「AI学習のための使用禁止」。映画のエンドクレジットに警告文を追加(ギズモード・ジャパン)

The Hollywood Reporterは、ユニバーサル・ピクチャーズが映画のエンドクレジットに「AIのトレーニングに使用することを禁ずる」との警告文を追加するようになったと伝えています。これは著作権所有者が、自社のコンテンツを無断でAIに取り込まれるのを防ぐための取り組みのようです。

この警告文は、6月に劇場公開された実写版『ヒックとドラゴン』のエンドクレジットで初めて登場。その後、『ジュラシック・ワールド/復活の大地』や『バッドガイズ2』の最後にも表示されています。このメッセージは、「この映画はアメリカ合衆国および他国の法律によって保護されています」といった一般的な著作権注意喚起と一緒に表示され、「無断複製、配布、上映は民事責任や刑事訴追の対象となる可能性があります」と警告しています。 ヨーロッパでは2019年のEU著作権法を引用し、作品が科学研究目的でAIに使われることを拒否できる条項を明記しています。

映画がAIのトレーニングデータとして使われたり、その作品をAIが再現したりすることから映画自体を守るための追加の予防策として、この警告文が挿入されています。今年初めにOpenAIが画像生成ツールを公開した際、インターネット中が「ジブリ化」で盛り上がったこと、記憶に新しいですよね。 たくさんの人がスタジオジブリのスタイルで画像を生成しました。これにより、「OpenAIのような企業が宮崎駿のスタジオの作品を勝手に学習に使って、そのスタイルを商用製品に反映させるのは問題ないのか?」という著作権上の大きな疑問が生まれました。

ユニバーサルは、まさにこうした事態を懸念しているのです。なぜなら、AIモデルを開発する企業は、使用権のない素材を学習に使うことに対してあまり慎重ではないから。 例えばMeta社は、数百万冊の書籍や学術論文、レポートなどが違法にホスティングされている海賊版サイトLibGenからテラバイト単位の書籍をダウンロードしていたと報じられています。また、New York Timesなどの出版社は、自社コンテンツを無断で使用されたとして、OpenAIを含むAI企業を訴えています。 最強のAIモデルを開発するために企業は絶賛競争中なので、倫理的とは言えない行動をとる企業も多く、「AIに学習させるな」という警告文だけでどこまで効果があるのかは疑問ですけどね…。

岩田リョウコ

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