「GeForce GTX」は10月でサポート終了?ドライバーの「サポート期限」に要注意

■ NVIDIA製GPUの旧型製品サポート期間が発表  7月31日、NVIDIAは旧型GPU製品に関するサポート期間について発表した。わずか数行の情報であるが、物持ちのいいPCゲーマーには重要な話だ。 【画像】Maxwellアーキテクチャを採用した「GeForce GTX 750」搭載のZOTAC製ビデオカード。発売は2014年2月。VRAMが1GBというのは今の時代にはかなり厳しい  今回の発表で明かされたことを簡単にまとめると、Maxwell、Pascal、VoltaアーキテクチャGPUは2025年10月に最終版のGame Readyドライバーがリリースされた後、2028年10月まで四半期ごとのセキュリティアップデートの提供に移行する。  また「GeForce RTX」GPUのWindows 10へのGame Readyドライバーのサポートを、2026年10月まで延長する。  この発表に先駆けて、「GeForce GTX」シリーズのGPUサポートが間もなく終わるのではという憶測も流れており、情報が錯そうしているように見受けられる。改めて「GeForce」シリーズが今後どうなっていくのか説明しておこう。 ■ 今回の対象GPUは「GTX 750」から「GTX 1000」~一部例外もあるので要注意  まず1つ目のMaxwell、Pascal、VoltaアーキテクチャGPUに関する話。各アーキテクチャが何の製品にあたるか、ざっくり確認しよう。  3つの中で最も古いMaxwellは、「GeForce GTX 750」シリーズおよび「GeForce GTX 900」シリーズ、および「GeForce GTX TITAN X」。ポイントは「GeForce GTX 750」で、それ以外の「GeForce GTX 700」シリーズは、より古いKeplerアーキテクチャの製品となる。Keplerは2012年10月にサポート終了となっており、セキュリティアップデートも2024年で終了している。  Pascalは「GeForce GTX 1000」シリーズおよび「NVIDIA TITAN X」シリーズ。ただし数字の2桁目が6になる「GeForce GTX 1600」シリーズは、より新しいTuringアーキテクチャを採用したもので、「GeForce RTX 2000」シリーズからAIやレイトレーシング機能を省略したモデルだ。  Voltaは「NVIDIA TITAN V」などが登場したが、基本的に一般向けの製品ではないので、使用経験のあるゲーマーはほぼいないだろう。  これらの情報から、いま自分が使っている製品が対象に含まれるのかをご確認いただきたい。また、先述のKeplerを含め、今回発表があったものより古いGPUは既にサポートが終了している。  逆に今回発表されたアーキテクチャより新しいものを採用している製品群は、全ての「GeForce RTX」シリーズと、「GeForce GTX 1600」シリーズということになる。これらのユーザーは当面はサポートが継続されるので安心していい。 ■ ゲーム用ドライバーの更新は10月終了、セキュリティ更新のみ3年継続安定性を求めるなら新GPUに  では、Maxwell、Pascal、VoltaアーキテクチャGPUが今後どう扱われるか。まずGame Readyドライバーの更新が、2025年10月で終了となる。Game Readyドライバーはゲーム用のドライバーで、ゲーミングPCで一般的に使われているものだ。これとは別にクリエイティブ向けのStudioドライバーが存在する。  つまり2025年10月以降、対象のGPUではドライバーの更新が終わり、新機能や機能向上、デバッグ的なことは基本的に行われなくなる。例えばこの先、新しいゲームでうまく動作しなかったり、パフォーマンスが出ないものがあっても、GPUドライバー側での対応はされない。  ただし、セキュリティに関するアップデートは、2028年10月まで続けられる。GPUドライバーの更新は止まっても、すぐに致命的な問題が起こるわけではない。しかし2028年10月以降はセキュリティに問題があっても修正しないということなので、これ以降は新たなGPUに交換するか、インターネットに接続しない環境で使うなどの対策が求められる。  話をまとめると、ゲームの安定性や性能を最大限発揮したいのであれば2025年10月まで。セキュリティ的な問題さえなければ使いたいと言うなら2028年10月まで、という感じになる。  今から3年経てばGPUの世代もさらに1つ2つは進むので、最新のローエンドですら当時のハイエンドを上回る性能を持つはずだ。「GeForce GTX 1000」シリーズでは、ゲームプレイの際にパフォーマンス不足を感じることがさらに増えるだろう。  今後はなるべく早く「GeForce RTX」シリーズに移行して、というのがNVIDIAからのメッセージと考えていい。性能が高いだけでなく、レイトレーシングやDLSS、さらにはAI処理など、新機能がどんどん増えている。 ■ 「GeForce RTX」のWindows 10へのサポートを1年延長異例の「サポート終了OS」へのサポート延長  もう1つの話は、「GeForce RTX」シリーズのGame Readyドライバーを、Windows 10に対して2026年10月まで延長して提供するというもの。  Windows 10のサポートは2025年10月14日で終了となる予定。これに合わせて各社から、ハードウェア・ソフトウェア問わず、それ以降のWindows 10へのサポートを終了するという発表が出されている。  そんな中で、NVIDIAはWindows 10へのサポートを1年延長するという。サポートが終了するOSに対して、ドライバーのサポートを続けるというのは異例の対応だ。  これにはもちろん答えがある。Windows 10の方が、ほぼ無料で1年間の延長サポートを受けられると判明したからだ。これは「拡張セキュリティ更新プログラム」というもので、元々は法人向けに提供されるサービスだが、今回は個人向けに、簡単な手続きで利用できるようになった。  NVIDIA側からは、「拡張セキュリティ更新プログラム」の存在によりドライバーのサポート延長を決めたとは言っていないが、これによってWindows 10を使い続けるゲーマーが多いだろうと判断したのは確かだろう。既に安定動作しているPC環境を、できるだけ変えたくないと考えるゲーマーは非常に多い。  とはいえ、Game Readyドライバーも、Windows 10も、気軽にサポートを受けられるのが1年延びたに過ぎない。未だに「GeForce GTX」シリーズを使っているようなユーザーだと、CPUなどのスペックがWindows 11の要件を満たさずアップグレードできないパターンもありそうだ。  「Windows 10は最後のWindowsになるんじゃなかったのか!」という抵抗の声も根強いが、マイクロソフトとしてもお詫びの意味を込めての1年延長サポートだろうし、セキュリティを考えればOSも進化せねばならない。そろそろ重い腰を上げて……というか諦めて、Windows 11へ移行する時が来たと思っておこう。 著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお) 1977年生まれ、滋賀県出身 ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。 ・著者Webサイト:https://ougi.net/  PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。

窓の杜,石田 賀津男

窓の杜
*******
****************************************************************************
*******
****************************************************************************

関連記事: