ウクライナ停戦きょう交渉 プーチン氏欠席か、ロシア代表団に入らず

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ロシアとウクライナは15日、ウクライナ侵略を巡る直接交渉をトルコのイスタンブールで開催する。交渉は2022年春以来およそ3年ぶりで、和平を仲介する米国も参加し一時停戦について協議する見通し。プーチン大統領は欠席する公算が大きくなり、停戦交渉の先行きは不透明感が漂う。

ロシアのウクライナ侵略が3年を超えて長引くなか、ロシアが30日間の無条件停戦を受け入れるかが焦点となる。

ロシア大統領府は14日夜にウクライナとの直接協議に向けた代表団を発表した。メジンスキー大統領補佐官を団長とし、ガルージン外務次官らが含まれる。プーチン氏やラブロフ外相は代表団のメンバーには含まれていない。

メジンスキー氏は22年の直接交渉でも代表団のトップを務めた。プーチン氏は前回交渉を念頭に「再開する用意がある」と言及してきた。今回の交渉も高官協議と位置づけており、プーチン氏自らがトルコを訪問する可能性は低いとみられる。

ロイター通信によると、トランプ米大統領もトルコには向かわないことを決めた。

ウクライナのゼレンスキー大統領は13日、「停戦を実現する唯一の方法は、プーチン(ロシア大統領)との直接交渉だ」と改めて首脳会談に応じるよう求めた。ゼレンスキー氏は15日、トルコの首都アンカラでエルドアン大統領と会談する。欧米メディアは、ゼレンスキー氏がアンカラに向かっていると伝えた。

ゼレンスキー氏は当初、ロシアが停戦に応じることが直接交渉の前提条件との考えを示していた。トランプ米大統領がロシアとの協議への参加を促したことで前提条件を設けない姿勢に転換した。

各国は直接交渉の実現に向け、14日も外交努力を重ねた。ウクライナのシビハ外相はトルコ南部アンタルヤを訪問し、同国のフィダン外相と会談。ウクライナが求める無条件停戦について協議し、15日のウクライナとトルコによる首脳会談を下準備した。

シビハ氏はアンタルヤで14〜15日に開かれる北大西洋条約機構(NATO)の外相会合に参加した後、イスタンブールに移動して、ロシアとの協議に参加する可能性がある。

米国からはNATO外相会合のためアンタルヤを訪れているルビオ国務長官が停戦交渉にも出席する。トランプ米大統領が13日の演説で明らかにした。ロイター通信は匿名の関係者の話として、ウィットコフ中東担当特使とケロッグ・ウクライナ担当特使もトルコに派遣する計画だと報じた。

ウクライナはロシア側に少なくとも30日間の停戦に応じるよう直接交渉でロシアの歩み寄りを求める方針だ。米国が提案した30日停戦を無条件で受け入れる姿勢を見せ、米国からの支援をつなぎ留める必要がある。

ロシアは今回の直接交渉でも強気の姿勢で臨むとみられる。

ウクライナが求める30日停戦について、永続的な停戦が必要だと主張し「危機の根本的な原因を取り除くものでなければならない」と注文をつける。ウクライナに親ロシアの政権を樹立することを意味する「中立化」などを求める立場を変えていない。

前線で優位に立つロシアは交渉で時間をかけつつ、自国に有利な条件での停戦につなげる戦略が浮かぶ。

前回のロシアとウクライナの直接交渉は22年2月の侵略開始直後、同年3月以降に開催された。

ロシア軍がウクライナの首都キーウ近郊まで攻め込むなど戦線を広げるなか、ロシアはウクライナ軍の規模縮小などを要求。ロシア軍の撤退を求めるウクライナとの溝が埋まらず、交渉が決裂した経緯がある。その後、米欧によるウクライナ支援が整い、ウクライナが反転攻勢に出て戦争が長期化した。

今回も直接交渉の再開にこぎ着けたとしても、停戦実現に向けた協議は難航が予想される。ロシアは一方的に併合したウクライナ東・南部4州の領有を主張するほか、ウクライナのNATO加盟放棄などを求めている。

ロシアのリャプコフ外務次官は13日、ウクライナとの直接交渉の議題について「ロシアに編入された新しい地域を含む領土問題について議論する予定だ」と記者団に述べた。

ロシアは22年秋に東部ドネツク州などウクライナ東・南部4州を一方的に併合し、領土面で譲歩しない構えだ。

ウクライナはロシアが14年に併合したクリミア半島を含むすべての領土の奪還を求めており、双方の溝は深い。

ゼレンスキー氏はプーチン氏が出席を見送った場合、「ロシアが停戦に消極的だ」と訴えることで、国際的な対ロ圧力につなげる方針だ。ゼレンスキー氏は13日、欧米に追加の対ロ制裁を科すよう要請した。

ウクライナと欧米は10日、ロシアが停戦を拒否した場合、大規模な追加制裁を科すことで合意した。米欧は原油などのエネルギー取引や銀行部門で新たな追加制裁の発動を検討している。

(イスタンブール=金子夏樹、児玉章吾)

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