米中首脳会談、注目すべき8つの争点-レアアースやTikTokが鍵に

トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が30日に韓国で会談を行う。米中貿易休戦合意が11月10日に期限を迎えるのを前に、両国関係の行方を占う重要な外交協議となる見通しだ。

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  トランプ氏は27日、大統領専用機(エアフォースワン)内で同行記者団に対し、まだ何も合意には至っていないが、習主席との会談に向けて良い感触を持っていると述べた。両首脳の会談は、韓国で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて行われる予定だ。

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  ベッセント財務長官は大統領専用機内で記者団に対し、トランプ氏と習氏の最終合意に向けた枠組みが、週末に行われた中国側との協議で形成されたと明らかにした。中国側の代表団は何立峰副首相が率いた。

  両国が詰めの協議を続けている主な争点は以下の通り。

レアアース

  自動車や防衛産業など幅広い産業に不可欠な素材であり、中国が生産と精製を事実上独占しているレアアース(希土類)の輸出制限は、米国にとって大きな懸案となっている。トランプ政権は、中国が10月9日に発表した輸出規制強化方針の撤回を求めている。同方針は12月に実施される予定だ。

  中国商務省が発表した声明によると、中国産レアアースが使用された製品を輸出する外国企業は同省から輸出ライセンスを取得する必要がある。

  ベッセント氏は26日、同規制強化の実施を中国は「再検討のために1年間延期する」との見方を示した。

輸出規制

  米国も今年、対中輸出規制を拡大した。中国側が特に問題視しているのが、米商務省が9月29日に発表した措置だ。同措置は、輸出制限対象の「エンティティーリスト」にすでに掲載されている中国企業の子会社に対しても、半導体製造装置の販売規制を広げる内容で、世界各地の中国関連企業数千社に影響が及ぶ可能性がある。

  ベッセント氏は、自身がまとめた両国の枠組みに米国側の規制緩和は含まれていないと説明している。ただ、アナリストの間では、この分野こそが中国に対する「見返り的な譲歩」が行われる可能性のある領域だとの見方も出ている。

フェンタニル

  トランプ氏は今年、中国が合成麻薬フェンタニルおよびその原料の輸出を抑制していないとして、中国製品に20%の追加関税を課した。中国の李成剛商務次官は週末、マレーシアでの米国側との協議でフェンタニル問題をめぐり暫定的な合意に達したと述べた。詳細は明らかにしなかったものの、関税措置緩和への期待が高まっている。

TikTok

  米中両政府は、動画投稿アプリ「TikTok」の米国事業を、中国の親会社バイトダンス(字節跳動)から切り離す取引の最終調整を進めている。9月にマドリードで行われた米中閣僚協議を経て、具体化に向けた動きが加速している。

  トランプ氏は9月25日に大統領令に署名し、TikTok米国事業の過半を米投資家が保有し、経営権も米国が握る体制とする方針を明示した。TikTok米国事業のオーナーは、バイトダンスからアルゴリズムのコピーをリースし、それをオラクルが「一から」再訓練することになるという。しかし、この取引を中国当局が正式に承認したとの情報はまだない。トランプ氏はこの問題についても習主席と協議する意向を示しており、30日に最終合意に署名する可能性があると述べている。

港湾料金

  中国当局は、米国が所有または建造した船舶に対し、10月14日から特別港湾料金の徴収を開始した。同日、米国側も自国の港に寄港する大型中国船に追加料金を課した。中国側はさらに、韓国の大手海運会社の米国子会社にも制裁を科した。

  中国の李成剛商務次官は、両国が港湾料金の問題に対処することで合意したと述べ、週末の協議を経て一定の成果が得られたとの認識を示した。

米国産大豆

  中国は通商協議で農業分野も交渉材料として活用している。中国が米国産大豆の輸入を事実上停止しているため、米国の農家は資金繰りの悪化に苦しんでいる。ベッセント氏は、中国が米国産大豆を「大規模に」購入する見通しだと述べた。一方で中国政府の公式発表では、農産品分野で「暫定的な合意」に達したとだけ言及している。

上乗せ関税

  米国は現在、中国からの輸入品に対して55%の関税を課している。さらに」トランプ氏は中国によるレアアース規制強化の動きを受け、11月1日から中国からの輸入品に100%の追加関税を課すと表明していた。ただマレーシアでの協議後、ベッセント氏はCBSニュースのインタビューで、中国製品への100%関税の警告は「事実上、撤回された」と述べた。

  米中貿易休戦合意の期限は11月10日に迫っている。合意が失効すれば米国による対中関税率は最大145%に達する。ベッセント氏は関税措置の停止期間について、これまでの90日間よりも長く延長される可能性があるとの見方を示している。

対ロシア関係

  これまで米中両国の協議は主に経済分野にとどまってきたが、ベッセント氏によると、今回の首脳会談では世界的な和平の構想についても協議する見通しだ。トランプ氏は公の場で、ロシアによるウクライナ侵攻の解決に向けて習主席の協力を得たいとの意向を示している。

  習氏とロシアのプーチン大統領は、ロシアによるウクライナ侵攻以降、関係を一段と緊密化させてきた。中国はロシアに対し、経済面と外交面の両方で支援を続けている。

原題:Here Are the Key US-China Issues to Watch in Trump-Xi Summit(抜粋)

— 取材協力 Jing Li

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