令和に大復活!?
イギリスのトップシンガーで、無類のクルマ好きとしても知られるエルトン・ジョン。実はかつてスズキ車のイメージキャラクターを務め、自身の名を冠したモデルも存在しました。そのモデルが令和に復活を遂げます。
「本人公認特別モデル」が存在!? “イギリスの所さん”なエルトン・ジョン
イギリスが生んだ世界屈指のシンガーソングライター、エルトン・ジョン。シングル・アルバムを合わせた売り上げは日本円で3億前後とも言われ、1969年のデビュー以来いまなお絶大な影響力を持っています。2025年6月には、Amazon創業者であるジェフ・ベゾス氏の結婚式に参列し、レディー・ガガとともにパフォーマンスを披露して話題となりました。
スズキのエスクード(ビターラ)のエルトン・ジョンモデル(松田義人撮影)そんなエルトン・ジョンは、無類のクルマ好きとしても知られています。彼がクルマにハマるきっかけとなったのが、初めて所有したというフェラーリの希少なクラシックモデルである365GTB/4“デイトナ”。以来、彼はV12エンジンのフェラーリをはじめ、アストンマーティンDB7やベントレー、マセラティ・クアトロポルテなど、さまざまなクルマをコレクションしています。
エルトン・ジョンのコレクションは生産国を問わず、高級車から大衆車まで多岐に渡るとされており、その所有車は時折オークションに出品されることも。一部には日本人が落札した車両も存在する、という噂もあります。実際に彼は慈善活動にも熱心で、アートカーとして仕上げたアウディA1をチャリティオークションに出品し、収益を自身の運営するエイズ基金へと寄付したエピソードなどは有名です。
エルトン・ジョンは「イギリスの“所さん”」とでも言うべきか(はたまた「日本版エルトン・ジョンが所さん」なのか?)はわかりませんが、楽器のシグネチャーモデルよろしく、実は日本メーカーのクルマに「エルトン・ジョン モデル」を残しています。
それは1988年にスズキが発売した初代「ビターラ」。一時期、彼はビターラのイメージモデルに起用されていました。
ビターラは、日本では初代「エスクード」としてヒットを飛ばした、今でいうコンパクトSUVの先駆け的なクルマです。開発時のコンセプトは「クロスカントリーセダン」。本格的なオフロード車顔負けの性能を持ちつつ、小型・低燃費で街乗りにも適したモデルでした。エスクードは欧州で「ビターラ」、北米向けは「サイドキック」を名乗り、日本だけでなく世界で販売され、当時ありそうでなかった1台として注目されました。
このエスクード(ビターラ)の販売において、エルトン・ジョンはドイツ向けモデルのイメージキャラクターを務めました。さらに1997年には、彼の名を冠した特別仕様車のビターラ「エルトン・ジョンモデル」まで登場。スペアタイヤカバーには鍵盤をモチーフにしたエルトン・ジョンのイメージビジュアルが描かれ、ボディにも同様のデカールがあしらわれていました。
ドイツ本国では大いに注目を浴びた一方、日本では“知る人ぞ知る1台”であるビターラ エルトン・ジョンモデルですが、現在は静岡県浜松市の「スズキ博物館」において、本人の直筆サインの入った車両を見ることができます。
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エスクードは2024年に日本国内のラインナップから姿を消しましたが、同年11月にはイタリアのミラノで、バッテリーEVとして生まれ変わった新型「eビターラ」がお披露目されました。日本でもeビターラの名前で2025年度内に発売予定です。
1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。