新「テニミュ」開幕! 跡部の母役は藤原紀香&おスギ婆さんはKIMERU。初日会見&ゲネプロレポート
許斐剛原作による「ミュージカル『新テニスの王子様』The Fifth Stage」が、本日10月3日に東京・Kanadevia Hallで開幕した。本番に先がけて初日会見と公開ゲネプロが行なわれたので、その様子をレポートする。
マンガ「新テニスの王子様」は、週刊少年ジャンプで連載していた「テニスの王子様」の続編で、現在「ジャンプSQ.」で連載中。主人公・越前リョーマが所属する青春学園が全国大会で優勝してから数カ月後から物語は始まり、中学テニス強豪校のメンバーや高校生達と日本代表として“U-17(アンダーセブンティーン)W杯”に臨む。
ミュージカル「新テニスの王子様」(以下、テニミュ)は、2020年から始まった「テニミュ」の新シリーズで、年に1回ペースで上演されている。日本代表合宿から始まり、U-17W杯ギリシャ戦、フランス戦、ドイツ戦などを描いてきた。
5作目となる今作「The Fifth Stage」は、U-17W杯の決勝戦となるスペイン戦が舞台となる。スペイン戦は現在もジャンプSQ.で連載中で、日本代表とスペイン代表どちらが優勝するかはまだ原作でも描かれておらず、未完の状態で舞台化するという、「テニミュ」シリーズでは珍しいケースだ。
初日会見&ゲネプロでは、事前に明かされていなかった特別映像出演のキャストも発表。跡部景吾の母親・跡部瑛子として藤原紀香が出演する。
また、リョーマの父・南次郎よりもはるか前に世界で活躍した、伝説の女子テニスプレイヤー屋久杉麗華(通称:おスギ婆さん)を、かつて不二周助と越前リョーマを演じたKIMERUが担い、特別映像出演している。両者から出演に関してのコメントが届いているので、ぜひ記事後半のコメントもチェックしてほしい。
初日会見には、越前リョーマを演じる今牧輝琉、跡部景吾を演じる高橋怜也、ロミオ・フェルナンデスを演じるSion、越前南次郎を演じる中河内雅貴が登壇した。
新「テニミュ」では、過去の「テニミュ」公演で中学生役を演じていたキャストが、高校生役として再出演することも度々話題を呼んでいる。
初日会見に登壇した中河内雅貴もそのうちの1人で、2006年に上演した「「テニミュ」」1stシーズンでは立海大付属中の仁王雅治を演じていた。2021年の4thシーズン「青学vs不動峰」で、越前リョーマの父・越前南次郎として出演し、新「テニミュ」への出演は今回が初となる。
越前リョーマを演じる今牧輝琉は、「いつもは熱い試合がメインですが、今回はそれと同時に、1人1人のキャラクターの人間ドラマだったり、過去だったり、色々なものを試合中に描いています。そのキャラクターに対する深みが絶対増す公演だと思いますので、試合ももちろん熱いけど、人間らしいキャラクターの部分をたくさん愛していただければと思います」と、今作の見どころを語った。
跡部景吾を演じる高橋怜也は、「作曲をしてくださる兼松さんの楽曲が年々アップグレードしていて、常に挑戦させていただいています。そういうところも魅力ですし、今まで『テニミュ』に出させてもらって、たぶん今回の試合が一番大変なんじゃないかなと思います。試合ももちろん跡部は長いですし、ロミオに振り回される跡部景吾が頑張っているので、その大変さも熱量に変えて試合を見せていきたいと思います」と、これまでの公演を振り返りながら、今作の跡部景吾の試合について語った。
ロミオ・フェルナンデスを演じるSionは、「前回の公演はスペイン代表は3人でしたが、今回は7人全員が揃っています。7名に増えたということで、より一層スペインらしさが色濃くなったように感じます。情熱的で家族愛の強い絆の強いチームでありながら、1人1人が個性的で謎めいた存在です。ロミオとしては、彼の強さや存在感をしっかりお見せできるように、心と体の両面で準備してきました。スペイン代表の誇りを胸に、仲間とともに全力でパフォーマンスをお見せできるよう全力で頑張ります」と意気込んだ。
越前南次郎を演じる中河内雅貴は今作の見どころについて、「全部です。いや、全部って答えるのはあまり好きじゃないんですけど、本当に全部なんです。『テニスの王子様』はやっぱり1人1人が主人公なので、1つ1つの試合が真剣勝負で、勝っても負けても試合をしているというところが全部魅力的です。その中でミュージカルということで歌がありダンスがあり、キャストのみんなも、僕が初めて出演した約20年前の時代とは全然クオリティが違って(笑)、しかも今回は結構な試合数で、お客様も真剣にご覧になられると思います。ぜひとも僕らと一緒に戦ってほしいです」と、笑いを誘いながらも真剣なメッセージを残した。
U-17W杯決勝となるスペイン戦は、決勝戦に出場するメンバーを決めるために日本代表内で試合をする「決勝メンバー決定戦」も注目を集めた。2024年に上演した前作「The Forth Stage」でも、リョーマvs不二など一部の試合が繰り広げられた。
だが前作ではすべての試合は描かれておらず、今回の「The Fifth Stage」1幕では前回描かれなかった日本代表の決勝メンバー決定戦から物語は始まる。
徳川vs真田、跡部vs忍足などのシングルスから、遠野篤京&君島育斗が再びダブルスを組んで毛利寿三郎&越知月光と試合するなど、原作の印象的な試合が続き、目が離せない。
いよいよスペイン戦が始まり、第1試合は「跡部景吾vsロミオ・フェルナンデス」のシングルス対決。持久戦を得意とする跡部に対し、ロミオは「無限に体力をリセットできる」という特性があり、跡部がロミオにどう立ち向かうのか手に汗握るシーンが続いていく。跡部景吾役の高橋怜也は歌唱力の高さもお墨付きで、ソロ楽曲は必聴だ。
2幕は、第2試合「大曲竜次&遠山金太郎vsマルス・デ・コロン&セダ」のダブルス対決。マルスの打球を受けると腕が5秒麻痺してしまうという困難に対し、大曲、遠山ともにそれぞれ持ち味を活かして挑んでいく。
第2試合も見どころが多く、クロスドレッサーであるマルスに目を奪われながら、小柄なセダ、遠山どちらも軽快な身のこなしにも惹きつけられ、試合があっという間に進んでいく。
また、同試合では大曲の葛藤に心が掴まれるのも特筆すべき点だ。U-17W杯に出場できる高校生メンバーは4人までというルールがあり、高校生の種ヶ島と大曲は元々ダブルスを組んでいたが、決勝メンバー決定戦に2人で出場するとルールの関係で2人とも決勝戦に出場できない可能性があった。そこで2人はあえて、お互い別の中学生とダブルスを組み、大曲&遠山ペアが決勝に進むことになったという経緯がある。苦戦を強いられる試合中の大曲と種ヶ島の楽曲もかなり印象的だ。
続く試合は日本代表・越前リョーマと、スペイン代表・越前リョーガの兄弟対決。だがここでアクシデントが起こり、先に「越知月光&毛利寿三郎vsフリオ・ロマン&シルバ・セラ・バンビエーリ」の試合が行なわれることとなる。
試合はスペイン代表の楽曲から始まり、これまで重厚な楽曲が続いたなか、本試合では明るいキャラクターのフリオを中心に、客席も盛り上がるような演出で会場を彩る。試合が進むにつれ、それぞれのダブルスの関係性がはっきりと表現され、胸がアツくなるシーンもある魅力の多い試合だった。
そして最後は徳川カズヤvsメダノレの試合だが、この試合はまだ原作でも決着が着いておらず、公演はそのまま終盤へと差し掛かった。次作を期待できる最後となるため、まだ誰も知らないU-17W杯決勝戦の結末に注目していきたい。
本編、カーテンコールが終わると「テニミュ」おなじみの、サービスナンバー楽曲と客席にキャラクターが登場する客席降り演出が始まる。本公演では、平日スペシャル企画として、サービスナンバー内で「スマホで撮影タイム」を実施し、携帯やスマートフォンで写真・動画撮影ができる時間を設けている。撮影した写真や動画はSNSに公開OKで、公演終了後も余韻を楽しめるだろう。
本編の熱さに加え、自分だけの写真や動画が撮れるチャンスもあるため、その盛り上がりをぜひ自身の目と写真に焼き付けてほしい。
元より、ミュージカル『テニスの王子様』シリーズは、“不可能を可能にした舞台”という言葉がぴったりの作品だと感じてきました。 「テニミュからデビューしました!」というactor陣も多く、このシリーズが築いてきた歴史の大きさ、素晴らしさを改めて実感しています。
今回、主要キャラクターである跡部景吾の伝説の母・跡部瑛子というお役をいただいた時は、驚きとともにとても嬉しく思いました。 なにせ「元スパイ」「ペットは虎」…規格外な女性ですから(笑)。
舞台を観てくださるお客様には、そんな“非現実的な跡部ママ”を楽しんでいただきつつ、跡部家の誇りと品格、そして母として息子を信じ抜く揺るぎない愛を兼ね備えた跡部瑛子として、皆さまの心に残れば幸いです。
また、演出の上島先生と【ミュージカル『南太平洋』】以来にご一緒でき、大船に乗った気持ちで臨むことができました。 映像化が難しいと当初は言われていたこのシリーズがここまでの歴史を重ねてきたことに、心からリスペクトを抱きながら、 初登場となるこのお役を「この母にしてこの息子あり」と感じていただけるようにと、心を込めて務めました。 最後になりますが...
『今後とも息子・跡部景吾をよろしくお願いします。そして、新テニミュの仲間たちも最高よ♡ by跡部瑛子』