なにわ男子が叶えた夢、継がれる伝統 着実に前へ進む夢の軌跡を示した『BON BON VOYAGE』ロングレポート
2025年7月19日、新潟・朱鷺メッセ公演を皮切りに全9都市をまわるアリーナツアー『なにわ男子 LIVE TOUR 2025 'BON BON VOYAGE'』。4枚目のオリジナルアルバム『BON BON VOYAGE』を携えて、約45万3千人の動員を予定している。本稿では、7月28日に行われた横浜アリーナでの公演の模様と、公演前の囲み取材の様子をレポートする。【一部ネタバレあり】
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開演5分前、すでに会場には「なにわ! 男子!」のコールがこだましていて、ファンの猛烈な熱気を感じることができた。開演時間を迎え、メンバーが現れると、なにわ男子に馴染み深いキラキラした王道のアイドル路線とはテイストの異なる、ダークな雰囲気の始まりにファンの期待が高まっていく。暗転した空間に現れたのは、檻の中に閉じ込められた7人。再び会場が割れるほどの歓声が降り注いだ。
「The Answer」のパフォーマンスでは炎の特効やレーザーライトが飛び交う。その後のナンバーでも、体の奥底まで響くビートと、花道の光、そしてペンライトの灯りが調和していく。会場全体を覆う一体感が爽快だ。
自己紹介ラップソング「Seven Stars 2025」では、花道が高くせり上がり、観客の頭上でメンバーがコールを煽る。「なにふぁむ〜! 声を聞かせて!」と叫ぶ藤原丈一郎を筆頭に、「なにわ! 男子!」のコールが鳴り響く。彼らのライブではお馴染みの光景に、観客全員がより一層心をひとつにしていくのが楽しい。メンバーとなにふぁむ(なにわ男子のファンの総称)が同じ気持ちでこの時間を待ち望んでいたのが伝わってきた。
目まぐるしく世界観の変化する演出 “伝統”が詰め込まれたフライングも披露
今回のアリーナツアーのテーマは“冒険”ということもあり、シーンごとに世界観が目まぐるしく変わり、アイドルとしてのプライドやエンターテインメント、そしてプロ根性が随所に感じられる内容だった。荒々しいダークな雰囲気のオープニングだけでなく、溢れんばかりの光が会場を埋め尽くす魔法のような世界観など、まるで複数の映画を一気に観たような満足感があった。なにわ男子はいつも新鮮な表情や表現を見せてくれるが、楽曲ごとに様相を変える今回のツアーは、まさにその真髄が感じられる演出だったように思う。
さらに特筆すべきは、公演中に合計4度行われたフライングの演出だ。“冒険”というコンセプトにマッチした内容で、「Over The Horizon!」では垂れ下がる布に乗って、空高く舞い上がり回転するという華麗なフライングを披露。「俺ら今、空を飛んでるぞ〜!」と叫ぶ大橋和也に、笑顔を振りまきながら「空飛んでる俺たちに、もっと声ちょうだい!」と叫ぶ大西流星。「H.E.L.L.O」では、事務所伝統の象徴とも言えるメンバーが輪となるサークルフライングで華麗に空中を回転。まるで夢でも見ているかのような幻想的な光景とメンバーの笑顔に、うっとりと酔いしれた。また、7人乗りの自転車に乗ってのフライングでは、先頭に座る長尾謙杜が元気いっぱいにペダルを漕いで、最年少らしい無邪気さを見せていたのが印象的だった。
演出面での新たな試みも多い中、いつものなにわ男子らしさというのも公演の随所で垣間見えた。「YUUWAKU DANCE」の曲終わり、可愛らしい表情でキメる大西に対し「優勝、大西流星!」と強火感満載に声を上げる西畑大吾や、「丈くん、今日はどこ行きたい?」という大橋の問いかけに「和くんのおうちに行きたいな!」と返答し、大橋にハグされて真顔で固まる藤原や、フライング中に目を瞑って怯える高橋恭平に、〈何度でもきっと 恭平に降り注ぐ〉と「サチアレ」の歌詞をアレンジして歌った西畑など、彼らの仲のよさがあちこちで見受けられ、思わず微笑んでしまった。
大きな夢だったドーム公演がついに実現 喜びとともにファンへの感謝を
今回の公演では、なにわ男子の公式YouTubeチャンネルにてMCの一部を生中継することが事前に告知されていた。配信開始前には、すでに約15万人が視聴待機していたというから驚きだ。「ちょうど4年前、ここ(横浜アリーナ)でデビュー発表させていただいたので、あれから4年経ったってことよね」と言う道枝。それに、「(なにわの日=7月28日は)僕らにとっても大事な日ですから、皆さんと分かち合えてるのがすごく嬉しいよね」と藤原が続ける。
そしていよいよ、「我々なにわ男子から重大発表があります!」と西畑が宣言する。モニターに放映されたムービーに、全員が息を呑んだことであろう。どこかの野球場に佇む7人。その映像とともに、自身初のドームライブの追加公演が発表されたのだ。会場に響き渡る大きな歓声に涙を滲ませた藤原と、頼もしくその肩を抱く高橋。藤原の涙に思わずもらい泣きしてしまう西畑に、「(代わりに)進行しよか?」と優しくフォローする大橋。元気いっぱいに両手を掲げ、「やったー!」と声を上げる大西に、観客全員の表情を見渡す長尾、深々と頭を下げた道枝など、メンバーそれぞれ立ち居振る舞いは違うものの、共通して大きな喜びを胸に抱いていることがわかる。会場を見渡すと、潤んだ瞳で7人を見つめたり、タオルで目を覆って涙を拭ったりと、同じように喜びを共有しているファンの姿も目に入った。
結成直後、SUPER EIGHTのドーム公演のバックについた日、大倉忠義から「いずれ7人でドーム立てよ」と声を掛けられたことを振り返り、「なにわ男子にとっての新たな1ページを皆さんと共有して、最高の景色をみんなで見たい」と想いを語る藤原。「丈くんと大吾の涙を見たら(自分の涙は)収まりました」と笑いを誘いつつ、「みんなで目指す場所だったので」と喜びを見せる高橋。「いつかは自分たちで立ちたいと思っていたので、すごく嬉しい」と率直な想いを伝える道枝。「ドーム公演は結成時から夢としてたくさんの場所で口にしていたけれど、皆さんの期待や愛を受けながら使命のような感覚に変わった」と心境の変化を打ち明ける大西。昨年のアジアツアーなど、これまでの歩みに思いを馳せ、「着々と皆さんと進めていけているのが嬉しい」とファンと思いを通わせる長尾。「ドームに立てるのは皆さまのおかげですので、もっともっと恩返ししたい」とファンへの感謝を述べる西畑。そして、「アリーナツアーもドームツアーも完走して、もっと上に! 宇宙でライブできるように、皆さんついてきてください!」とさらに膨らむ夢を語る大橋。喜びとともに、たくさんの感謝と希望、そして愛が込められたドーム公演の開催発表は、メンバーにとっても、その場に集ったファンにとっても、一生忘れられない大切な瞬間として刻まれたことだろう。
〈もっとそばにおいでよ かけがえない人/キミだけ見つめて 一緒にゆこう 未来へ〉〈どんな時も 手を繋いで/ずっと一緒にいたいから〉――ドーム公演の発表を経て披露された「Because I just love you」は、大きな夢を叶えるためにともに駆け抜けてきたファンへのラブソングのように聴こえた。
魔法にかけられたような美しい演出に、愛おしさいっぱいに歌い踊る7人。そんなステージを観ながら、こんなことを考えた。アイドルとファンとは、遠いようで実は一心同体なのではないか、と。喜びや悲しみ、悔しさや達成感、どんな感情も一緒に分かち合い、互いを思い合いながら夢を叶え、また次のステージへと進む。たとえその場に居合わせられなくても、距離が遠くても、心はいつもともにある。そんな関係性で結ばれた彼らは、きっとこの先もまた新たな冒険に出かけ、たくさんの幸せをともに叶えていくのだろう。