Aぇ! group 佐野晶哉、朝ドラ『風、薫る』の抜擢はなぜ? 本人の言葉から振り返る“アイドルだからこそ”の演技

 Aぇ! groupの佐野晶哉が、2026年度前期のNHK連続テレビ小説『風、薫る』の新キャストに決定した。『風、薫る』は明治時代を舞台に、考え方がまるで違う2人のナースがぶつかり合いながら、やがて最強バディとなっていく成長ストーリー。佐野が演じるのは、新語や外国語に造詣が深く、主人公“りん”のよき相談相手となる島田健次郎だ。今回初の朝ドラ出演となった佐野は「おばあ孝行できます」と喜びを表現。自身が演じるキャラクターを早々に「シマケン」と呼ぶあたりも、彼の愛嬌を象徴しているようで微笑ましい。

2026年度前期 連続テレビ小説【風、薫る】出演者発表 第4弾!

島田健次郎 役🎊#佐野晶哉 さん🎊

<役柄>新しく生まれた言葉や外国語に造詣が深い。りんの良き相談相手になっていく。#朝ドラ #風薫るhttps://t.co/pbZWABZGVx pic.twitter.com/GuSBrcO500

— NHKドラマ (@nhk_dramas) September 13, 2025

 佐野といえば、小学校2年生のときからミュージカルスクールに通い、小学3年生には子役として劇団四季の舞台『ライオンキング』や『サウンド・オブ・ミュージック』で活躍してきたことでも有名だ。その後、中学2年生のときに観劇した堂本光一主演の『EndlessSHOCK』に感銘を受け、アイドルの道を志すことに。その後、関西ジュニアの活動を経て、2024年にはAぇ! groupのメンバーとしてCDデビューを果たした。

 デビュー以前より、演技のオファーが舞い込んできた佐野だが、デビュー後からはさらに加速。2024年にはドラマ『離婚後夜』(テレビ朝日)で主演に抜擢され、『Dr.アシュラ』(フジテレビ)でGP帯連続ドラマ初出演を叶える。同時期に映画『明日を綴る写真館』が公開されるなど、まさに引っ張りだこだ。

映画『か「」く「」し「」ご「」と「』本編映像 【 絶賛上映中!】

 2025年も映画『か「」く「」し「」ご「」と「』、『おそ松さん 人類クズ化計画!!!!!?』、劇場アニメ『トリツカレ男』の吹き替え、『ヨウゼン』の日本語吹き替え版で増田俊樹とダブル主演を務めるなど、その勢いは増すばかりだ。

 幼いころから大きな舞台を経験してきた佐野。舞台上で多くの人に注目されることはもちろん、カメラの向こうに何万人という視線があることも、きっと彼にとっては自然な状況なのだろう。そうした特殊な環境で経験を積み重ねてきた佐野が持つのは、圧倒的な「本番力」だ。

 佐野の演技について、映画『明日を綴る写真館』で共演した俳優の平泉成が、2024年6月5日オンエアのラジオ『Aぇ! groupのMBSヤングタウン』(MBSラジオ)内のコーナー「Aぇ!何してんの?深夜の留守番電話」に登場して言及したことがあった。

 「佐野くんの芝居、いいですね。柔らかいし、感受性が素晴らしい」「横顔を見ていると結構かわいい顔をしていてね。佐野くんにはいろいろやってもらいたい役があるなと、つくづくそう思いましたね」「佐野くんはいくらでもこれから伸びていくというすばらしい未来がありますね」と大絶賛。

 佐野がこの映画で演じていたのは新進気鋭のカメラマン・五十嵐太一。さびれた写真館を営む鮫島(平泉成)に弟子入りをして、写真家として、そして人として、様々な想いに触れていくという役どころ。劇中では、結婚式場でドラムを演奏するシーンがあったのだが、そのシーンは台本にはなく、撮影1週間前に秋山純監督から提案された演出だったという。

 もともと、Aぇ! groupがバンドスタイルでパフォーマンスをする際はドラムを担当している佐野。だからこそ、そのリクエストにもすぐに対応できるのも納得だ。しかし、ただその演出を受け入れただけではない。「ドラムがすごく上手だったら五十嵐太一としておかしい」と、あえてあまり練習をせずにアドリブに近い形で撮影に挑んだというから、平泉の言う「柔らかさ」を感じずにはいられない。そして、佐野のライブ感あふれる演技に、平泉からもアドリブ演技が飛び出したというのもまた心弾むエピソードだ。

 平泉は別のインタビューでも「無理にどこかで覚えてきたような芝居をしていないんですよ。スッと来て。自然な反応をしてるんですよ。僕らも本番中に芝居を投げるんですけど非常にナチュラルに受け止めて、投げ返してくれるんですよ」「仕上がりを見たら、すごく良いんですよ。佐野くんの芝居に80歳が泣かされて胸がツーンてきましたよ。先々大きくなるんじゃないかなと思いました」(※1)と今後の佐野の成長にも期待を膨らませていた。誰かに求められるキャラクターを「演じる」という感覚ではなく、今そのキャラクターとして「振る舞う」。そんな自然体な動きが、どんな場でも臆することなくできるのが佐野の大きな武器。それは、演技だけではなく、エンターテインメントとして自身の生き様を見せることにも通じる。

 この日のラジオで佐野は、留守番電話を聞いてすぐに「もしもし? 成さん? 今電話大丈夫ですか?」と、平泉に折り返しの電話をかけてみせた。あまりに突然のことで、ともにパーソナリティを務めていた正門良規も「マジで!?」「そんなテンションで出していい人ちゃうぞ! 佐野よ! 仲良いのは素晴らしいことやけど!」と驚くばかり。そんな正門からのツッコミにも「アハハハ! 声が聞きたくなっちゃった、成さんの!」と茶目っ気たっぷりに返す佐野の天真爛漫さに、平泉が「先々大きくなる」と言わずにいられなかったことも納得だ。

 最初こそ、「アイドルとして活動しながら芝居をすることにコンプレックスを感じていた」とインタビューで答えていた佐野。だが、映画『か「」く「」し「」ご「」と「』、で共演を果たした奥平大兼に「アイドルが芝居をすると、勝てないなって思う瞬間がある」「ライブで何万人もの観客を前にしてエンターテインメントをやってきた人の引きつける力って、俺らには真似できない」と言われたことで、自分のやってきたことに誇りを持ち、「アイドルとしての経験があるからこそ表現できる芝居をもっと突き詰めていきたい」(※2)と語っていた。

 ともに演じている人も、支えていくスタッフも、そして見ている視聴者も、みんなをナチュラルに巻き込んでいく。そんなグルーヴ感を持った佐野の演技が、朝ドラという舞台でどのような進化を遂げるのか。『風、薫る』というタイトルのごとく、ふわりと吹く朝の気持ちの良い風のような演技で我々をドラマの世界にいざなってくれることを楽しみにしている。

※1:https://www.thefirsttimes.jp/news/0000430561/

※2:https://realsound.jp/movie/2025/04/post-1989915_2.html

毎週更新される「YouTube Music Charts」ウィークリー ミュージック ビデオ ランキングより、MVをはじめとした…

『音楽の日2025』(TBS系)にて、恒例企画となりつつある“ダンス企画”が今年も注目を集めている。今回は“DREAM DANC…

フリーライター。求人メディア、芸能雑誌、アパレルブランドのWebマガジンのライティング・編集を経験。現在「Real Sound」にてインタビュー記事、コラムを執筆中。O型。猫派。

佐藤結衣の記事一覧はこちら

関連記事: