「タバコをポイ捨て、唾を吐く」黒スーツの中国人がウロウロと…成田空港「違法ハイヤー問題」文春記者が目撃した“白タク以上の無法地帯”(文春オンライン)
営業許可を得ていない白ナンバーの車で違法にタクシー業務を行う「白タク」行為。近年、国内の主要空港近くで、日本にやってくる中国系旅行客をターゲットにした、在日中国人による「白タク営業」が横行し、社会問題化。昨年には警察による摘発も相次いだ。 その結果、空港から「白タク」は一掃されたが、新たな問題が生じているという。それが「中国人“ハイヤー集団”による観光客への違法営業の横行」(前出・タクシー運転手)なのだ。
実態を調査すべく、「週刊文春」記者は3連休の初日の1月10日、成田空港へ。到着して、まず気づいたのは、一般車用の車寄せを占拠する黒塗りハイヤーの長い列だった。空港にいた別のタクシー運転手に聞くと、 「びっくりするでしょ。一般車用の車寄せにハイヤーがやってきて、長時間客待ちをしているんですよ。長時間の駐停車は禁止、と空港の警備員がいくら注意しても、中国人だから日本語がわからないと無視される。パトカーや警察官が臨場してくるとやっと移動しますが、すぐに戻ってくる。今も7台くらいいるけど、これでも少ない方だよ」 やがて、空港の出口から黒のスーツを着た中国人に連れられて欧米人の家族連れが出てきて、ハイヤーの列へ向かう。一行がそのうちの1台の前に止まると、黒スーツの中国人が客待ちをしていたドライバーに合図を送る。 2人が観光客のスーツケースを車の後部に積み、観光客を客席に乗せると、ハイヤーは空港を去っていった。黒スーツの中国人はその様子を見届け、再び空港の到着口へと戻っていった。 この黒スーツの男が空港内で客を探す「客引き」なのだという。
「ターミナル内には中国系の客引きがいて、観光客に声をかけています。客引きは、欧米など先進国からやってくる便や、シンガポール航空など5つ星キャリアの到着を待っている。安いLCCのターミナルにはいかず、裕福な客を狙い撃ちにしている。 実際に声をかける者、外にいる車まで案内する者など、役割が分かれているケースもある。客引きに成功したら、客を一般車用の車寄せまで連れていき、そこで待つハイヤーに乗せるのです」(同前) 実際に「週刊文春」記者が外国人観光客でごった返す成田空港第1ターミナル内にいってみると、そこにいたのは、黒いスーツ姿の眼光鋭い中国人たち。2〜3人ずつに分かれあちこちに陣取り、到着口から出てくる観光客と、到着案内板を交互に睨んでいた。 欧米からの到着便が増える午後になると、客引きと思われるスーツの男の数は記者がいた第1ターミナルだけで15人に増えた。 「ハロー! ユーズタクシー?」 客引きとみられる中国人たちは到着口から出てくる客に声をかけては、価格交渉などを行っている。「あの、すみません」と、記者がそのうちの数人に声をかけたが、値踏みするような目でじっと見つめるだけで、問いかけに応じるものはいなかった。 やがて、仲間内で情報共有がなされたのか、その後数時間にわたり、黒スーツの男が記者の真横までやってきて、無言の圧をかけてきた。自分たちの商売の邪魔をしないように監視していたのだろう。 かような手段で、成田空港内で、外国人観光客を狙って、怪しい連係プレーを繰り返す中国人ハイヤー集団。白タク問題に詳しい桜美林大学の戸崎肇教授は、その違法性を指摘する。
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「タクシーに比べ規制が緩やかで参入障壁が低いハイヤー業界に、中国系の白タク関係者が流れています。ハイヤーとは名ばかりで、タクシーよりも安価な料金設定にして、白タク同様の違法営業を続けている。 客引きは、観光客に声をかけていますが、無許可であれば、正当な理由なく空港内に入った建造物侵入の罪に問われる可能性が高い。また、予約客しか乗せることができないハイヤーで客待ちをすれば、道路運送法に抵触する、明らかな違法行為となる」 違法ハイヤーの被害は、日本のタクシー運転手や空港関係者以外にも及んでいる。空港近くのコンビニの店員にも話を聞くと、吐き捨てるようにこう嘆いた。 「白タクの迷惑駐車がなくなったら今度はハイヤー。客待ちのついでに、トイレやたばこ休憩で使われるんです。駐車場がハイヤーで一杯になり、他のお客さんから車が止められないとクレームが来る。たばこをポイ捨てしたり、唾を吐かれたり……注意したって無駄です」
その後も、記者は空港内で声掛けをしている“違法ハイヤー”を複数確認。そのうちの1台が、千葉県北西部のハイヤー会社所属の車であることを特定した。事実確認を行うべくその会社に電話で直撃すると「日本人の総務担当者」を名乗る女性が応対した。 ――あなたの会社の人間が成田空港で迷惑駐車や違法な客引きを行っている様子を確認したのだが。 こう切り出すと、女性は中国語なまりの強い日本語でまくしたてた。 「うちでは違法行為はするなと(ドライバーに)言ってあるので! 本当にうちの車? 証拠があるなら見せて!」 こういうと、「後で日本人の担当者から連絡をさせる!」といって、一方的に電話が切られた。その後、この会社からの連絡は途絶えた。 「中国系白タク」は「違法ハイヤー」に姿を変え、今なお日本の玄関口をむしばみ続けている。
「週刊文春」編集部/週刊文春 2026年1月22日号