プーチンの目標は民主主義国家・ウクライナの死!ごまかされた停戦、安全の保証をどう行うのか?(Wedge(ウェッジ))

 トランプ大統領は8月15日のアラスカの首脳会談の後、ウクライナ戦争の停戦ではなく、和平合意を仲介することに方針を転換したことがあったが、外交問題評議会名誉会長のリチャード・ハースが、Project Syndicateに掲載された論説‘The Case for a Ceasefire in Ukraine’において、その機は熟しておらず停戦を選択すべきである、と論じている。要旨は次の通り。  ウクライナ戦争を終わらせる外交努力に当たっては、誰しも「機が熟すことがすべてだ」ということを念頭に置くべきである。  今日、ロシア・ウクライナ戦争に関する明白な問題は、機が熟するための諸要素を見出し得るかにある。トランプは平和を優先事項としたが、楽観は困難である。  外交的な展望は、ロシアについて特に機が熟していない。なぜなら、プーチンは、合意のないままの方が都合良く、時間は彼に味方していると信じているからである。  彼の目標はさらなる領土そのものではなく、西側と密接な関係にある独立した民主主義の国としてのウクライナの死にあり、それ以下で手を打つ様子はない。ロシアが受諾する外交プロセスが現在存在するかも明らかでない。  ウクライナ側にも限界がある。ウクライナは停戦が戦争の継続よりも好ましいと思っているが、それはロシアに土地を恒久的に譲り渡すことを求められない限りにおいてのことである。  永続的な平和がより好ましいことはもちろんであるが、手の届かないところにある。長期的な解決は達成可能で望ましいものでなければならないが、目下、そのような野心的な外交は達成可能でも望ましくもない。ウクライナに領土を手放すよう強いることはプーチンに報酬を与えることになる。  よって、停戦――アラスカのトランプ・プーチン会談以前のトランプのアプローチだった――を仲介する可能性を再度検討することの必要性は明白だ。  停戦を実現するには二つのことが必要になる。ロシアに対する圧力の強化とウクライナに対する長期的なコミットメントである。ウクライナが持続的な防衛を展開しロシア領内の標的を攻撃するために必要とする軍事支援とインテリジェンス支援の期限のない提供をトランプが約束すれば多くを達成できるであろう。追加的な経済制裁をロシアに課し、ロシアが停戦に同意すれば制裁を緩和・解除するとの約束も必要になるだろう。

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