米ロ首脳会談の実現に暗雲、ロの強硬姿勢が交渉の足かせに
[21日 ロイター] - 米ホワイトハウス高官は21日、ブダペストで開催が予定されていた米ロ首脳会談が「ごく近い将来」に実現する見通しはないとの考えを示した。同会談の実現を巡っては、すでに先行きが危ぶまれていた。
しかし、米ロ外相による準備会合が延期されたことで、開催の実現に不透明感が漂い始めた。ホワイトハウス高官は、ルビオ米国務長官とロシアのラブロフ外相が20日に行った電話会談は「生産的だった」としたものの、両氏による直接会談の計画もないと述べた。
ロシア政府系ファンドの責任者で国際経済投資協力を担当するキリル・ドミトリエフ特使は、ソーシャルメディアへの投稿で、首脳会談に向けた「準備は続いている」と述べた。
米ホワイトハウス高官は21日、ブダペストで開催が予定されていた米ロ首脳会談が「ごく近い将来」に実現する見通しはないとの考えを示した。写真は米アラスカ州で8月撮影(2025年 ロイター/Sputnik/Gavriil Grigorov/Pool via REUTERS)
米当局者2人と事情に詳しい関係者2人によると、ロシアは先週末、米国に送った非公式声明で、和平合意の条件を改めて強調した。
1人の当局者によると、この声明はドンバス地方の完全支配というロシアの要求を再確認するもので、前線を現在の場所で凍結させて停戦を開始するというトランプ氏の要求を事実上拒否する内容という。
こうした中、欧州の上級外交官2人は、米ロ外相の会合延期を受け、ロシアが要求を譲歩しない限り、米国が首脳会談の実施に消極的になる可能性を示唆していると指摘。外交官の1人は、「ロシア側があまりにも多くのことを要求したため、米国側にとってブダペストでの会談で合意に至る見込みがないことが明らかになった」と述べた。
別の外交官は、ロシア側の「立場は全く変わっておらず、『現状維持』には同意していない」と指摘。米外相の電話協議が不調に終わっていたことを示唆した。
しかし、ウクライナの欧州同盟国は、トランプ氏がプーチン氏から本格的な譲歩を引き出すことなく2度目の会談を行うのではないかと懸念している。8月に米アラスカ州で行われた米ロ首脳会談では、トランプ氏はプーチン氏から停戦合意を得ることはできなかった。
「即時」会談の予定はなくなったものの、米ロいずれも公には実施を断念していない。ただ、ハンガリーのシーヤールトー外相は同首脳会談を巡り「これから厳しい日々が待ち受けている」とフェイスブックに投稿した。
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