【えー!?】覚悟はしていたが…地下芸人の生活を覗いてみたら、芸名に忠実すぎる冷蔵庫に出会った
世の中には、地下アイドルや地下芸人という言葉がある。
SNSなどの発達で、以前よりも個人で露出するチャンスも増えてきているが、それでもまだまだ謎に包まれている部分も多い。
通称・地下芸人の帝王「ゆきおとこ」さんも、その一人だ。今回は、最近やや地上にあがりかけている、ゆきおとこさんの日常に密着させてもらった。
・ゆきおとこさんとは?
最初に、ゆきおとこさんのことを知らない読者のために簡単に説明をしておく。
ゆきおとこさんは、1968年6月17日生まれ、千葉県流山市出身のベテラン芸人。芸歴30年以上、地下芸人として長く活動してきたことから「地下芸人界の大御所」とも呼ばれている。
芸名は、ネタが寒すぎて凍る=雪男、という理由でコージー冨田さんが命名。TBS『水曜日のダウンタウン』の企画「S-1グランプリ」では2023年に準優勝。※S-1のSはスベリを意味する
2024年には同番組でユニットを組み、コントも披露した。現在は地元・流山市での無料ライブやネット番組への出演の他、地上波でも活動の場を広げている
・待ち合わせからの楽屋見学
待ち合わせは、南流山福祉会館の入口。
私の記事をすべて読んでくれている人がいるとしたら、ピンとくる場所かもしれない。ここは、以前紹介した、地下芸人が集まる無料お笑いライブの開催場所なのだ。
ゆきおとこさん、私服で登場!
どことなく貫禄があるなぁ。
ちなみに今回、ゆきおとこさんの他に謎のおじさま2人(Dさん、Nさん)が登場する。まるでマネージャーのように ゆきおとこさんを応援し、サポートしているお二人だ。顔出し許可をいただいたので、この後もちょくちょく写真に登場する。
せっかくなので、まずは楽屋をのぞかせてもらう。
「楽屋ってほどではないですが、ここに多い時は7、8人が入って控えているんですよー」(ゆきおとこさん:以下同)
思っていたよりコンパクトだ。ここから、気持ちを作っているのか……。
舞台にも立ってみた。結構観客の顔が見えるんだなぁと実感。
私があんまりネタで笑ってなかったのも見えているのか……。今度からは気をつけよう。
「お客さん用の椅子の準備とかも全部自分たちでやってるんですよ~」
無償でライブを開催し、できることはすべて自分たちで行う。地域貢献や文化活動の鑑(かがみ)かもしれない。
そこから、徒歩でゆきおとこさんの自宅に案内してもらった。
なお、事前にゆきおとこさんから忠告の電話があった。
「本当に汚いよ。あとで体調悪くなったとか言わないでね」
一応、マスクとアレルギー薬は準備しておいたが……。
・お待ちかねのお宅訪問
おじゃましまーす。
……おぉ!
事前に電話で忠告されていたので大丈夫……ではなかった。
かなり、モワーンとした空気のなか、至るところに埃がある。
本人に許可を取った上での表現だが、「こんなにひどい部屋は初めて見た」というのが率直な感想だ。
同行したおじさま2人も驚きながらもどこかワクワクしている。
「これが好きなんだよな~」と見せてくれたのは、真っ黒のコンロ。ノスタルジーを感じるらしい。
お宅訪問恒例(?)の冷蔵庫チェックもさせていただいた。
ん……?
これは……?
冷蔵庫の霜が巨大化して半分も占拠しているではないか!! 「ゆきおとこ」という芸名に忠実すぎるだろ。
つづいて見せてくれたのは、一枚の写真。
大切なご家族かなと思いきや、「ぼく、渥美清さんが大好きでファンの方からもらったんですよ」
ほかにも膝が悪いので、こんなものも贈り物としていただいたらしい。
にしても、埃が気になりすぎる。
ネタ帳も見せてもらった。
「おはヨーグルト」「ドリカムの歌が似合いそうな景色」と言った気になるワードがちらほら。いつか、流行語大賞を受賞するかもしれない言葉だから、よく覚えておこう。
やっぱり、埃と湿気がすごい。
ここで、普段どうやって寝ているのか質問してみた。
答えはこう。
……。
布団を敷くのがめんどくさいそうだ。ここで最近の生活について聞いてみた。
「昨日は小山で動画の撮影して帰宅が11時過ぎ。1時に就寝したかな。今朝は8時過ぎに起きて、19時半から地上波の収録に行って、22時半~6時まで郵便局でバイト。帰宅して寝て、土曜日は夕方に打合せがあって、日曜日が~」
郵便局でのバイトは、月火木金で芸歴とほぼ同じ34年続けているそうだ。
ふむふむと話を聞いていると、ここで問題発生。
まさかの展開は次のページへつづく!
参考リンク:ゆきおとこ公式X @yukiotoko0617 執筆:夏野ふとん Photo:RocketNews24.
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【まさか】最後に飛び出したのはアレだった。地下芸人ゆきおとこさんにインタビューしたら昭和にタイムスリップした
・取材中におじさまDに異変が……
なかなかカオスなゆきおとこさんの自宅。話を聞いていたところ、突如おじさまDに異変が発生。
体がかゆくなってきたというのだ。
心配なので、取材場所を再び南流山福祉会館へと移すことにして、自宅をあとにする。
道中、「靴下汚れたでしょ? 西松屋で買ってあげるよ」とまさかの靴下オファーをかますおじさまD。元気そうでよかった。
このおじさまD、ゆきおとこさんと漫才コンビを組んでほしいくらい、ちょくちょくいい味出してくる。
途中で近くのファミリーマートに「ゆきおとこさんコーナー」があるとのことで案内してもらった。
あった!!
広報に掲載された誌面や出演しているラジオの告知チラシなどが貼ってある。
その横で「自然にしてください」とお願いしたのに、ついつい手がネタ中の動きになってしまうゆきおとこさん。どうしても芸人魂があふれ出てしまうらしい。
おじさまDが飲み物を買っているタイミングにも、「ポイントお願いします!」としっかりポイ活。芸人としても生活者としても抜かりがない。
そして、再び大広間でのインタビュースタート。
「ここでお話伺いますね」と始まった瞬間、なぜか取り調べ感が漂うと感じたのは私だけだろうか。
・インタビュー再開:34年目のリアル「やめられないし、やめたくない」
──改めて自己紹介お願いします。
どうも、「ゆきおとこ」です! 芸歴は34年目くらいかなぁ。平成4年に渋谷の道頓堀劇場で芸人デビューして、いくつかコンビも経験したあと、今はピン芸人として漫談とかブリッジネタを中心に15年以上やってます。
──どうして芸人になろうと思ったんですか?
子どもの頃、ちょうど漫才ブームの真っ最中で、毎日のようにテレビでお笑い番組が流れてたんだよね。そんなのを見てるうちに、「自分もこんなふうに面白いことやって、人を笑わせたいな〜」って思うようになったのが始まりかな。
──「ひっぱり回してやりました!」や「Want you~」の決め台詞が誕生したきっかけはなんですか?
漫談ベースの芸風が長かったんだけど、賞レースやテレビのネタ見せ用に短いブリッジ型にしたのが7〜8年前くらい。テレビで見せられるのは限られた時間だから、そこに合わせて自然と変わっていったんだよね。
「ひっぱり回してやりました!」ってていうフレーズは、昔一緒に飲んでた頃の「ひっぱり回すぞ~」口癖を聞いた友人が、それおもしろいからネタにいいじゃんって言ってくれて。「Want you~」には、笑ってくれとか 仕事をくれって思いを込めてるんだよね。
──あんまり世には広まっていないけど、自分では面白いと思うネタはありますか?
「ウェルカムウェルカムチューンガム」とかかなぁ?
──それめっちゃおもしろいじゃないですか?
ほんと? ははは!
──(無言)……。芸人しながら、深夜の郵便局のバイトの両立ってかなりハードでは?
うん、そうだね~。でももう慣れたかなぁ。郵便局のバイトも芸歴と同じ34年やってる。芸人だけじゃ食べていけないのが現実だし。でも『水曜日のダウンタウン』に出て、知名度がちょっと上がって、また新しい風も入ってきた。続けていれば、何かが変わるって信じてる。
──「もうやめよう」と思ったことは?
ないね。やめたら、今までの努力が全部もったいないでしょ? 地下芸人としてのメリットもあるし、ずっと何かを続けていたい。何もない時期もあったけど、そういうときこそ積極的に動いてきた。
今は「いい仕事をしたい」「目の前のことをひとつずつ」って気持ち。地上波にも、もっとたくさん出たいよね。
──印象的なファンの方はいますか?
九州から、わざわざ南流山お笑いライブに来てくれた方がいたときには驚いたね。交通費もかかるから、もういいよって言ったけど、嬉しかったなぁ。
あとね「滑ってても、偉そうにしてるのがいい!」って言ってくれるファンもいる(笑)。
最近は男性ファンが増えてきたかな。あ、あと営業で山梨行ったときに「YouTubeで見て好きになった」って言われたり。地上で目立たなくても、見えないところでちゃんと届いてるんだなって思うよ。
──それは嬉しいですね。しかも最近、TBS『ラヴィット!』に出演したり、日産のCMラジオに抜擢されたり、すごいですね。
日産のラジオCMやったときも、帰りの新幹線で「まだ夢を見てるのかな」って、じんとしたなぁ。「ああ、生きててよかったなぁ」って。
いい話を聞いている最中だったが、ここで私の体にも異変が……。くしゃみが止まらなくなってきた。なので最後にこの質問をして終わることにした。
──最後にロケットニュースの読者の方にメッセージはありますか?
ロケット読者の方に僕のこと知っている人どれくらいいるかなぁ? まぁいいや。地上と地下の間でいろんな活動をしています。Xなどでも発信しているので是非応援していただけると嬉しいです。Want you~!
・最後にくれた、なぞのプレゼント
全ての取材が終わり、こちらが挨拶をしていると「そうだ、(私夏野ふとんの)お子さんにプレゼントがあるんです」と、急にリュックをごそごそ。
出てきたのは……
な・め・ね・こ!!
なつかしい! うれしい! でもなんで今これ!?(笑)
予想の上をいく部屋と、芯の強さと、なぞのお土産センス。すべてを残して、ゆきおとこさんは今日も涼しい顔で、次の笑いの現場へと消えていった。
ゆきおとこさん、ご協力ありがとうございました!
次は画面越しで「ウェルカムウェルカムチューンガム」、聞きたいです!
参考リンク:ゆきおとこ公式X @yukiotoko0617 執筆:夏野ふとん Photo:RocketNews24.
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▼いつもの赤い衣装