【焦点】パウエルFRB議長、ジャクソンホール会合で22日講演
米連邦準備制度理事会(FRB)など中央銀行の政策に関心のある人々にとって、今週は大きな1週間となる。
ワイオミング州ジャクソンホールで21日夜に始まるカンザスシティー連銀主催の年次シンポジウムでは、パウエルFRB議長が22日に講演を行い、物価安定と雇用の目標達成に向けて連邦準備制度が採用する新たな政策方針を発表する見通しだ。
9月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合を控え、同議長が連邦準備制度の考え方について、何らかの示唆を与える可能性もある。FOMCは今年これまで利上げを見送っており、トランプ米大統領の関税措置が経済に与える影響を見極めようとしている。
米インフレ率が引き続き目標の2%を上回る一方、労働市場の減速を示す兆しもあり、利下げ再開のタイミングを巡り政策当局者の意見は分かれている。トランプ政権が金融緩和を求める圧力を一段と強める中で、パウエル氏の講演は9月の利下げ支持の度合いを示す手がかりとなり得る。
先週発表された7月の米消費者物価指数(CPI)は、食品とエネルギーを除くコア指数の伸びが加速。前月比で1月以来の大幅上昇となった。しかし、関税の影響を受ける産品の価格は、懸念されていたほどには上昇しなかった。
一方、7月の米生産者物価指数(PPI)は、企業が受けるコスト圧力の高まりを示唆。また、小売売上高の最新データによれば、 7月は幅広い分野で伸び、6月分も上方修正された。だが、インフレや労働市場への不安を反映し、消費者マインドが低下した。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)によると、 「パウエルFRB議長は22日の講演を通じて、さまざまな臆測に終止符を打つ機会を得ている。昨年はこの会合で、利下げの準備が整っていることを示唆したが、今年は状況が異なっており、昨年ほど率直な発言は期待できない」という。エコノミストのアナ・ウォン、スチュアート・ポール両氏らがコメントした。
ジャクソンホール会合には各国・地域のセントラルバンカーも参加する。中銀の独立性に対しトランプ氏が続けている批判を受け、他国・地域の中銀総裁がパウエル氏支持を表明する場にもなり得る。
会期中には何人かのエコノミストが新たな研究論文を発表する予定で、世界の主要中銀総裁によるパネル討論会も例年通り行われる見込みだ。
今週は他にも、ニュージーランドでは雇用市場を下支えするため、中銀が利下げに踏み切るとみられている。英国ではインフレと小売売上高のデータが注目される。また、各国・地域の購買担当者指数(PMI)は、米国の関税政策が世界経済に及ぼす影響のヒントとなる。
米国の経済指標発表は、比較的落ち着いた週だ。住宅市場に関するデータ発表が予定されており、借り入れコストの低下が停滞している住宅市場の需要を押し上げる可能性がある。
19日に発表される7月の住宅着工件数は前月から減少する見通し。全米不動産業者協会(NAR)が21日に公表する中古住宅販売データは、15年ぶりの低水準付近で推移しているもようだ。
原題:Fed Welcomes Central Bankers to Jackson Hole: Eco Week Ahead (抜粋)