ヘビだって仲間と過ごすし子育てもする、「非社会的」は大きな誤解 わかり始めた社会性
ワニやトカゲは活発な社会活動を行うことがわかっているが、ヘビの社会生活については、最近までほとんど注目されてこなかった。ヘビの社会的行動を研究するのは、ほかの爬虫類と比べてもかなり難しい。 その理由のひとつは、ヘビが極めて人目を避けたがる点にある。「どこかに隠れていて、見つけることすらできない場合がほとんどです」と、米ラトガース大学で爬虫類の行動を研究しているウラジーミル・ディネッツ氏は話す。 多くの哺乳類や鳥類は見える場所で生活しているため、研究もしやすいが、ヘビはそうではない。派手な姿をしたり、特徴的な鳴き声を出したりすることもなく、主に嗅覚を頼りに、いつも隠れて過ごしている。 ヘビの世界は化学物質の痕跡や信号で成り立っている。私たちのように、主に視覚を活用する動物にとっては閉ざされた世界だ。「ヘビを研究するのは、とても難しいのです」とディネッツ氏は話す。 ミラー氏によると、そのような事情から、爬虫類の社会的行動に興味を持つ研究者は、ガーターヘビの一種(Thamnophis sirtalis parietalis)に注目していた。米国中西部からカナダのマニトバ州にかけて生息しているこのヘビは、卵ではなく子を産み、冬は集団で冬眠する。春に目覚めると、無数のヘビが絡みあう「交尾玉」を形成する。 学生としてミラー氏の研究室に所属するモーガン・スキナー氏は、「一定の社会的行動を取ることもわかっていました」と話す。詳しく観察するなら、ガーターヘビが適切だと感じた。 そこで、ガーターヘビがどのように学習するかを調べる実験が始まったが、ヘビに行動を起こさせるのが難しいという問題に直面することになった。「どんなタスクを与えても、ほぼ無関心でした」とミラー氏は話す。 ミラー氏とスキナー氏は、とにかくヘビの行動を観察することにした。囲いを作り、たくさんの隠れ場所を設けて、そこに40匹の若いガーターヘビの亜種(Thamnophis sirtalis sirtalis)を入れた。個体を識別し、行動を追跡して記録できるようになっており、どのヘビとどのヘビが親しいのかというデータを集めた。 発表された実験結果によると、若いヘビは群れるのを好むだけでなく、すでに多くのヘビがいる隠れ場所にとどまることが多く、外に出る時間まで調整していた。特定の個体同士の結びつきが強いようであることもわかった。「いわゆる『友だち』ですね」とミラー氏は言う。 「ガーターヘビは、ヘビの中では社会性がある方だということは知られていました。しかし、ここまで高い社会性があるとは思われていなかったはずです」 群れを好むのはガーターヘビだけではない。米カリフォルニア・ポリテクニック州立大学でガラガラヘビについて研究しているエミリー・テイラー氏によると、ニシダイヤガラガラヘビ(Crotalus atrox)、クロオガラガラヘビ(Crotalus molossus)、セイブガラガラヘビ(Crotalus viridis)など北米に生息するガラガラヘビの多くも、卵ではなく子を産み、集団で冬眠する。 飼育環境でのシンリンガラガラヘビについて調査した2004年の研究では、メスのヘビが姉妹を認識し、姉妹とともに過ごすことを好むことがわかった。また、クロオガラガラヘビに関する2011年の研究では、数日前に新しい子を産んだ単独の母ヘビが、捕食者を追い払うなど、積極的に子ヘビを世話していることがわかっている。