事故後に生まれた長女は今も意識不明、父は娘に対する罪求め11万筆の署名提出…被告は涙流し「どのような処罰も受け入れます」
愛知県一宮市の市道で5月、妊娠9か月の 研谷(とぎたに) 沙也香さん(31)が車にはねられ死亡し、事故後に生まれた女児が意識不明となっている事故で、自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致死)に問われた同市、無職の女の被告(50)の初公判が2日、名古屋地裁一宮支部(板東恵里裁判官)であった。
おなかの大きな沙也香さん。事故の4日前に撮影された(家族提供)被告は起訴事実を認め、「尊い命を奪ってしまい、とても重い障害を負わせてしまった。どのような処罰も受け入れます」などと涙を流しながら述べた。
帝王切開で生まれ、意識不明の状態が続く日七未ちゃん(家族提供)起訴状によると、被告は5月21日午後3時50分頃、歩いていた研谷さんを運転する車で後ろからはねて、死亡させたとされる。
事故後に帝王切開で生まれた長女の 日七未(ひなみ) ちゃんは、脳に重いダメージを負い、現在も意識不明の状態が続いている。ただ、起訴事実は研谷さん1人に対するものだったため、夫の友太さん(33)は、日七未ちゃんに対する過失運転致傷罪も問うよう求め、オンラインで署名活動を行っている。
検察側は公判で、日七未ちゃんのけがの状況などについて補充捜査を行うと明らかにした。事故との因果関係を詳しく調べ、立件の可否を判断するとみられる。友太さんはこの日、1日までの2週間で集まった約11万2000筆の署名を名古屋地検一宮支部に提出した。
閉廷後、記者会見に臨んだ友太さんは「娘に対する罪が問われないのは親として受け入れられない」と述べ、「これだけの署名が集まった。これはもう社会の声だと思う。妻が残してくれた命が社会に一石を投じる、という意味づけにもなる」と訴えた。