川崎船、通期の営業益予想を上方修正 関税の影響下振れ

 8月4日、川崎汽船は、2026年3月期通期の連結営業利益予想を従来の800億円から900億円(前年比12.5%減)へ上方修正した。写真は川崎汽船のロゴ。2022年3月撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)

[東京 4日 ロイター] - 川崎汽船(9107.T), opens new tabは4日、2026年3月期通期の連結営業利益予想を従来の800億円から900億円(前年比12.5%減)へ上方修正した。IBESがまとめたアナリスト11人の予想平均889億円を上回った。米関税影響の見通しを引き下げた。年間配当予想は120円で据え置いた。
5月時点では、営業利益に対する今年度の関税影響を300億円と織り込んでいたが、180億円に引き下げた。自動車船事業を中心とする自社事業で100億円、コンテナ船事業で20億円の関税影響の改善を見込んだ。コンテナ船事業は、日本郵船(9101.T), opens new tab、商船三井(9104.T), opens new tabとの3社の持分法適用関連会社「ONE」が実施している。

自動車船事業では、通期の予想輸送台数を上方修正した。芥川裕・代表執行役専務は決算会見で、期初の段階では北米向けの輸送量に影響が出ると想定したが「実際には第1・四半期(4─6月)はほとんど影響はなかったし、第2・四半期(7─9月)も今の足元の顧客からのオーダーを見るとほとんど影響はないのではないかという認識だ」と語った。

コンテナ船事業は、紅海情勢などの地政学リスクや、米国の関税政策などが各国経済やトレードパターンに変化を及ぼす可能性があり、不透明な事業環境は継続する見込みとした。25年度はスエズ運河の運航再開は見込まず、喜望峰経由ルートの利用が続く前提。

芥川専務は、日米交渉で相互関税率が15%で決着したことについて「なかなかどの数字になるのか分からないという状況が一番、荷物を動かす立場の方からすると判断しづらいので、数字がしっかり見えてきたことで不透明感は少し払拭されたと思っている」と話した。

同時に発表した第1・四半期の連結営業利益は前年同期比35.4%減の198億円だった。

四半期業績と通期見通しは以下の通り。

※単位:売上高・利益は億円、配当は円、前年比は%、△はマイナス、「有無」は配当の修正の有無

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