トランプ氏、「ドル高だと何も売れない」-自身は強いドル派と主張
- ドル指数は年初から8%超下落、市場では政府のドル安誘導観測
- ドル高はインフレには有益だが「インフレは完全に消し去った」
トランプ米大統領は25日、自分が弱いドルを支持することは絶対にないと述べつつ、特に製造業におけるドル安の経済的利点を挙げ、為替政策に関して相反するメッセージを送った。
トランプ大統領は記者団からドルについて質問を受け「自分はドル安を好むとは絶対に言わない」と回答。「個人的には強いドルを好むが、弱いドルは稼ぎをとてつもなく大きくする」と述べた。
為替市場ではトランプ政権が積極的にドル安に誘導しているとの臆測が広がっている。主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は、1月20日から7.9%下落。年初からは約8.5%下げている。この下落は貿易相手国に対する関税率引き上げなど、米政権の経済アジェンダに対する国外投資家の不安を示す指標とされている。
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トランプ大統領の関税政策は二転三転しており、8月1日の期限を前に複数の国と貿易協定を結んだにもかかわらず、ドルは回復していない。金融市場では「米国売り」が広がり、投資家は政府がドル下落に関心がないとの見方を強めている。
トランプ米大統領はドル下落を懸念しているかとの質問に対し、「夜も眠れないというほどではない。そう言っておこう」と続けた。
またキャタピラーなどの製造業が受ける恩恵についても、トランプ大統領は指摘。「強いドルというのは聞こえは良いが、観光には良くない。工場もトラックも売れない。何も売ることができない」と述べ、「インフレには良い。それくらいだ。インフレはない。われわれはインフレを完全に消し去った」と続けた。
原題:Trump Says Prefers Strong Dollar But ‘You Can’t Sell Anything’(抜粋)