大阪万博:万博パビリオン全84館制覇、2人に聞く攻略法…印象に残ったパビリオンや課題も : 読売新聞
4月の開幕から4か月が過ぎた大阪・関西万博で、全てのパビリオンを巡った人たちが出始めている。パビリオンの多くは長時間並ぶ必要があり、予約抽選のハードルもある中、どのように回ったのか。印象に残ったパビリオンや課題に感じた点も含めて聞いた。(前川和弘)
早朝に入場列に待機…来場100回以上
万博会場では、開館が遅れていたネパール館が7月19日にオープンし、全84館がそろった。
アメリカ館の前で展示の魅力について語る鷹野浩一さん(大阪市此花区で)=浜井孝幸撮影大阪府八尾市の鷹野浩一さん(69)は、ネパール館が開館した日に同館を訪れ、全パビリオンを制覇した。スタンプ帳は、各館の個性的な図柄のスタンプでびっしりと埋まる。4月13日の開幕以降、100回以上来場しているという。
1970年大阪万博当時は中学生、2005年愛知万博時は就職しており、いずれも2回行くのがやっとだった。会社員を定年退職した今回は、万博を満喫しようと繰り返し入場できる通期パスを購入。まだ来場者の少なかった4、5月に人気パビリオンを集中的に回った。
来場者が増えて予約が取りにくくなってからは、早い時で開場2時間半前の午前6時半から東ゲートに並び、目当てのパビリオンやイベントの当日予約を取ったという。
おすすめはアメリカ館
鷹野さんの一番のおすすめはアメリカ館。70年大阪万博では月の石が見られなかったが、今回は見ることができ、「リベンジできた」と喜ぶ。ロケットが発射する映像展示も印象的だったという。
全館制覇した今は、日替わりで行われる各国のナショナルデーの公式行事を観覧するのを楽しみにしている。「アフリカなどあまりなじみのない国の伝統的な踊りやライブを見ることができる」と話す。
一方で、不満に感じているのは、東ゲート前には日よけのテントが一部にしかなく、開門待ちの際に長時間、直射日光にさらされることだ。「耐えられないぐらい暑く、並んでいる間に救急車で運ばれる人もいた。もっと熱中症対策に力を入れてほしい」と訴える。
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通期パスを二つ購入
大阪以外から通う人もいる。名古屋市南区の介護福祉士、磯辺優子さん(48)はその一人だ。
ミャクミャクカラーの浴衣を着て会場内を巡る磯辺優子さん(大阪市此花区で)=沢野貴信撮影磯辺さんは介護施設で働いており、休みの度に会場を訪れている。夜勤明けで午前9時半に仕事が終わった後、そのまま向かうこともあるという。
通期パスを二つ購入して計六つの予約枠を確保し、当選率を高めている。お気に入りは、大阪府・大阪市が出展する大阪ヘルスケアパビリオン。自動で体の汚れを洗い流す「ミライ人間洗濯機」など、未来の技術を感じられるからだという。
パビリオンの入館待ちをしている間、同じように万博に通う人と知り合い、おすすめの展示について情報交換。意気投合して一緒に会場内を巡ることもある。
行列に並んでいる際に横から抜かされることもあり、「マナー面での注意喚起をもっとしてほしい」と注文しつつ、10月の閉幕まで通い続ける考えだ。「行く度に新しい出会いと発見がある。これからも他の来場者やスタッフとのコミュニケーションを楽しみたい」
全館制覇した2人が薦めるスポットや楽しみ方予約枠争奪戦、高い壁に
万博のパビリオンは予約がないと入れない館もあり、全館制覇は容易ではない。
日本国際博覧会協会(万博協会)によると、事前予約を行っているパビリオンは全84館中約30館。このうち3分の1は予約のみしか受け付けていない。
予約の抽選は来場日の2か月前と7日前の2回チャンスがある。2か月前抽選での平均当選率は約8割に上るが、7日前抽選になると約5割、来場者が多い日は約3割まで下がる。
また、先着順となる3日前予約と会場内で申し込む当日予約は、それぞれ午前0時、午前9時の受け付け開始からわずか約2時間で枠がなくなり、争奪戦となっている。