国立天文台野辺山の観測成果 「オリオン座分子雲の進化地図」を世界初作成

宇宙空間に漂うガスや塵(ダスト)が集まった分子雲は、新たな星が誕生する現場であることから、“星のゆりかご”と表現されることもあります。 数十万年~数百万年という長い時間をかけて進化していく過程で、分子雲ではガスがさらに密集した「分子雲コア」と呼ばれる塊が形成され、やがてその中で新たな星(原始星)が生み出されます。しかしこれまでは、分子雲の進化の度合い(年齢)を広域にわたって詳細に論じることができる地図が存在していなかったといいます。 今回、研究チームが分子雲の年代を測る時計として着目したのは、水素の同位体である「重水素」です。重水素は水素の原子核である陽子に中性子が1つ追加されたもので、通常の水素の約2倍の質量があります。 研究チームによると、マイナス260℃程度という極低温の分子雲内部では、DNC(※)などの分子に取り込まれる重水素の割合が、化学反応によって高くなる傾向があります。一方、星が誕生して周囲の温度が上昇すると、重水素の割合は減少に転じます。 ※…DNC:イソシアン化水素(HNC)という分子のうち、水素(H)が重水素(D)に置き換わったもの。 つまり、重水素の割合が高い場所は(宇宙のタイムスケールで)近い将来に星の誕生が期待できる“若い”領域であり、重水素の割合が低い場所は星形成が進んだ“古い”領域である、と判断できることになります。野辺山宇宙電波観測所はこの手法について、放射性同位元素の半減期を利用して岩石や化石の年代を測定する手法にたとえています。

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