ドイツ在住のシリア難民、大半を3年以内に帰国させると独首相 シリア暫定大統領との会談で

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画像説明, シリア暫定政府のシャラア大統領は30日、ドイツ・ベルリンでメルツ首相と会談した。画像は独首相官邸で記者会見に臨む両首脳

ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は30日、首都ベルリンでシリア暫定政府のアフメド・アル・シャラア大統領と会談した。両首脳は、ドイツにいるシリア難民の8割が今後3年以内に帰国することを望んでいると、メルツ氏は会談後の記者会見で述べた。

2011年に始まったシリア内戦では、100万人近いシリア人がドイツへ逃れた。

内戦終結から1年以上が経過し、シリアの状況は「今や根本的に変化した」として、「保護の必要性は再評価されなければならない」と、メルツ氏は会談後の記者会見で述べた。

しかし、難民の帰還をどのように実施するのかについては、詳細はほとんど明かされなかった。

反移民を掲げる極右野党「ドイツのための選択肢(AfD)」への支持が急伸する中、メルツ政権はこのところ、難民や移民に対していっそう厳しい姿勢を取っている。

メルツ氏は、当面は「有効な在留資格を持たない者」、とりわけ犯罪者の送還を優先するとしつつ、その後もさらに多くの人が帰国することになると話した。

「今後3年間を見据えると、アル・シャラア大統領が希望を表明したように、現在ドイツに居住するシリア人の約8割が母国に戻ることが見込まれる」と、メルツ氏は述べた。

また、多くのシリア難民はドイツ社会に大きく貢献してきたものの、難民の大半は帰国を希望しており、帰国後は数年間にわたりシリア再建で重要な役割を担うだろうとも付け加えた。

他方、一部のシリア難民がドイツにとどまる可能性があることを、両首脳は認めた。

メルツ氏は、希望に応じてシリア人の医師や介護士がドイツにとどまれるなら、それはドイツの国益にかなうことだと述べた。

アル・シャラア氏は、内戦中にドイツが難民を受け入れたことを、シリアは決して忘れないとした。

「社会に貢献する術を、シリア人が非常に素早く学んだことを誇りに思う」と、アル・シャラア氏は述べた。「我々はドイツ政府の友人たちと協力し、『循環型』移民モデルを構築している」。

これにより、「(イギリス)残留を希望する者はここで築いた安定と生活を手放すことなく、故郷の復興に貢献できるようになる」と、アル・シャラア氏は説明した。

一方で、独野党・緑の党のフランツィスカ・ブラントナー氏は、シリアではインフラが整っておらず、治安状況も不安定なため、多くの難民にとってシリアへの帰還は選択肢になり得ないと指摘した。

多くのシリア人はドイツに「深く根を下ろし」、社会構造的に重要な職に就き、子どもたちは学校に通っていると、同氏は述べた。

アル・シャラア氏の訪独に際し、多数の抗議行動が起きた。

ドイツのクルド人コミュニティー(KGD)は、シリアの少数派の保護に関する拘束力ある取り組みを求めるよう、メルツ氏に訴えた。KGDは、アル・シャラア氏が人権侵害と戦争犯罪を行っていると非難している。

2024年12月、アル・シャラア氏は旧反体制組織を主導してバッシャール・アル・アサド前政権を倒し、権力を掌握した。これにより、10年以上続いた内戦に終止符が打たれた。

アル・シャラア氏はシリア再統一を誓ったものの、国内は依然として深く分断されている。北東部で政権系勢力とクルド人勢力が衝突するなど、致命的な宗派間暴力にたびたび見舞われている。

今年に入ると、暫定政府は、暫定的な議会機関の設置を発表し、憲法改正への一歩だと説明した。

しかし、クルド人勢力側は、同機関には意味のある代議制度が欠けていると主張。暫定政府はシリアの将来をめぐる交渉から自分たちを排除し、少数派の権利について強固な保証を与えていないと非難している。

これは、より大きな自治権を求めるドゥルーズ派など、ほかの勢力にとっても懸念材料となり得る。

現在ドイツにいるシリア人の多くは、2015年の難民危機の際にドイツへ渡った。当時のアンゲラ・メルケル首相は、内戦から逃れる人々に国境を閉ざさないという決断を下した

「私たちならやり遂げる」と、メルケル氏は当時述べた。これを、同氏の支持者の一部は、現実的な決意表明として受け止めた。

しかし同時に、メルケル氏にとって政治的な重荷にもなった。多くの人は、大規模な移住につながる招待状と見なし、メルケル氏は多方面から多くの批判を受けた

AfDなどの極右政党は以来、反移民を掲げて欧州各地で勢力を拡大している。

今日の欧州政治において、移民問題は主要な争点となっており、多くの国の政府がこれまでよりはるかに厳格な規制を導入している。

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