「酸や熱によるストレスを与えると増産できる」細菌から生産される抗生物質 "シネフンギン" ストレス応答を利用した増産機構を解明【岡山大学】
岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域の田村隆教授らの研究グループは、抗ウイルス・抗原虫(寄生虫を体内で駆除するための)作用を持つ核酸系抗生物質シネフンギンの生産が、熱ストレスおよび酸ストレスによって大きく向上する条件を確立するとともに、抗ウイルス剤の増産を支えるタンパク質品質管理遺伝子群(分子シャペロン=細胞内でタンパク質が正しい立体構造〈フォールディング〉をとり、機能を獲得するのを助けるタンパク質の総称)の機能分担を初めて明らかにしました。 【写真を見る】「酸や熱によるストレスを与えると増産できる」細菌から生産される抗生物質 "シネフンギン" ストレス応答を利用した増産機構を解明【岡山大学】 この成果は2026年4月27日に、国際科学誌『Scientific Reports』に掲載されました。 ■シネフンギンとは? 放線菌S. incarnatusは核酸系抗生物質シネフンギンを生産します。 放線菌とは、主に土壌中に生息する細菌(バクテリア)の一群です。カビのように糸状に伸びて増殖し、大腸菌などと同じ「細菌」に分類されます。 放線菌から生産されるシネフンギンは、真菌や原虫(寄生虫)、ウイルスを体内で駆除する抗生物質で、哺乳類への毒性が低いことで注目されています。 放線菌の二次代謝産物を増産させる上で、ヒートショックや酸性ストレスなどの適度なストレスを与えることが有効であることが報告されてきました。 この研究では、抗生物質を2倍、3倍増産させるストレス下において ヒートショックタンパク質群がどのような挙動を取るのかを検討しました。 ■酸や熱によるストレスを与えるとシネフンギン生産能は向上 実験では、酸や熱によるストレスを与えることで、シネフンギン生産能は向上しました。また、両条件でストレスを与えた直後である培養初期に、品質管理遺伝子群の発現が誘導されていました。 【図1】のDnaK/DnaJは、翻訳されたポリペプチド鎖に結合してフォールディングを介助する働きを担います。 DnaKの作用によって構造回復できなかった場合は、groEL/ESが再生工場として活性を持つタンパク質に再生する働きを担います。