アングル:イラン革命防衛隊、指導部壊滅でも事前の権限移譲で支配力強化か
[ドバイ 4日 ロイター] - イラン革命防衛隊は最高司令官らを失ったにもかかわらず、戦時意思決定における支配力を強め、ドローンとミサイルを用いた強硬戦略を率いている。複数の情報筋が明らかにした。
革命防衛隊は先月28日に米国とイスラエルによる攻撃を受ける前から、指導部の壊滅を予期してランクの低い将校への大幅な権限委譲を進めていた。この戦略は、中級将校らが近隣諸国への攻撃権限を得ることで、誤算を招いたり戦争が拡大したりするリスクもはらんでいる。イランは4日、北大西洋条約機構(NATO)加盟国のトルコにも攻撃を行った。
米国の政策団体「ユナイテッド・アゲンスト・ニュークリア・イラン」で革命防衛隊の研究責任者を務めるカスラ・アラビ氏は、殺害されたイランの最高指導者ハメネイ師の後継者選びにより、防衛隊の役割がさらに強固になる可能性があると言う。
有力候補と目されるハメネイ師の息子モジタバ師は防衛隊と極めて親密な関係にあり、防衛隊に対して大きな影響力を行使している。過激な若手層を含む幅広い層からの支持も厚い。
「仮に紛争が突然停止し、現体制が生き残れば、防衛隊の役割が以前より重要になるのは間違いない」とアラビ氏は語った。
<分散型戦略>
革命防衛隊の内情に詳しいイランおよび地域の情報源6人は一様に、開戦以来、防衛隊が指揮系統における役割を劇的に拡大させ、あらゆる重要な決定に関与していることを認めた。
防衛隊員で国防副大臣のレザ・タラエイニク氏は3日のテレビインタビューで、防衛隊の指揮系統の各ポストには3階級下まで後継者が指名されており、即座に交代できるようになっていると明かした。「各部隊・各部門の役割は、司令官が殺害された場合でも即座に後継者が代わりを務められるよう組織されている」と語った。
アラビ氏によると、こうした分散化は2003年、米主導のイラク戦争でイラク軍が崩壊したのを教訓に、20年近く前から革命防衛隊の教義として進化してきた。
<国内の治安維持も狙い>
重要なのは、革命防衛隊が「イラン国内における治安維持の執行者」として機能し続けられるようにすることも、分散化戦略の目的だということだ。
今のところこの戦略は機能しているように見えるが、今後も上級・中堅の司令官が次々と標的にされ続ければ、防衛隊が戦略的一貫性を維持する能力が衰える可能性はある。
革命防衛隊は、完全に一枚岩というわけではないが、ある情報筋は「イランが攻撃を受けている今、これまでになく団結している」と述べた。
一方でアラビ氏は、米・イスラエルの攻撃開始から5日が経過し、指揮系統が劣化し始めているかもしれないと指摘。その根拠として、湾岸諸国の民間施設に対する無秩序な攻撃が増加していることを挙げた。
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