アメリカの高い総合力の前に完封負け 大会連覇はならず準優勝
試合レポート
9月14日、「ラグザス presents 第32回 WBSC U-18 野球ワールドカップ」の決勝戦が沖縄セルラースタジアム那覇で行われ、侍ジャパンU-18代表はアメリカと対戦。0対2で敗れて大会連覇はならなかった。
16,693人の観客で埋まったスタンド。大きな歓声と拍手、指笛の中でマウンドに上がったのは今夏の甲子園優勝投手の末吉良丞(沖縄尚学)。初回から四球と安打で走者を出しながらも後続の打者を抑えて、3回まで無失点に抑えていく。 先制点は喉から手が出るほど欲しい展開ではあったが、アメリカ先発の198センチ右腕コールマン・ボスウィックが立ちはだかる。長身から投げ下ろす150キロを超えるストレートとキレの良い変化球を、球持ちと制球良くコースに投げ込んだ。
侍ジャパン打線も食らいつき、初回には藤森海斗(明徳義塾)、2回には奥村凌大(横浜)が安打を放つが後続がねじ伏せられ、得点できなかった。
この試合最大のチャンスは3回。坂本慎太郎(関東第一)が打席の中で細かく動くなど揺さぶり四球を選ぶと、岡部飛雄馬(敦賀気比)がバントを決めて1死二塁とした。ここで藤森がストレートを弾き返し、センター前に抜けたかと思えたが遊撃手エイデン・ルイスがジャンピングキャッチ。そのまま二塁に飛び込んで併殺が完成。侍ジャパンベンチは坂本の帰塁がセーフではないかとビデオ判定を要求したが、ビデオ判定でも覆らず。
直後の4回表、末吉は1死からブロディ・シューマーカーに三塁線への痛烈な当たりを打たれる。これを為永皓(横浜)がダイビングキャッチしファーストへ投げるが間一髪セーフ。際どいタイミングではあったが、ビデオ判定は1試合1回まで(成功の場合は複数回可能)のため要求できず。さらにその後に捕逸と安打で1死一、三塁のピンチを招く。ここで末吉はジェイデン・ジャクソンを打ち取ったもののボテボテの内野安打となってしまい、先制を許した。 なおも続くピンチは石垣元気(健大高崎)が150キロを超える力強いストレートで抑えるが、5回に3四死球から招いたピンチでシューマーカーに犠牲フライを打たれて2点目を失った。
なんとか反撃したい打線だったがボスウィックや、三塁手グレイディ・エマーソン、遊撃手ルイス、二塁手ジェイコブ・ロンバードらの鉄壁の守備陣が立ちはだかる。4回以降は坂本の1安打のみに抑えられ、完封負け。 試合を重ねるごとに成長を遂げ、無傷の8連勝で決勝まで勝ち上がった侍ジャパンだったが、あと一歩及ばず。2大会連続の栄冠には届かなかった。
監督・選手コメント
小倉全由監督
「選手たちを世界一にさせてあげられなかった悔しさがあります。アメリカは力がありましたね。投手の球は重くて強いし、ショートもセカンドも上手いですよね。先発は今日の投手で来るとは思っていたのですが、なかなか打てませんでした。(アメリカがセレブレーションの際に投げた)ペットボトルを拾っていてね。自分が同じ立場だったらできたかどうか。偉いなと思いましたね。人生の中でユニホームを着る最後の機会に、熱くみんなと世界一を目指すことができて幸せでした」
阿部葉太(横浜)
「このチームは粘り強いチームでした。いろんな選手が良い雰囲気を持ち込んでくれました。堅実さが日本の武器だと思うので、パワーに負けない技術をつけていきたいです。(決勝を戦ったアメリカは)自分の想像以上の力があったので、世界のレベルを体感できました。速いストレートに負けないスイング力をつけていきたいです」
末吉良丞(沖縄尚学)
「チームを勝たせる投球を目標にしていました。序盤にコントロールが定まらず、四球を出していると(直接ではないが)その後に失点へ繋がってしまうなと思いました。地元開催での国際大会、良い経験になりました。来年もし選ばれたら、アジア選手権で優勝できるように結果を残したいです」
コールマン・ボスウィック
※大会MVPを獲得 「チームとして優勝ができて最高の気分です。今日の自分のストレートはとても強かったです。自分の力を出すことができました。今後も大谷翔平のように2way player(二刀流)を続けていきたいです。打者としてはオースティン・ライリー、投手としてはポール・スキーンズのような選手になっていきたいです」