【日本市況】株が連日最高値、輸出や銀行に追い風-超長期債が上昇

25日の日本市場では株式が上昇、連日で史上最高値を更新した。輸出関連株や銀行に円安傾向や利上げ観測といった追い風が吹いた。債券は超長期債が上昇(金利は低下)した。

  主要株価指数はともに最高値を付けた。日本銀行の利上げ観測から銀行株が強く、輸出関連の一角も上昇した。ソフトバンクグループが午後に上げ幅を拡大して上場来高値を更新、指数を押し上げた。利上げ観測から債券は先物や中期債が下落した一方、40年債入札をこなして超長期債が買われた。円相場は対ドルでニューヨーク市場終値との比較でほぼ横ばい。

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  財務省が超長期債の流動性供給入札を減額する案を24日提示、超長期金利が低下したが、より短い金利への影響は限定的だった。財政拡張リスクから世界的に金利は上げ基調で、金融市場はインフレを読んだ値動きになっている。自民党総裁選の行方も日本の財政・金融政策を左右する。

  大和証券の木野内栄治チーフテクニカルアナリスト兼テーマリサーチ担当は25日付リポートで、総裁選立候補者の高市早苗前経済安全保障担当相のポリマーケットによる当選確率が海外時間で急速に戻ってきたとして、日本株の上昇について「これが背景かも知れない」と指摘した。外国人は財政出動を評価するので注目だとしている。総裁選では小泉進次郎農相の優勢が伝えられている。

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国内株式・債券・為替相場の動き-午後3時半過ぎ
  • 日経平均株価終値は前日比0.3%高の4万5754円93銭
  • 東証株価指数(TOPIX)は0.5%高の3185.35
  • 長期国債先物12月物の終値は前日比14銭安の135円82銭
  • 新発10年債利回りは横ばいの1.64%
  • 新発40年債利回りは7ベーシスポイント(bp)低い3.31%
  • 円は対ドルでニューヨーク終値比ほぼ横ばいの148円82銭

株式

  株式市場は上昇。輸出株や銀行株が円安傾向や日銀による追加利上げ観測を追い風に買われた。

  JX金属やDOWAホールディングスといった非鉄関連も堅調。インドネシアの鉱山事故を受けて金属価格が上昇したことが材料となった。住友金属鉱山は一時12%高。金といった貴金属への需要の強さを背景に、ジェフリーズが投資判断を「買い」に引き上げた。

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  一方、四半期末を前にアドバンテストや太陽誘電など、これまで上昇していた銘柄に売り注文が出た。

  T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフストラテジストは「為替に敏感な株、外需銘柄などが円安の影響で恩恵を受けている。銀行株にも追い風があり、TOPIXを支えている」と述べた。投資家は日銀による追加利上げの可能性を意識しており、米長期金利が上昇したことも銀行株を押し上げていると付け加えた。

  「日経平均はすでに高い水準にあり、先行きの成長余地は株価にほとんど織り込まれているだろう。ここから上昇メンタムが削がれやすくなると思う」とも浪岡氏は述べた。

  個別銘柄ではオリオンビールが東証に新規上場、買い気配を切り上げた後、公開価格2.2倍の1863円で初値を付けた。終値は1950円。

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債券

  債券相場は先物や中期債が下落。米長期金利の上昇を受けて売りが優勢になった。この日行われた40年利付国債の入札は強めの結果との声が出ており、超長期債は堅調に推移した。

  40年国債入札の結果によると応札倍率は2.6倍と12カ月平均の2.47倍や前回の2.13倍を上回った。最高落札利回りは3.3%と予想(3.31%)を下回った。

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  SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは、応札倍率は高めで、最高落札利回りも市場平均を下回るなど需要がそこそこあり、「強めの結果だった」と語る。利回りの高さに加え、ボラティリティーが低下したことや、財務省が24日の国債市場特別参加者(プライマリーディーラー、PD)会合で超長期債の流動性供給入札の減額を提案したことなど、良い条件が重なったと述べた。

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  三菱UFJアセットマネジメントの小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャーは40年債入札について「日銀の利上げが意識される短いゾーンに比べ割安感もあり、買いやすかったのだろう」と語る。今後も売り圧力が続く中長期債に比べ、超長期債は安定して推移すると予想する。ただ、「日銀の利上げ到達点がはっきりするまで金利が持続的に低下することはないだろう」と言う。

新発国債利回り(午後3時時点)

  2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債   0.925% 1.230% 1.640% 2.595% 3.155% 3.310% 前日比 横ばい +1.0bp 横ばい ‐2.5bp 横ばい -7.0bp

為替

  外国為替市場の円相場は1ドル=148円台後半。 日銀が発表した7月の金融政策決定会合の議事要旨を受けて追加利上げ期待が高まり円が買われたが、その後はドルがやや買い戻されている。

  あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、前週の9月の日銀会合で追加利上げ期待が高まる中、7月の日銀会合の議事要旨で過度に慎重になり利上げタイミング逸しないよう注意などとのコメントが出ており円買い・ドル売りの材料となったようだと指摘。

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  もっとも諸我氏は「今四半期はドル売りの地合いが続いたため、月末、四半期末にはドルの買い戻し需要が強い」とし、ドル・円は200日移動平均線(148円51銭)付近での推移になるとみる。

  東海東京インテリジェンス・ラボの柴田秀樹金利・為替シニアストラテジストは、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ後はドル・円は底堅い展開が続いていると指摘。「パウエルFRB議長は利下げは予防的と言っている。データを見ないといけないので、今後どのような形で利下げが実施されるか分からない状況で、ドルには実需の買いが入っている」と述べた。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

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