カイロス打ち上げ 二つのなぜ…失敗との言及避ける・人工衛星の搭載

 和歌山県串本町の同社発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げられた3号機は68・8秒後、第1段エンジンの燃焼中に異常を検知する安全システムが作動。「飛行中断措置」が取られ、自動的に爆発した。システムが誤作動した可能性も含め原因の究明が進められる。  2024年12月に打ち上げに失敗した2号機は、第1段エンジンを分離し、人工衛星を保護するカバーを開き、今回よりも長い3分7秒間飛行した。  飛行距離や動作は前回よりも後退した。しかし、記者会見した同社の豊田正和社長は「確実にノウハウ、経験を蓄積でき、前進できた」と力を込め、「失敗は私どもの文化として存在しない」と言い切った。  開発段階のロケットは失敗が多い。昨年世界最多の165機のロケットを打ち上げた米国の宇宙企業スペースXは初期には打ち上げから3回続けて失敗した。実業家の堀江貴文氏が創業した宇宙新興企業インターステラテクノロジズ(北海道大樹町)は、観測ロケット「MOMO」を打ち上げた7回中4回失敗。「ロケットの開発に向けて大きな前進」などと前向きなコメントを発表している。  一方、宇宙航空研究開発機構( JAXAジャクサ )は日本の主力ロケット「H3」8号機の打ち上げ失敗後、すぐに失敗を認めた。  森合秀樹・金沢工業大教授(宇宙推進工学)は「失敗をある程度繰り返すことは必要だが、企業としては信用にかかわるため、『失敗』という表現は避けたいのではないか」と話す。

 ロケットを打ち上げるのに、必ずしも人工衛星を搭載する必要はない。  JAXAの「H3」1号機は政府の地球観測衛星「だいち3号」を載せて打ち上げたが、失敗。その後、2号機にはロケットの性能を確認するためのダミー衛星などが搭載された。インターステラテクノロジズのMOMOは、衛星の軌道投入を目的としない観測ロケットのため、衛星を搭載していなかった。  スペースワンは初号機から3号機まですべてのロケットで衛星を積んだ。なぜ衛星を搭載するのか。記者会見で豊田社長は「お客様には一緒に挑戦しようということで理解いただいている。一緒にリスクを取ってくれる方々と協力したい」と理由を述べた。  内閣府によると、衛星の軌道投入などを対象に定められた宇宙活動法では、衛星を搭載する際には国の許可が義務づけられている。事故時には民間の保険でカバーできない賠償額を政府が補償する制度も受けられる。  一方、同法では衛星を搭載せずに機体を打ち上げることが想定されていない。衛星を載せない打ち上げも可能だが、補償制度の対象外となり、1機10億円以上とされる小型ロケットの打ち上げで生じた損害も全て自己負担となる。政府は同法を見直し、衛星を搭載しない打ち上げも補償対象とする改正案の策定を進めている。  沢岡昭・大同大名誉学長(宇宙利用戦略論)は「法改正されれば民間はより多様な打ち上げが可能になるだろう」と話す。  スペースワンは、防衛省の観測実証衛星を搭載し打ち上げる計画を昨年5月に公表している。しかし、今回の失敗の原因を明らかにし、対策を検討する時間が必要だ。4号機以降の打ち上げについて、関野展弘副社長は会見で「次がいつとは申し上げられない」と述べるにとどめた。

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