米GDP、4-6月は約2年ぶりの高い伸び-個人消費の上方修正寄与
4-6月(第2四半期)の米実質国内総生産(GDP)確報値は3.8%増と、ほぼ2年ぶりの高い伸びとなった。個人消費の上方修正が寄与した。
キーポイント- 米GDP確報値は前期比年率3.8%増加
- ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は3.3%増
- 改定値は3.3%増
- 個人消費は2.5%増
商務省経済分析局(BEA)はまた、2020年初頭から25年初頭にかけてのGDPや関連統計を含む国民経済計算の年次改定も公表した。より新しく完全なデータを反映させた一方で、法人税申告や個人事業主の申告に関する一部統計については入手できなかったと説明した。
実質GDPは19年から24年にかけて年平均2.4%の成長を維持しており、今回の年次改定は比較的小幅にとどまった。米経済が新型コロナ禍で受けた当初の衝撃から速やかに回復し、その後は根強いインフレの中で安定したトレンド成長に移行したことがうかがわれる。
今回のデータは、米経済が第2四半期に持ち直したことを裏付けた。第1四半期はトランプ大統領による関税発動を控えた企業の在庫確保の動きから輸入が急増し、マイナス成長に陥っていた。第3四半期についても、個人消費や企業の設備投資が底堅さを示しており、堅調な成長が見込まれている。
FHNフィナンシャルのチーフエコノミスト、クリス・ロウ氏は「米経済は関税導入の衝撃から明らかに回復しつつある」とリポートで指摘。「成長の加速により、今後数カ月に雇用の伸びも強まるはずだ」と述べた。
PCEコア価格指数
改定値では、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)コア価格指数が、24年を通じて従来より速いペースで上昇していたことが示された。第2四半期は2.6%上昇に改定された。26日に発表される8月のPCE価格指数データは、前年比で約3%上昇が見込まれている。これにより今後の米利下げ幅は限定される可能性がある。
今年のGDPデータは貿易と在庫の変動による影響が大きいため、エコノミストは消費需要と企業投資を示す狭義の指標である民間国内最終需要に注目している。この指標は1ポイント引き上げられ、2.9%増となった。
個人消費は年率換算で2.5%増加した。上方修正は、運輸サービスや金融サービス・保険への支出増を反映したものだ。
設備投資は7.3%増えた。知的財産に関連した製品への支出が1999年以来の高水準となったことが押し上げ要因となった。人工知能(AI)の基盤を担うデータセンター投資も加速。年率換算で400億ドル(約5兆9700億円)超と、過去最高を記録した。
近年こうした建設が急増していることを踏まえ、BEAの年次改定ではこれまでオフィス構造物投資に含まれていたデータセンターを独立した項目として詳細を示した。
統計には企業利益の改定値も含まれており、第2四半期は0.2%増と大幅に下方修正された。これは、企業がこれまでのところ関税によるコスト増を米消費者に大きく転嫁していないことを示す他のデータとも一致する。パウエルFRB議長も先週、価格転嫁のスピードと規模について従来の想定より小さいと述べていた。
利益マージンの指標である非金融企業の粗付加価値(GVA)に占める税引き後利益の比率は、今年に入り低下傾向にある。だが、1950年代から新型コロナ禍にかけての水準を依然として大きく上回っている。
統計の詳細は表をご覧ください。
原題:US Economy Grows at Fastest Pace in Nearly Two Years on Consumer(抜粋)
— 取材協力 Mark Niquette