ザックが後藤撃破でIWGP世界ヘビー再戴冠「この手を離れていたのは4か月だが、俺の人生で最も長い4か月だった」(プロレスTODAY)

新日本プロレスが6月29日、愛知県体育館で開催した『TANAHASHI JAM~至』は、棚橋弘至の引退ロードにおける重要な一夜となった。 【動画】後藤がザックを下した2月大阪でのリストクラッチ式GTR改 『TANAHASHI JAM~至(いたる)』 日時:2025年6月29日 (日) 16:00開場17:00開始 会場:愛知・愛知県体育館(ドルフィンズアリーナ) 観衆:4,570人 この日は棚橋がプロデュースを手がけ、全カードに思い入れが込められた。その中で第7試合、IWGP世界ヘビー級選手権が行われ、王者・後藤洋央紀がザック・セイバーJr.との3度目の防衛戦に臨んだ。 2月に初戴冠を果たして以降、7度の防衛に成功していた後藤は、この試合を通してベルトの価値をさらに高めようとした。一方のザックは5月のオンタリオ大会でダブルフォールによる不完全決着を経て、再戦を強く要求。後藤がこれに応じ、ついに決着の時を迎えた。 開始早々、後藤への声援が飛び交い、場内には緊張感が走った。両者はじりじりと間合いを詰め、丁寧なグラウンドの攻防で幕を開けた。後藤のショルダータックルに対し、ザックは巧みに身をかわしフライングメイヤーで流れを掴むと、細かい関節攻撃で腕を狙い始めた。 右肘に照準を合わせたザックは、場外でのストンピングや鉄柵を利用した攻撃で後藤の機動力を封じにかかる。リングに戻ってからも、足を踏みつけながら腕をねじり上げ、さらに指折りの痛烈な一撃を浴びせるなど、執拗な一点集中攻撃を展開。後藤は苦しみながらも反撃の糸口を探し続けた。 後藤は村正、バックドロップ、牛殺しと畳み掛けたが、ザックの関節技地獄は止まらない。裏GTRをかわされザックドライバーを食らう場面もあり、一進一退の攻防が続く。試合終盤には、ザックがヨーロピアンクラッチや丸め込みを繰り返し、後藤もスリーパーや後藤弐式で応戦するが、決め手には至らない。 やがてザックは腕十字からクラーキー・キャットに移行。さらに両足も巻き込む形で複合技に移ると、後藤の動きが完全に止まり、レフェリーが試合を止めた。ザックが約4カ月ぶりにIWGP世界ヘビー級王者へ返り咲いた瞬間であった。 <試合結果> ▼第7試合 60分1本勝負 ダブルメインイベントⅠ IWGP世界ヘビー級選手権試合 <第12代チャンピオン> 後藤 洋央紀 × vs <チャレンジャー> ザック・セイバーJr. 〇 28分14秒 レフェリーストップ ※ザックが第13代チャンピオンとなる 試合後、ザックは倒れ込む後藤の前にベルトを置き、深々と一礼。藤波辰爾にも敬意を表し、拍手の中をリングを後にした。 IWGP世界ヘビー級王座を奪還したザック・セイバーJr.が試合後のバックステージで喜びと本音を爆発させた。 タイトルマッチで激戦を制し、4カ月ぶりにIWGPのベルトを取り戻したザックは、「ああー、ラブリー・ジャブリー。冷えたビールだ」と第一声。手にしたベルトを眺めながら、「この手を離れていたのは4か月だが、俺の人生で最も長い4か月だった」と語り、空白の期間に積もった想いをにじませた。 ザックは王座への執着心を隠さず、「自分が最高の王者でないなんてイヤだ。ましてやIWGPなんだぞ。これは世界で最高のレスラーであることを意味する」と断言。王座への誇りと責任感をにじませた。 また、敗れた後藤洋央紀に対しても敬意を忘れなかった。「ヒロオキ・ゴトーは希有なチャンピオンだ。このベルトで、新たなスタンダードを皆に示した」と称賛。さらに、「俺の勝利後、(後藤を応援していた)ファンが俺にブーイングを浴びせていたとしても、それは理解できるし受け入れるつもりだった。しかし、彼らはフェアプレーの精神で俺に大きな賛辞をくれた」と、試合後の場内の反応に感謝を述べた。 試合中に痛めつけた後藤の右腕についても「折れてないといいが。そうだったとしても彼はギブアップしなかっただろう。折れていたって関係ない。それがこのベルトの王者になるということだ」とコメント。後藤のタフネスぶりにも言及した。 そして、王者としての今後については、「俺にこれから挑んでくるヤツ、リングの外では完璧なプロとして振る舞う。団体の一員として、王者として。そしてリングの上で俺からこれを奪おうとするなら、お前をぶっ壊してやる」と冷徹な姿勢をのぞかせた。 一方で、棚橋弘至社長に対してはユーモアを交えて「俺のジャムはどこだ? ジャムの詰め合わせが欲しい」と要求。初戴冠時に棚橋が引退を発表し、自身の功績が報道の陰に隠れたことを持ち出し、「で、俺の2度目の戴冠で彼は何をするんだろうな?」と皮肉を込めて笑いを誘った。 その上で、「ザック・セイバーJr.が2度のIWGP世界ヘビー級王者になったところで、メインイベントが始まった」と今回の“前座扱い”にも自嘲気味に触れつつ、「俺は表彰されるためにやってる訳じゃない。自分が世界で最高のレスラーであるということを証明する、自分のためだけにこれをやっている」と、ブレない信念を見せつけた。 また、チーム「TMDK」の仲間たちにも言及。「TMDKにはリーダーがいない。俺たちはチームだ。今は俺がトップを取って、次はフジタだ」と語り、今後のユニット内の活躍にも期待を込めた。 新たにデビューしたアロン・ウルフにも言葉を送り、「オリンピックのゴールドメダリストかもしれないが、これはプロフェッショナルレスリング。俺は世界最高のレスラーなんだ」と、プロの厳しさと期待を込めたメッセージを贈った。 最後は「最近飲んでなかったけど、今はノリノリだ。ディスコに行って飲んでもいいかもしれない。テクノに合わせて踊るのは最高だからな」と笑顔で締めくくり、王者返り咲きの夜を“ラブリー・ジャブリー”に彩った。 <写真提供:新日本プロレス>

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