なぜ衆院選で宮城4区が注目の的なのか 「クリームパン動画」SNS炎上の中道・安住氏とフォロワー激増の自民・森下氏が大激戦<かほQチェック>

 8日投開票の衆院選で、宮城4区が交流サイト(SNS)上で注目の的だ。中道改革連合前議員の安住淳氏(64)と自民党前議員の森下千里氏(44)の激戦が報じられる中、どんな投稿が関心を呼んでいるのか。ユーザーローカル社のSNS分析ツール「ソーシャルインサイト」で調べた。

 安住、森下両氏のフルネームに言及したX投稿数は、1月27日の公示日から1週間後の2月3日まで46万7621件に上った。このうちリポスト(再投稿)を除く1万597件を対象に文章を単語で区切る「テキストマイニング」の手法で分析すると、政党名や地名、個人名を除く出現単語の最多は「クリームパン」(2202回)だった。

中道改革連合前議員の安住氏

 安住氏は1月30日、北海道での応援演説に向かう車中の動画を自身のインスタグラムに投稿。足を組んでクリームパンを食べる姿が「横柄だ」と批判され、炎上した。

 当日の夕方、都内での応援演説で安住氏はクリームパン動画の批判に触れ「足組むでしょ、朝ご飯食べる時に。そういうことまで私の悪口を言いたいのかと言いたいけど。そういう世の中、まともじゃないでしょ」と苦言を呈した。ところが、その演説の様子を映した動画で上着のポケットに手を入れるしぐさが映り込み、「態度が悪い」と再び批判された。

 ユーチューブ上では、安住氏の2022年分政治資金収支報告書の不記載訂正が耳目を集める。

 2月1日に配信されたチャンネル登録者数75万人超の番組で、元テレビ記者が安住氏の不記載額を「数百万」と発言。切り抜き動画が拡散し、3日時点で約180万回再生された。

 実際の不記載額は30万円。当時、安住氏は不記載を自ら明らかにした上で「私の責任だ」と謝罪していた。元テレビ記者は河北新報の取材に誤りを認め、元動画の該当部分を削除したが、「不記載数百万」は一人歩きしたままだ。

森下氏はXフォロワー激増中

自民党前議員の森下氏

 森下氏は個人のXアカウントで演説の様子や自らの心境を発信し、「ネット地盤」を固めている。3日時点のフォロワー数は11万7036件で、公示後1週間で約8000人増やした。

 収集したX投稿を分析すると、「#もりした千里」とのハッシュタグを付けた投稿はリポストを除いても計1143件。高市首相が公示日に仙台入りした際の様子を紹介したX動画は448万回表示(3日時点)に達した。

 森下氏はSNSで過熱する安住氏批判には距離を置く。演説では感傷的に涙ぐむ場面もあり、そうした姿もSNSにアップして親近感をアピールする。3日に石巻市で開いた集会では「東京にないものが宮城にはある。やっぱり宮城が好きだ。その思いでここまで活動できた」と聴衆の愛郷心もくすぐる。

専門家「安住氏は中道のシンボル的存在」

 SNS上で交わされる選挙の話題は人物評や一挙手一投足に偏り、政策論争は乏しくなりがちだ。

 仙台市を拠点に活動するネットメディアのNPO法人「メディアージ」の漆田義孝常務理事(42)は「SNSの情報に、接する側がどこまで重きを置くかは悩ましい。投稿者の多くが必ずしも4区の有権者とは限らないことも注意する必要がある」と指摘する。

 実際、ソーシャルインサイトで1月27日~2月3日に安住、森下両氏のフルネームに言及したX投稿者の発信地を調べると、最多は東京都の25・3%で地元宮城は7.0%にとどまった。リポスト(再投稿)を含む投稿が最終的にどれだけのXユーザーに届いたかを示す「延べ配信数」は3日時点で推計5億1819万8933件に達している。

 漆田常務は「(共同幹事長を務めるなど)中道のシンボル的存在の安住氏は、全国から批判のターゲットにされる宿命があり、それが今回の炎上の背景にある」とみる。

 4区には参政党新人の佐野誠氏(41)も立候補している。

参政党新人の佐野氏

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