豪もパレスチナ国家承認へ、9月国連総会で イスラエルに圧力強まる
[シドニー 11日 ロイター] - オーストラリアのアルバニージー首相は11日、9月の国連総会でパレスチナを国家承認する方針を表明した。フランス、英国、カナダも同様の意向を示しており、イスラエルに対する国際的な圧力が一層強まる。
同氏は国家承認の決定について、パレスチナ自治区ガザの停戦と人質解放、イスラエルとパレスチナが国家として共存する「2国家解決」に向けた国際的な機運に寄与するためとした。
閣議後の会見で、承認は豪政府がパレスチナ自治政府から得た確約が前提になると説明。イスラム組織ハマスが将来のいかなる国家にも関与しないという約束などが含まれるという。
同氏は「2国家解決は中東の暴力の連鎖を断ち切り、ガザの紛争、苦しみ、飢餓に終止符を打つための人類にとって最大の希望だ」と述べた。
イスラエルのネタニヤフ首相と7日に電話協議し、軍事的解決ではなく政治的解決が必要だと伝えたことも明らかにした。
ネタニヤフ氏が国際社会の要請を無視し、ガザにおける法的・倫理的義務を順守しなかったことで、パレスチナを国家承認する決定を「一層迫られた」と説明した。
また、ウォン外相との共同声明で「ネタニヤフ政権は違法な入植地を急速に拡大し、パレスチナ占領地での併合を脅し、いかなるパレスチナ国家にも明確に反対することで、2国家解決の見込みを消し去っている」と述べた。
ウォン氏は今回の決定についてルビオ米国務長官に伝えたと明らかにした。
イスラエルのマイモン駐豪大使はXへの投稿で、豪政府の決定はイスラエルの安全保障を損ない、人質解放に向けた交渉を妨げると批判した。
シドニーでは今月、ガザでの停戦や人道援助搬入を求めて数万人のデモ参加者がハーバーブリッジを行進した。
アルバニージー氏は、ガザの惨状に対する「極めて大きな懸念」は各国指導者だけでなく地域住民からも上がっていると述べた。
パレスチナのアガベキアン外交担当国務相は、豪ABCのインタビューで、停戦が最優先事項であることに変わりないが、「パレスチナ人に未来への希望をもたらす」長く待ち望んでいた決定だと述べた。
元豪外相のギャレス・エバンス氏は、パレスチナの国家承認に動くのは「時宜を得たもの」と評価。「オーストラリアが北半球の信頼できる声のグループに加わり、イスラエルと隣り合うアラブ諸国と協調して行動することは、ネタニヤフ首相が取る、これまで以上に弁解の余地のない破壊的な、イスラエルにとって自滅的な路線を変えさせるための新たな圧力として役立つだろう」とロイターに語った。
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