ガザ空爆で40人死亡、食料搬入再開発表後も攻撃続く 「全域掌握」と首相

 5月19日、イスラエル軍はパレスチナ自治区ガザで軍事作戦を継続し、少なくとも40人のパレスチナ人を殺害した。ハンユニスで撮影(2025年 ロイター/Hatem Khaled)

[エルサレム/カイロ 19日 ロイター] - イスラエル軍は19日、パレスチナ自治区ガザで軍事作戦を継続し、少なくとも40人のパレスチナ人を殺害した。ネタニヤフ首相はガザ地区全域を掌握する方針を示した。

ネタニヤフ首相はビデオメッセージで「大規模で激しい戦闘が続いている。われわれはガザ全域を掌握する」と述べ、ガザでハマスに拘束されている人質58人を取り戻し、ハマスなどの武装勢力を壊滅して「完全勝利」すると主張した。

18日、イスラエル軍がガザ北部と南部で大規模な地上作戦を開始したと発表する一方でイスラエル首相府は、ガザへの限定的な食料搬入を認める方針を示していた。 もっと見る

国連はこれまでガザには1日当たり少なくともトラック500台分の援助物資が必要だと訴えてきた。

イスラエル軍は19日にトラック5台がガザ地区に入ったと発表した。一方、国連の援助当局は9台のトラックがガザに入る許可を得たとしている。

国連人道問題・緊急援助責任者のトム・フレッチャー氏は「大海の一滴」と指摘した。

イスラエル軍報道官は、毎日数百台のトラックがガザに入れる状況を作るには時間がかかるとした上で、「何台にするかは政治階層の判断にもなるだろう」と記者団に語った。

ネタニヤフ首相は、長年イスラエルを支持している「世界で最高の友人」である米国の上院議員らが首相に対し、飢餓状態になっているガザの惨状はイスラエルへの支持を奪い、イスラエルを「制御不能になる恐れのある一線」に近づけていると指摘したと説明。「だからこそ、勝利を収めるために、問題を解決しなければならない」と述べた。これは、政権内の極右強硬派に向けた発言とみられる。

イスラエル軍は「ギデオンの戦車」と銘打った新たな作戦に参加する部隊がガザ全域で活動し、ハマスの軍事・統治能力の排除と人質奪還を目指していると発表した。

パレスチナの保健当局によると、過去8日間の攻撃で500人以上が死亡している。

ハマス幹部はロイターに「ギデオンの戦車は、生存しているイスラエルの人質にとって死刑宣告であり、この作戦の継続は、ネタニヤフが捕虜を救出するのではなく、排除しようとしていることを意味する」とと述べた。

ハマスは過去に、複数の人質がイスラエルの空爆で死亡したと主張。イスラエル側はハマスが人質を処刑したと非難している。

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A senior correspondent with nearly 25 years’ experience covering the Palestinian-Israeli conflict including several wars and the signing of the first historic peace accord between the two sides.

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