絶滅したと思われていた動物。80年ぶりにひょっこりカメラに映ってた
オーストラリアで「もうこの場所にはいない」と思われていた動物が、80年以上ぶりにカメラに姿を現したとIFLSが伝えました。
撮影されたのはNorthern quoll(ノーザン・クオール)。現地では「ノーザン・ネイティブ・キャット」とも呼ばれる有袋類です。
ネイティブ・キャットと言われるので、どんな外見をしているのかと興味津々で画像を見たら…あれ? これはリスなのかな…?
キャットだけどネコじゃない
ノーザン・クオールはネイティブキャットといわれていますが、「ネコサイズの有袋類」であってネコではありません。
そしてオーストラリア北部 ノーザンカーンジュ国にあるPiccaninny Plains Wildlife Sanctuaryでは、長年クオールの姿が確認されておらず、研究者の間では「すでに姿を消した」と考えられていました。
転機になったのは、保護区マネージャーのニック・ストック氏の勘が働いたから。
ヘリコプターで上空から調査中、周囲から孤立した岩場を見つけ、「ここなら生き残っているかもしれない」と考えたそうです。そしてカメラトラップを1台設置したところ、数日後そのカメラに、夜行性のクオールがはっきりと映り込んでいたのです。
なぜノーザン・クオールは姿を消したのか
ノーザン・クオールは、かつてオーストラリア北部から東部にかけて広く分布していました。しかし1930年代、害虫対策として持ち込まれたウシガエルが状況を一変させたのです。
ウシガエルは強力な神経毒を持ち、オーストラリアの在来動物はこの毒に耐性を持っていませんでした。肉食性のクオールはこれを捕食してしまい、個体数が急減。さらに生息地の減少、野生化したネコなどの外来捕食者、森林火災といった要因が重なって、多くの地域で姿を消していきました。
この保護区でも2008年以降、何度も調査とカメラ設置が行なわれましたが、クオールは一度も確認されていません。だから、今回の映像は研究者たちにとって衝撃的だったのです。
「再発見」は保全のスタートライン
この発見に、オーストラリア野生生物保護協会(AWC)の生態学者ヘレナ・ストークス博士は、「長年の沈黙を破る、非常に励みになる出来事」とコメントしています。
重要なのは、見つかったこと自体が“次の行動”につながるという点。
調査の結果、この岩場周辺は火災管理が行き届き、長期間焼失を免れていたこと、さらに野生ネコの痕跡が見られなかったことも判明しました。つまり、この場所はクオールにとって“最後の避難所”のような環境だった可能性があります。
研究チームは今後調査範囲を広げ、この地域に何頭のクオールが残っているのか、そしてウシガエルという脅威にどう適応して生き延びているのかを調べていく予定です。
ストック氏はこう語っています。
「絶望しかけていたときに、この小さなクオールが希望を思い出させてくれました。自然を守ることは簡単ではありません。だからこそ続ける意味があるんです」
映っていたのは、たった1頭です。しかし、絶滅だと思われていた命が、まだどこかで踏ん張っていることを確かに示す証拠です。
まさに希望ですよね。
Source: IFLS