天の川銀河中心の過剰なガンマ線放出「GCE」の起源に「ダークマター説」が再浮上(sorae 宇宙へのポータルサイト)
通常の物質(バリオン)の5~6倍も存在するのに、電磁波では観測できないとされる謎の存在「ダークマター(暗黒物質)」。その正体に関わる新たな研究成果を、ウィーン大学などの国際的な研究チームが発表しました。 “暗黒銀河”の候補「CDG-2」は質量の99%がダークマター? ハッブル宇宙望遠鏡のデータから発見 研究チームは、天の川銀河の中心部で観測されるガンマ線の過剰な放射について、近年否定的な結果が示されていた「ダークマター起源説」を再び後押しする結果を示しました。研究チームの成果をまとめた論文は、学術誌「Physical Review Letters」に掲載されています。
天の川銀河の中心部では、「GCE(Galactic Center Excess、銀河中心過剰)」と呼ばれる、球状に広がるガンマ線の放出が長年観測されてきました。 このガンマ線の起源に関しては、「ダークマターの対消滅によるもの」とする説と「高速で自転する中性子星(ミリ秒パルサー)などの多数の天体(暗い点源)によるもの」とする説が長らく対立しており、これまでの統計的分析ではパルサーなどの点源説が支持される傾向にありました。 しかし、ウィーン大学のFlorian List氏やローレンス・バークレー国立研究所のNick Rodd氏らの研究チームは、従来の解析手法では光子ひとつひとつのエネルギーについての情報が活用されていなかった点を指摘。100万以上のシミュレーションデータを用いて機械学習(ニューラルネットワーク)モデルを訓練し、空間情報とガンマ線のスペクトル(電磁波の波長ごとの強さの分布)の情報を初めて同時に評価しました。 その結果、もしも観測されているガンマ線が点源に由来するものであるならば、天の川銀河の中心には従来の想定(数百個~数千個)をはるかに上回る、3万5000個以上もの極めて暗い点源が必要となることが明らかになったといいます。 Rodd氏によれば、これほどまでに暗い点源の集まりが放つガンマ線は、暗黒物質の対消滅によって予測されるガンマ線放射の広がり方と、ほぼ区別がつかないといいます。研究チームはこの結果をもとに「ダークマター説を除外するにはまだ早すぎる」と結論づけ、ダークマターがGCEの起源として依然有力な候補であることを示しました。