「日の丸にバツ印」掲げた大学生 あいまいな国旗損壊罪に「怖い」
自民党と日本維新の会の「保守連立」で発足した高市早苗政権は、安全保障政策の見直しや外国人政策の厳格化など、タカ派色の強い政策を次々と打ち出しています。来年の通常国会で議論になりそうな政策の一つが、連立合意書に盛り込まれた日本国国章損壊罪(国旗損壊罪)の創設です。
日本の国旗を損壊したり、汚したりした場合に刑事罰を科す同罪の創設は、かねて高市首相が主張してきた持論。参政党も同様の法案を提出していますが、危うさを指摘する専門家もいます。私たちは、参政党の街頭演説で「バツ印を付けた日の丸」を掲げて抗議活動をした大学生を捜し出し、話を聞きました。
連載「読む政治」より、12月8日アップのおすすめ記事を再掲します。年齢・肩書きは当時のまま。
現実味を帯びる法改正
日本国に侮辱を加える目的で国旗(日の丸)を損壊したり、汚したりした者に刑事罰を科す――。高市早苗政権で、日本国国章損壊罪(国旗損壊罪)を刑法に新設する法改正が現実味を帯びている。
自民党と日本維新の会の連立合意書に明記された他、参政党も法案を提出した。だが、専門家は「表現の自由」の侵害につながりかねないと指摘し、自民内でも異論が出ている。この問題をどう考えればいいのか。
<関連記事> 「国旗損壊罪は必要ない」 岩屋毅前外相が語る法制化への違和感 為政者が表現を萎縮させる怖さ 国旗損壊罪を考える 志田陽子教授 高市首相、悲願の国旗損壊罪 「愛国心の強制」自民からも懸念の声 「日の丸」定着と反発の歴史 米国でも国旗と「表現の自由」議論
神谷氏「こんなことが許されるのか」
今年7月の参院選投開票前日。参政の神谷宗幣代表が街頭演説した東京都港区の芝公園は異様な熱気に包まれていた。
陣営によると1万人を超える聴衆が集まり、「日本人ファーストは差別」などと書かれたプラカードを掲げて抗議する人たちもいた。
ひときわ目を引いたのが、大きなバツ印を付けた日の丸だった。
神谷氏は10月、「こんなことが許されるのかと思った」と記者団に述べ、バツ印を付けた日の丸を見た数日後に法案作成を指示したことを明らかにした。「国をおとしめることをされることで、多くの人の人権が傷つけられる。公共の福祉に照らせば『表現の自由』で認められるものではない」と主張し、他党に協力を求める考えも示した。
参政が同月、参院に提出した刑法改正案は「日本国に対して侮辱を加える目的」で国旗その他…