【特集】摘発の瞬間をカメラが捉えた「レジャー密漁」海保の密漁パトロールに密着【新潟】(UX新潟テレビ21)
県内の海では、夏場にアワビやサザエなどの密漁が多発します。今回、海上保安官による〝密漁パトロール〟に密着しました。海水浴客に紛れた密漁者の手口と、その摘発の瞬間をカメラが捉えました。 【動画】【特集】摘発の瞬間をカメラが捉えた「レジャー密漁」海保の密漁パトロールに密着【新潟】 ■30代 海上保安官 「マリンピア日本海の前面の海域をパトロールして、村上市の沿岸の方に行きましょう。消波ブロック付近には密漁する人もいるので、そういったところも頭に入れてパトロールしていきましょう。」 午前9時- 海上保安官による密漁パトロールは、新潟市中央区の関屋浜海水浴場の近くから始まりました。水辺に生息する貝類などの多くは、許可なく捕ることができません。 2018年の漁業法改正で、特定水産動植物に指定されたアワビやナマコを捕ると3年以下の拘禁刑または3000万円以下の罰金。それ以外のサザエやカキ・タコなども県内の多くの海域で漁業権が設定されていて、これを侵害した場合には100万円以下の罰金が科せられます。 しかし、第九管区海上保安本部が管轄する日本海沿岸では、個人での消費を目的にしたレジャー感覚での密漁『レジャー密漁』が横行しているといいます。 ■30代 海上保安官 「岩場が多いところは貝が生息しやすい環境で、とっさに捕ってしまう人もいれば海水浴客のフリをして貝を捕る者も少なからずいると思う。」 県内の密漁者は年々増加傾向で、2024年は98人が検察へ送致されました。 月ごとに見ると、ワカメがよく捕れる4月や海水浴シーズンの夏に密漁者が多くなるということです。 今回のパトロールの前日、海上保安官の一人がこの近くで不審な動きをする人を目撃していました。 ■海上保安官 「白い箱型の袋、メッシュ袋だったから船舶の物かなと思ったけど、見る限りないですよね。」 ■30代 海上保安官 「(Q.何をしに行った?)昨日パトロールした際に、貝のようなものが沈められていた痕跡があったので再度確認している。」 ■海上保安官 「なし?了解。」 密漁者の中には日中に獲物を捕獲し、人目につかない夜中に回収しに来る者も多いといいます。 ■30代 海上保安官 「いま行ったら何もなかったので、昨日見た後から回収されたと思う。」 続いて向かったのは、村上市の笹川流れ。 ここは岩場が多く、サザエやアワビなどの貝類が豊富に生息しているため、毎年 密漁者が多発するエリアです。パトロールしながら、海岸周辺の人の動きに目を光らせます。 潜水を繰り返す人を見つけました。カメラを使って、その動きを確認します。 ■海上保安官 「結構入っていた?あそこから見た感じだと少なく見えた。」 約30分、しばらく様子を見て声をかけにいきます。 ■海上保安官 「新潟海上保安部ですけど、いま何されていましたか?魚?見せてもらってもいいですか?」 ■声をかけた人 「いいですよ、別に。(Q.捕ったのはウニ?)放すやつですよ。子どもたちに見せようと思って。(Q.いま捕ったのは捨てた?)捨てたよ。」 捕っていたのは、ウニ1つ。男性は、捕ってはいけないという認識はあったと話し、その場で放流させました。 ■20代 海上保安官 「捕ったものがウニ1つということで極めて少量だったので厳重注意ということで、すぐ放流して注意して終わった。」 海水浴客や海辺のレジャーを楽しむ人も多い季節。一般客に紛れた密漁者を探し出すため、注意深く見回りをしています。 パトロール開始から5時間後- 海上保安官の目がなにかを捉えました。岩場近くで足にフィンをつけ、潜水する人。その腰には…。 ■30代 海上保安官 「緑色の網袋が腰についているの映る?岸に着いた人の情報を教えて、今潜った。」 獲物を袋に入れる瞬間を少し離れた場所から確認。声をかけます。 ■20代 海上保安官 「新潟海上保安部です。いま海で何されてたんですか?魚突きですか?これ捕ったんですか?この辺、貝捕る人もいて一応中身を確認させていただいてもいいですか?」 ■大学生 「これ捕っちゃったんですけど、あとで逃がすやつなんですけど、写真だけ撮るために。」 ■海上保安官 「捕ったのは何かな?」 ■大学生 「サザエだと思います。(Q.これは?)あとで見つけて。(Q.アワビも捕った?)はい。」 魚突きをしに来たという大学生3人組。そのうちの1人がアワビ1個と、この場所で採取を禁じられているサザエ19個、タコ2匹を捕っていました。被害額は1912円相当です。 ■大学生 「食べるのはこれ(魚)だけなんですよ。写真だけ撮りたくて捕ったんですけど。」 ■大学生 「親から捕っちゃダメって聞いてて遠くから来てて、いま夏休みでサザエとかいっぱいあったから写真だけ撮ろうかなと回収だけして。」 『SNSに載せる写真を撮るために捕った』と話す大学生。 しかし、〝捕ること自体が違法〟です。 さらに別の日、同じ笹川流れで…。 ■30代 男性 「捕っていました。何個かポイって投げて、何個かは隠しました、その辺に。(Q.全部自分で捕ったの?)そうです(Q.手で捕った?)手で捕りました。」 発泡スチロールの下には、アワビ3個・サザエ7個(被害額2752円相当)が隠されていました。福島県会津若松市から家族で海水浴に来たという男性。「捕ってはいけないと知っていたが、家族にバーベキューで食べさせたかった」と話しているということです。 海上保安官らはこれからも地道なパトロールで、密漁者から大切な水産資源を守り続けます。 ■30代 海上保安官 「貝を育てて実際にとって生活をしている漁師がいるので、漁師が困るようなことをしてはいけないと思う。(貝を)食べようとか持って帰ろうとか、そういう考えは抜きにして海水浴を楽しんでほしい。」