若すぎる?「豊臣兄弟」キャスティング秘話…菅田将暉、あんぱん弟

『豊臣兄弟!』の場面より、斎藤家家臣・竹中半兵衛(菅田将暉)(C)NHK

(写真12枚)

豊臣秀吉の名参謀と言われた弟・豊臣秀長(小一郎)のサクセスストーリーを、仲野太賀主演で描く大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK)。2週間ぶりの放送となる、2月15日放送の第6回「兄弟の絆」を前に、制作統括の松川博敬氏の取材が実現。秀長や秀吉の脇を固める人々のキャスティング裏話や、注目しておきたい今後の登場人物などの話題が飛び出した。

2月1日放送の第5回「嘘から出た実(まこと)」では、織田信長(小栗旬)から斎藤龍興(濱田龍臣)の家臣・大沢次郎左衛門(松尾諭)の調略を命じられた木下藤吉郎(豊臣秀吉/池松壮亮)と小一郎が、藤吉郎を人質にすることを条件に、信長に協力する約束を取り付ける。

しかし、次郎左衛門が信長に謁見するときに、隠し持っていた武器が見つかり、次郎左衛門と藤吉郎に、命の危険が迫る。2人の命を両方とも助けようと、信長に必死の訴えをする小一郎の姿が「仲野太賀の真骨頂」(松川氏談)と、必見の回だそうだ。

『豊臣兄弟!』第5回より。織田信長のもとへ斎藤家家臣・大沢次郎左衛門(写真左、松尾諭)を連れてきた小一郎(のちの豊臣秀長/写真右、仲野太賀)(C)NHK

この第5回で、小一郎の前に大きな壁となって立ちはだかるのが織田信長。松川氏は小栗旬をキャスティングした理由を「怖さのなかに、弱さと親しみやすさがにじみ出るところ」だと語り、この回はまさに小栗に演じてもらった理由が、一目でわかるものになるそう。

『豊臣兄弟!』第6回より。小一郎(写真左、仲野太賀)に迫る織田信長(写真右、小栗旬)(C)NHK

「信長は第6回で、弟を殺して武将としてのキャリアをスタートさせた過去が描かれますが、その傷を抱えているという人間臭さと弱さ、それでいて迫力と覚悟みたいなものも併せ持っている。その両方を表現できることが、小栗さんにお願いした理由です。

もっと超然とした、大御所俳優がやる選択肢もあったけど、信長って実は秀吉の3個上で同世代なんですね。その実年齢差は、かなり意識しました」と、改めて「人間・織田信長」に焦点を当てるための、小栗起用だったことを明かす。

また、徳川家康役の松下洸平は「将来的に、小一郎と友情関係を紡いでいくことをイメージしたときに、松下さんになった」という。そして松下にオファーをしたときは「御本人はすごく悩まれたそうです」という裏話を。

『豊臣兄弟!』第3回より。兵糧入れがスムーズに進んだことを、不安に思う三河の戦国武将・松平元康(松下洸平)(C)NHK

「『自分なりの家康を、どういう風にやろうか?』と考えたそうなんですけど、脚本を読んで『あ、このままやれば十分変わった家康になる。じゃあこのままやろう』となったらしくて(笑)。実際、なにか変わってるんですよね。

悲しんでるのかなんなのかよくわからないなど、一筋縄でいかないキャラクターです。天下を取るのに興味はないんだけど、なんか転がり込んできちゃった! みたいな感じになるんじゃないかと思います」と、こちらも風変わりな家康像になることを明かした。

『豊臣兄弟!』の場面より、織田信長の弟・信勝(中沢元紀)(C)NHK

ちなみに信長が殺害した弟・織田信勝を演じたのは、期待の若手・中沢元紀。NHKの連続テレビ小説『あんぱん』で、主人公・のぶに恋心を抱きながらも、戦争によって命を落とす、柳井嵩の弟・千尋を好演したのが記憶に新しいが、まさにその『あんぱん』きっかけで起用されたという秘話が。

「キャスティングをいろいろ進めていたのが、ちょうど『あんぱん』の放送が始まる頃だったんです。あのお芝居が良かったですね。不憫な弟をやったら、最近では一番じゃないかって(笑)。

幼少時の豊臣兄弟も、柳井兄弟(木村優来・平山正剛)になってますけど、あれもたまたま見ていて『いいなあ』と思いました」と、『あんぱん』がキャスティングに大きな影響を与えていたことを語った。

『豊臣兄弟!』第1回の場面より、写真左から、小一郎の母・なか(坂井真紀)、姉・とも(宮澤エマ)、妹・あさひ(倉沢杏菜)(C)NHK

また『豊臣兄弟!』では、女性も魅力的なキャラクターが多い、母・なか(坂井真紀)、姉・とも(宮澤エマ)、妹・あさひ(倉沢杏菜)という秀長・秀吉ファミリーはもちろん、秀長の初恋の人・直(白石聖)や、秀吉といつ夫婦になるのかヤキモキさせる寧々(浜辺美波)、そして信長の孤独に寄り添う妹・市(宮﨑あおい)などがドラマを彩っている。これは意図的に、女性多めのキャラ設定をしたそうだ。

『豊臣兄弟!』第5回より。木下藤吉郎(のちの豊臣秀吉/池松壮亮)を手当てする寧々(浜辺美波)(C)NHK

「過去に描かれてきた秀吉(の大河ドラマ)でも、やっぱり家族は切り離せない存在なので、早い段階でホームドラマであるとも言っていました。戦国時代はやっぱり男社会なので、気を抜くと女性が一人も出てこないことになる。

だから初期の座組を作る段階で、女性の比率はかなり意識しました。主要キャストの8~10人のうち、半分は女性にしようと。その結果ホームドラマや、恋愛のシーンがかなり増えるんじゃないか」と語る。

『豊臣兄弟!』第1回より。主人公・小一郎と話す、幼なじみ・直(白石聖)(C)NHK

そのなかでも、目覚ましい成長を遂げているのが、直を演じる白石聖という話も。「回を重ねるごとにどんどん魅力的になっていて、特におじ様からすごい支持されていると聞いています(笑)。準備期間が短かったんですけど、昔の朝ドラのヒロインがだんだん成長していくのと同じぐらいの感覚を、短期間で見せていただいて、とても楽しいです」と、影のMVPであることを語った。

普通は大御所レベルがクレジットされる、タイトルロールの大トメが、まだ40代前半の小栗旬であることが象徴するように、かなり若い俳優が中心となっている『豊臣兄弟!』。それは前述のように、史実上の実年齢を意識してキャスティングをした時に、必然的にそうなったという。

『豊臣兄弟!』第5回より。斎藤家家臣・大沢次郎左衛門(写真右、松尾諭)に報せを伝える息子・主水(写真左、杉田雷麟)(C)NHK

「後半戦になると、秀長や秀吉が40代になったときに、下の世代がどんどん出てくるじゃないですか? そのときに、その実年齢が逆転していると、やっぱりちょっと違うなと。それでおのずと、20代の俳優のチャンスがとても多いドラマとなっています。

去年の1月のオーディションで選ばれた方がどんどん現場に入って、今は若い力にあふれています。これを土台に、彼らにはさらに上のステージにステップアップしてほしい」と期待を込める。

『豊臣兄弟!』の場面より、写真左から、斎藤家家臣・竹中半兵衛(菅田将暉)、川並衆・蜂須賀正勝(高橋努)(C)NHK

そのなかでも、松川氏が勧める今後の注目キャストは、やはり竹中半兵衛を演じる菅田将暉。そしてNHKの朝ドラ『虎に翼』で、主人公に絡む新聞記者役でいぶし銀の演技を見せ、今回は蜂須賀正勝(小六)を演じる高橋努の名前を挙げた。

「菅田さんが演じる竹中半兵衛は、とっても面白いキャラクターになったので、ぜひ注目してほしいと思います。蜂須賀小六は、過去はレスラーの大仁田厚さんとか、肉体派の人がやることが多かったんですけど、高橋さんの小六は独特の哀愁があって、とても人間味にあふれています。本当に毎話新しいキャラクターが出てきて、すごく魅力を発揮してくれる。

一方で僕としては、皆さんが期待していることは裏切りたくないので、皆さんが知る有名武将には期待通りの活躍をしてもらおうと思っていて。なので本当に、ちょっと尺が足りないぐらいに充実している(笑)、キャラクター勝負のドラマだと思います」と、序盤で早くも手応えを感じた様子を見せていた。

大河ドラマ『豊臣兄弟!』はNHK総合で毎週日曜・20時から、NHKBSは18時から、BSP4Kでは12時15分からスタート。2月15日放送の第6回「兄弟の絆」では、秀長が大沢次郎左衛門の無実を証明するために奔走する様子が描かれるとともに、信長の過去の因縁が描かれる。

文/吉永美和子

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